2015年12月6日日曜日

アリさんマークブラック企業への反論

今年で第4回目を迎えるブラック企業大賞。2015年はABCマートや明光ネットワークジャパン(明光義塾)など6社がノミネートされ、11月29日にウェブ投票の結果、セブン-イレブン・ジャパンが2015年ブラック企業大賞を受賞した。
インタビューで熱弁をふるう井ノ口副社長
インタビューで熱弁をふるう井ノ口副社長

残業代の未払いや過重労働、パワハラ、セクハラなど過酷な労働環境に苦しんでいる労働者の味方として、実情を世間に啓蒙するために発足したブラック企業大賞。しかし、一方で彼らの強引なやり方に疑問を呈するのは、第4回ブラック企業大賞のノミネート企業だった「アリさんマークの引越社」の井ノ口晃平副社長だ。

 まずアリさんマークの引越社騒動を簡単に説明すると、同社の社員Aは度重なる遅刻から営業を外され、アポイント部へ異動になった。また、営業車で起こした事故でも相手方に謝罪しないなど社会人としての配慮に欠けていた。その後もこうした勤務態度に改善がなかったため、見せしめ的にオレンジの服を着たシュレッダー係に任命したという。

 ユニオンに駆け込んだ社員Aは、これまでの引越社の内情を暴露。事故を起こせば弁済金を給与から天引きされ、社員Aの顔写真付きで名誉を傷つける文言の書かれたチラシが社内中に張り出されるといった処遇が問題視されるように。その後、社員Aは同社を懲戒解雇。それを不服として、ユニオンの力を借りて、抗議活動を送っている。

そんな最中に起きたのが恫喝動画事件だ。10月1日、井ノ口氏は会社前に抗議行動をしていたユニオンと揉め、そのときの模様を撮影され、ネット上に動画が配信。コワモテ副社長の“恫喝動画”として、謂れなき誹謗中傷を受けた人物である。

 今回、同社が労働基準監督署から指摘された箇所は、言い逃れのできない違反行為である。ここは真摯に受け止めて改善するとしながらも、動画撮影時のユニオン側の態度は「納得できない部分も多かった」と井ノ口副社長は話す。

「東京本社前での大音量シュプレヒコールは1時間に及び、当社担当者が囲まれていたので、これはまずいと思って駆けつけたんです。ですが、すでに騒音と怒声が激しく、声がかき消されてしまう。大声で怒鳴り合うように声を出さなければ、会話もできない状況だったんです。明らかな街宣車による営業妨害、生涯賃金を支払えなどの法外な要求でも、民事不介入で警察には頼れない。そんな状況下で、大声を出していればテンションも上がってしまいますよね」

 井ノ口副社長はこう続ける。

「確かに、動画撮影は許可しました。今覚えば、作戦だったんでしょうね。故意に足を踏まれた私は感情的になってしまい、完全に私を悪者にする動画編集が完成したのに驚きましたね。動画で怒ってるシーンがありますが、故意に足を踏まれたら怒るのは当たり前。しかし、そうやって私を焚きつけてタイミングを見計らい、動画を撮影するときだけは街宣車による騒音やシュプレヒコールをぴたりと止めた。『してやられた!』とわかったのは、アップされた動画を見たとき。見事に私が関西弁で一方的に怒鳴っているように編集されていたのです。あの恫喝動画は、私の不徳のいたすところ。従業員を守らなければならない立場である以上、向こうの挑発行為に怒らないでおけばよかったと思います」

編集された恫喝動画はすぐさまネット上に拡散した。それを嗅ぎつけた各メディアも同社に殺到し、アリさんマークのブラック企業的な側面ばかりにスポットが当てられた。確かに、シュレッダー係などはメディアがセンセーショナルに報じ、最高に喜ぶキーワードとして重宝される。

「この状況を打開するために『FRIDAY』編集部に直接伺いました。ただ、動画のイメージでヤクザ者だと思ったのか、警備員に止められ、編集部ではなく守衛室の横で待機させられたんです。恫喝動画の影響を肌で感じた瞬間でしたね。取材前から、完全にブラック企業のならず者という先入観を持たれてしまっていたし、私を悪者にしたほうが面白いというのもあったのでしょう。ネットやマスコミの間で『アリさんはブラック!』という風潮が出来上がってしまえば、事実に関係なく、それを覆すのは容易ではありません。せっかく取材してもらっても、私のコメントは悪質なブラック企業を印象づける効果的な道具でしかないことを知りました」

長年の取引先は理解して励ましの言葉をかけてくれたが、井ノ口氏の精神は極限状態だったとか。誹謗・中傷の声は自宅にまで押しかけ、無言電話や迷惑電話がかかり、知人を装って「オレオレ、オレやないか」とオレオレ詐欺犯ばりに電話をしてきて、内情を探ろうとする者まで現れたという。

「労働基準監督署から指摘された深夜残業の未払いと過重労働のそれぞれ1件ずつの違反行為は認め、またユニオンに加入した社員Aの懲戒解雇処分も取り消しました。こちらが悪いところはすべて認め、改善しました。でも、こちらにも言い分はあります。社員Aは人身事故を起こしたにもかかわらず相手方に謝罪を直接しなかったり、社内の掲示板を外部に漏らすといったスパイ行為も実施しています。これまでも会社に不満のある従業員とは話し合いで解決できた。しかし今回、当事者である社員Aと弁護士との間でもたれた話し合いでは、平行線のまま。妥結案を話し合っているのに『生涯賃金を払えば許す』とか法外な要求をしてくる。まるで何かに洗脳されているかのような恐ろしさを感じましたね」

アリさんマークの引越社が社員Aをシュレッダー係にして精神的に追い込んだ行為は、「確かにやり過ぎた側面もある」と認める井ノ口氏。今後は「飲酒運転や事故を未然に防ぐなど、社員を管理するという意味ですべて必要なことでしたが、時代にあわせてもう少しマイルドな策を考える」とのことだ。そして、ブラック企業大賞について、改めて異を唱える。

「一つの問題が解決すると、また別の問題点を指摘してくる。例えば『外国人労働者を差別し、雇ってない』と言いがかりをつけられました。弊社は外国人従業員を雇ってますから。言いがかりレベルの主張を繰り返すのは、そこに社会正義を嗅がした泥臭い利害関係があるのではないでしょうか。すべてのユニオン団体がそうとは言いませんが、ブラック企業大賞を構成する実行委員にはジャーナリストやNPO法人代表、弁護士、ユニオン関係者などが名を連ねています。社会正義の名の下に、ブラック企業大賞をエサに企業恐喝まがいの行為をして、金銭を要求することが真の目的なのかもしれません」

アリさんマークの引越社副社長インタビューは12/1発売の週刊SPA!の特集「ゼブラ化する新型ブラック企業が増殖中」にも掲載。ここでは語り尽せなかった“熱い思い”をさらに切々と語ってくれた。「ブラック企業」という言葉が一人歩きし始めた感もある現代。同特集では、今後はさらに複雑化する新型ブラック企業の最前線に密着。もはや他人事ではなく、あなたの会社にもブラック化の波は忍び寄っているかもしれない。日刊SPAより

企業もブラック企業と言う汚名を着せられれば、それを払拭するのに時間もかかり、顧客の信頼もなくなるだけに企業としてみれば命取りになる。企業もいきすぎたパワハラなど気をつけないと、お客さんが離れる運命に陥る事になる。

社員教育をしっかり行う事が必要ではないでしょうか。社員の「いじめ」もいきすぎると会社そのものの存在が社会から見放されることになる。ブラック企業と言う烙印を押されるとその汚名返上のためにお金もかかり企業の存立も出来なくなる。企業の幹部はその辺を肝に銘じるべきである。

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