この国にいても幸せになれない。そんな風潮が韓国の若者の間で急速に広がっている。苛烈な受験戦争に勝利しても望みの就職先につけず、豊かさをきわめるのは財閥関係者の家庭だけ。徒労感と絶望から母国を「地獄」と叫び、自虐する。現地では、この現象を「ヘル(地獄)朝鮮」と呼び、メディアの主要テーマになっているという。朴槿恵(パク・クネ)政権の不安定要因の1つになりつつあるこの現象。韓国事情に詳しいノンフィクションライター、高月靖氏がリポートする。
「韓国は地獄だ!」
こうしたショッキングな叫びが、最近になって韓国社会を騒がしている。「韓国=地獄」を意味するネットの流行語「ヘル朝鮮」が、大手マスコミや政界でも話題になり、社会現象に発展しているのだ。
「ヘル朝鮮」現象の主役は、20~30代の若者世代。彼らは幼い頃からすさまじい受験戦争に明け暮れ、難関大学に入っても就職はさらに狭き門として待ち構える。だが、いざ社会に出ると、羽振りがいいのは財閥など恵まれた家庭の子供だけ。庶民の子は毎日遅くまで働いても給料が上がらず、結婚すらできない。そんな疲労と絶望から、母国を「地獄だ」とこき下ろす若者が急増しているわけだ。
「セウォル号事故、財閥2世の横暴をはじめ気がめいる事件続きで、青年失業率も過去最大を更新している。そんななか若者たちは、自国を卑下することでガス抜きしているようだ」(現地マスコミ関係者)
今年5月には人気作家が『韓国が嫌いだから』と題した長編小説を発表し、センセーションを巻き起こした。韓国に絶望して海外移住する若い女性を描いた内容だ。
「題名が若い読者の共感を呼んでヒットし、『ヘル朝鮮』現象の代表例となっている」(同)
20~30代を対象にした10月下旬の世論調査によると、「韓国が嫌いか」との問いに51%がイエスと回答。理由は「公平さに欠ける」「貧富の差が著しい」「競争が激しい」などだ。将来の経済や福祉についても、評価は否定的意見が大半。「自分の子供は海外に脱出させたい」との回答も73%に上った。
高い青年失業率と慢性化した長時間労働を嫌って、海外に就職口を求める若者も増えている。小説はそんな世相をリアルに反映しているわけだ。
先月29日には政界でも「ヘル朝鮮」をめぐって火花が散った。金武星(キム・ムソン)与党セヌリ党代表が「若者が『ヘル朝鮮』などと言い出すのは左派(野党系)の偏向した教育のせい」と発言。これに野党やマスコミが激怒し、「責任転嫁だ」と猛反発を食らった。
だが一方で、若者たちの自国批判は大げさとの意見も強い。実際に経済協力開発機構(OECD)の統計では、格差を示すジニ係数や貧困率はむしろ日本や米国の方が大きい。GDP(国内総生産)に占める福祉予算割合の低さなどは他国に比べて際立つが、全体的には地獄というほど悪い数字ではない。
「地獄の正体は、受験や就職、社会に出てからの過当競争そのものだとの見方もある。韓国の指標で突出しているのは日本の1・5倍に上る自殺率だ。昨年は前年より減ったものの、20~30代では逆に増えた。これも少ない求人を奪い合う就職競争の激化が原因といわれている」(先の現地マスコミ関係者)
受験戦争による高学歴化が加速し、逆に学歴の価値が下がり、出身大学に見合った就職口にありつけない若者が増えている。出口のない閉塞感に若者の不満は募るばかりで、朴政権を脅かす危険な要因になりつつある。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年12月13日日曜日
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