中国経済の危機はさらに深刻化するのか。2015年の成長率が目標の7%を下回ることが濃厚な同国は、16年に6%台後半の「安定成長」を掲げるが、英シンクタンクは2%台という超低成長に突入するハードランディング(墜落)シナリオを想定している。中国の成長戦略であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)も正式に発足したものの、「ジャンク(紙くず)債」以下の無格付け状態など、ゆがんだ運営は改善されないままだ。
中国財政省は25日、AIIBが正式に発足したと発表したが、創設メンバー国として署名した56カ国のうち、国内で批准手続きを終えたのは3分の1以下の17カ国だけ。集まった出資金は資本金全体の50・1%と、設立に必要な50%をかろうじて上回るなど、年内発足を形だけ整えた状態だ。
日米は不参加を決めているが、参加を表明していたフィリピンも南シナ海の領有権問題をめぐる中国の傍若無人さに反発、年内の正式署名を見送る可能性が高まった。
中国の楼継偉財政相はAIIBが「国際的な経済システムの改革で画期的な意味を持つ」と自画自賛したが、中国による中国のための銀行、という危惧は現実となった。
本部は北京、初代総裁には中国の金立群元財政次官、議決権比率は中国が26・06%で重要事項に関する拒否権を握った。
資金調達の問題もクリアされなかった。資金調達のために発行する債券の格付けは最高位を取得できないとみられ、「トリプルA」格のアジア開発銀行に比べて金利が1%程度高くなると懸念されている。
それどころか、当初は格付けを取得せずに債券を発行し、韓国が引き受けると表明。投資不適格なジャンク債を扱うファンドが破綻したことが金融市場に波乱を呼んでいるが、ある意味でジャンク債以下の国際金融機関という異常な姿だ。
AIIBは初年度の融資規模を20億ドル(約2440億円)と見込み、来年前半には融資を始め、当初数年間の融資規模は年100億~150億ドル(約1兆2000億~1兆8000億円)を予定するが、借り手の国にとっては高利貸、資金の出し手にとっては高リスク。果たしてまともに機能するのか。
元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、「『バスに乗り遅れるな』と日本がAIIBに参加すべきだと主張する識者も多かったが、そのバスは無免許ドライバーによる危険運転で、乗車賃は正規の何倍も取られるという悪徳バスだと言われかねない状態だ」と指摘している。
経済成長の先行きにも暗雲が立ちこめている。習近平国家主席は、今後5年間、年平均6・5%以上の経済成長目標を掲げているが、その実現を危ぶむ声もあるのだ。
中国人民銀行(中央銀行)は、16年の成長率が6・8%、中国政府直属のシンクタンク、中国社会科学院は6・6~6・8%と、わずかな鈍化で済むと予測している。
しかし、仏金融大手ソシエテジェネラルは、中国の成長率が3%まで落ち込むハードランディングリスクが30%、米シティグループのエコノミストは、中国の実際の成長率は現状でも4%近くまで減速しており、16年半ばには2・5%まで低下、中国発の世界景気後退の確率が55%とした予測を出している。
英シンクタンクのオックスフォード・エコノミクスは、中国の成長率が16年から18年にかけて2・3%にまで下落した場合、世界経済に深刻な打撃を与えるというネガティブシナリオを示した。
これを受けて格付け大手のフィッチ・レーティングスは、「中国経済が予想以上に減速すれば、世界経済に大きな影響を及ぼす」と警鐘を鳴らしている。
習政権は今年、人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)に採用されるという目標を実現し、AIIBも駆け込みで年内に設立するなど、形の上ではメンツを保った形だ。だが、「板子一枚下は地獄」というのが実情かもしれない。 夕刊フジより
日本が不参加で何よりである。AIIBは中国のための投資銀行である。
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年12月30日水曜日
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