▼終わりの見えない「軽減税率論争」のなか、財務省が亡国のレポートを公開
一体いつになったら決着がつくのか。
軽減税率の議論が続いています。財務省がマイナンバーカードを利用した、あまりに非現実的な軽減税率案を提示して、顰蹙を買ったのは記憶に新しいところですが、今もまだ軽減税率の適用範囲について与党内の意見がまとまっていません。
加工食品に適用することになりそうなのですが、そもそもどこまでを加工食品とするのか、その線引きは困難です。とても2017年4月の増税には間に合わないでしょう。そこで、当初は生鮮食品だけ軽減税率を適用して、加工食品は後から適用する案が浮上しているようですが……。
いや、無理です。そんなことをすれば確実にスーパーは大混乱です。なぜこんな面倒くさいことをしてまで消費税率を上げたがるのか、まったく理解できません。
そんな大混乱のなか、業を煮やしたのか、先のマイナンバーの失態を返上したいのか、財務省がとんでもないレポートを出してきました。
レポートによると「消費税率を32%に引き上げないと日本は破綻する!」そうです。その恐怖の破綻シナリオを描いたグラフ。
⇒【グラフ】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=999954
●「我が国の財政に関する長期推計 (改訂版)」 平成27年10月9日 起草検討委員提出資料より http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia271009/01.pdf
試算によると2060年に政府債務のGDP比を安定させる(他国と同水準の100%前後にする)ためには、2020年以降に、GDP比で約11.12%の財政収支改善が必要になるそうです。やらなければ破綻すると警告しています。
しかし、さらっとGDP比で11.12%の収支改善と書かれていますが、GDPが500兆円と仮定するとその11.12%は55.6兆円です。これは消費税22%分の税収に相当する金額となります。この財務省の試算は2017年に消費税率を10%に引き上げていることを前提にしているため、これに22%をプラスして32%の消費税率を実現しないと日本財政は破綻するということになってしまいます。
これだけ見ると、「お先真っ暗。日本は破綻寸前」と思われるかもしれませんが、騙されてはいけません。この数字は財務省が世論を「増税賛成」に持って行きたいがための単なるプロパガンダであり、真に受ける必要はありません。
その財務省のインチキを暴いていきます。
▼大増税しても経済成長できる?驚きのお手盛り試算
この財務省の試算にはある前提条件があります。それは、消費税22%の大増税をやっても一定の経済成長は維持されるという、呆れるばかりの条件です。
財務省のレポートを見ていただければわかりますが、年実質0.4%~1.4%成長、名目で1.6%~3.4%の成長が維持できると目論んでいます。
それにしても、政府財務省は昨年の消費税増税で2014年度の経済成長率がマイナスになってしまったことを忘れるほどアホなのでしょうか?
22%と比較すればたかが知れている3%の増税で昨年度の実質GDP成長率は1%のマイナスですよ? それにもかかわらずなぜ55.6兆円もの大増税(歳出削減)をやってGDP成長率を1%前後に維持することができるのでしょうか?
どんな魔法を使うつもりなのか、ぜひ学会で発表していただきたいです。ノーベル経済学賞まちがいなしだと思います。
インチキを暴いていきますと言ってしまいましたが、この前提部分の指摘だけでもう十分ですね。こんな現実からかけ離れた、自分に都合の良い前提条件を持ってくれば結果なんてどうとでもできます。試算とは言えない代物です。
▼複雑な試算など必要ない。経済成長こそが日本の取るべき道
なぜ政府財務省はこんなあり得ない、現実離れした前提条件を元にした意味のない試算をするのか?
一般の人、主婦の方などは、こんな複雑なグラフや数字を見せられてもなかなか理解できないと思います。政府が出した試算なのだから、本当のことなのだろう、日本の財政のことを考えると消費税増税は必要なのだろうと普通は考えてしまいます。
このようにして、「日本は消費税増税するしか道がない」という方向に国民世論を持っていく。そのために複雑な試算を行ってセンセーショナルな数字を出すわけです。これが財務省の狙い。決して騙されてはいけません。
しかし、実際はこんな小難しい、複雑な試算など必要ありません。財政を健全化させるために、すなわち政府債務のGDP比率を引き下げるために何が必要なのか? 次のグラフを見れば一目瞭然です。
⇒【グラフ】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=999956
このグラフは政府債務のGDP比と、実質GDPの推移を示しています。
2006年~2007年の部分を見ていただきたいのですが、政府債務対GDP比が縮小していることがわかります。つまり、財政は健全化しているのです。しかし、当時は増税などしていません。
ではなぜ財政が健全化したのか? GDPのグラフを見ればわかりますね。経済成長したのです。GDPが成長することによって、法人所得税が増収し、財政が健全化したのです。
一方で1997年に消費税率を3%から5%を引き上げたときは、景気の悪化でGDPが減少しています。その結果、財政が健全化するどころか、政府債務対GDP比の増加速度が上昇しているように見えます。
要するに増税では財政を健全化することはできないのです。財政を健全化させたいなら経済を成長させるしかありません。財務省がやったバカみたいな試算をしなくても、もうすでに答えは出ています。
▼10%で増税を阻止しなければ、ズルズルと税率を引き上げられる
このレポートを見てはっきりわかりましたが、財務省は最終的に消費税率を32%程度まで引き上げようと考えているということです。
10%では満足しないだろうなと考えていましたが、まさか32%とはいやはや驚きました。
今の8%の税率でもこれだけ国民が苦しんでいるというのに、32%にまで引き上げたら、日本経済は完全に崩壊してしまいます。財務省にとって国民の命などどうでもいいのでしょう。
いま議論されている軽減税率も、税率32%を実現するための単なる足慣らしです。軽減税率導入で国民の痛税感が和らいだからと言って、ズルズルと税率を引き上げていくことは目に見えています。
10%への増税を止められるかどうか?これが、日本経済の将来、国民の命運を左右します。来年の選挙が正念場。安倍さん、ぜひ消費税増税凍結を争点に衆参ダブル選挙に打って出てください。 日刊SPAより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年12月11日金曜日
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