9年半ぶりの利上げは米国経済の力強さを示すため、日本経済には追い風となる可能性が高い。ただ、世界の資金が米国に集中することで円をドルに交換する「ドル調達コスト」は上昇しつつあり、邦銀や輸出企業が海外戦略の見直しを迫られる恐れもある。米国に資金を吸い上げられる新興国経済のさらなる悪化も懸念材料だ。
日銀の黒田東彦総裁は、11月の記者会見で「(利上げの)背景には米国経済の回復の強さがあると考えられ、世界や日本の経済には好ましいことだ」と説明していた。
利上げとは、米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会(FRB)が、景気の過熱を防ぐために政策金利を引き上げることだ。
多くの企業は、銀行からお金を借りて事業するが、金利が上がると返済利息が膨らんで業績を圧迫してしまう。裏を返せば、米国景気は利上げを許容できる力強さがある。実際、日銀によると、米国では1980~2000年代に計6回の利上げ局面があり、6回とも利上げ後1年間の日本の実質輸出は利上げ前より増えている。
トヨタ自動車の大竹哲也常務役員は「北米市場は非常に堅調で、基本的には安定的に推移していく」との見方を示し、コマツの大橋徹二社長も「米国の実体経済はかなり強い」と話す。日米の金利差拡大で円安ドル高が進めば、輸出企業の採算も改善する。
ただ、原材料を輸入する中小企業や小売り各社は、過度の円安はコスト増に直結する。高島屋の木本茂社長は17日、産経新聞の取材に対し「仮に1ドル=130円になるようなことは必ずしもプラスではない」と懸念を示した。
一方、米国の金利が上がれば日本の銀行や企業が市場でドルを借りる際のコストは大きくなる。邦銀のドル調達コストはこの1年で2倍強に膨らんだ。
海外M&A(企業の合併・買収)の活発化で日本企業のドル需要は根強く、邦銀は今後もドル資金の確保に“四苦八苦”しそうだ。
全国銀行協会の佐藤康博会長は17日の記者会見で、「非金利収入などコスト増をはね返すビジネスモデルを展開できる金融機関のみが、今後も海外部門を伸ばせる」と気を引き締めた。
また、日銀の大規模金融緩和で超低金利が続く中、高利回りを見込める米国債への投資を増やしてきた生命保険各社も調達コスト上昇に頭を抱える。
生命保険協会の筒井義信会長は、自身が社長を務める日本生命保険の資産運用について、「調達コストが当社の上限を超えれば、(日本国債などの)円金利や他通貨への転換を考える」と説明した。
さらに、予想外に速いペースで利上げが進めば、新興国からの資金流出を加速させかねない。
日本商工会議所の三村明夫会頭は17日、「既に新興国通貨は下がり、資金も引き揚げられているので、今後の影響は限定的だろう」と報道陣に語ったが、政府・日銀は利上げが世界経済を下押しするリスクを注意深く見守る考えだ。産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年12月18日金曜日
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