2015年12月6日日曜日

ツタンカーメンの墓で新たな部屋を発見

エジプト・ルクソール近郊の「王家の谷」にある古代エジプトのファラオ(王)ツタンカーメンの墓で、壁の裏側に隠し部屋とみられる「空洞」が存在することを示す調査結果が出た。調査に当たった研究者らは隠し部屋にはツタンカーメンの義母で「絶世の美女」と伝えられる紀元前14世紀の王妃ネフェルティティが埋葬されている可能性があると推測しており、今後、ネフェルティティのミイラが見つかれば「今世紀最大の発見」になると期待されている。

1カ月かけ日本で分析

AFP通信などによると、ツタンカーメンの墓では11月26日から、英国、日本などの国際調査団が地表や地中でレーダー探査を行っていた。28日に会見したエジプトのマムドゥフ・ダマティ考古相(53)は「ツタンカーメンのひつぎが安置されている部屋の壁の向こうに何かがある確率が90%に高まった」と述べた。また、調査団のレーザー技師、渡辺広勝さんは「壁の向こうには間違いなく空間がある。大きさはまだ分からないが、部屋かひつぎがある可能性がみえてきた」と語った。

調査団を率いる英考古学者のニコラス・リーブズ氏(59)は「私の推測が正しければ、隠し部屋にはネフェルティティのミイラが埋葬されている」と話し、これに対してダマティ考古相は「もしネフェルティティが見つかれば、ツタンカーメンよりも重要性は大きい」と期待を寄せた。今回の調査データは、日本で1カ月かけて詳しく分析されるという。その結果、隠し部屋があると断定されれば、今後どのように発掘を行うかなどが慎重に検討されるとみられる。

ネフェルティティはツタンカーメンの父、アメンホテプ4世の妻で、紀元前14世紀にアメンホテプ4世の死後、ファラオとなり政治的にも宗教的にも大きな役割を果たした。その名は「美しい女性の到来」を意味し、クレオパトラらと並び、古代エジプト三大美女の一人に数えられている。胸像がドイツ・ベルリンの「新博物館」で展示されているが、エジプト政府は独政府に返還を求め続けている。

3300年以上の時を超え

リーブズ氏は「私の説では、現在、ツタンカーメンの墓とされている墓は元々、ファラオとなったネフェルティティの墓だったとみられる。ツタンカーメンは19歳で急死したため、墓が用意されていなかった。そこで急遽(きゅうきょ)、死後10年経っていたネフェルティティの墓に別室が設けられ、そこにツタンカーメンが埋葬されたのではないか」と分析している。

ネフェルティティに関する記録は、王妃になってから12年で途絶えており、その生涯には謎の部分が多い。王家の谷でも、多くの考古学者が埋葬場所を探し求めたが、見つからなかった。リーブズ氏は「今はただ、壁の裏にネフェルティティのひつぎが古代から手付かずのまま残されていることを願うばかりだ。そうなれば、当然、墓の名前もツタンカーメンの墓からネフェルティティの墓に変えられるだろう」と話す。3300年以上の時を超えて、古代エジプトの「絶世の美女」がよみがえる日が来るのだろうか。産経ニュースより

新たな埋葬の部屋が見つかれば、日英の調査団の大きな成果である。今後の調査結果を待ちたい。

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