2015年12月31日木曜日

異常な気候

【AFP=時事】世界各地で異常気象が続くなか、北極点(North Pole)では30日、気温が急上昇し、厳冬期平均よりも約20度高い気温を記録した。

カナダの気象当局は気温の急上昇について、今冬、北米にこの時期としては記録的な暖かさをもたらす一方で、英国には暴風雨や洪水をもたらしている異常な低気圧が原因だとしている。

 この低気圧は現在アイスランド付近の上空にあって、北向きに暖気を引き込みながら北大西洋で風速38.6メートルというハリケーン並みの暴風と高さ約9メートルの波をもたらしている。

この強力な低気圧が暖かい空気を北極点にまで押し進め、気温が通常よりも20度ほど高い零度~2℃まで上昇しているとカナダ政府の気象学者、ナタリー・ハセル氏はいう。

さらに北極点環境観測台の米科学者ジェームズ・モリソン氏によれば、北極点から300キロの位置にある北極圏の観測地点でも、2日前の28日まで氷点下37度を記録していた気温が30日には氷点下8度まで急上昇した。

北極圏は、ここ数十年の気候変動の影響を最も強く受けている。年間の平均気温は産業革命前比で3度上昇。降雪量や風速も増し、この30年で氷床が縮小し続けている。

このところ少なくとも5つの大陸を襲っている異常気象は、記録的なウルトラエルニーニョ現象の影響が大きく、さらに気候変動が拍車を掛けていると、専門家らが28日指摘した。今年から来年にかけて発生するエルニーニョ現象は観測史上最強だという。

南米パラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイでは、集中豪雨により洪水や土砂崩れが発生し、ここ数日間で少なくとも10人が死亡、15万人以上が避難を余儀なくされている。

米南部テキサス州では、26日に28度だった気温が28日には0度まで下がると予報された。寒気と暖気がぶつかり暴風雪や凍雨(雨滴が凍った氷の粒が降る現象)、竜巻が同国中部・南西部を襲い、これまでに少なくとも43人が死亡した。

一方太平洋を挟んで反対側のオーストラリアでは高温と極度の乾燥の中で山火事が発生し、メルボルン郊外の100軒以上が全焼、さらに数百軒に延焼する恐れが出ている。

アジアの南・南東部では、主食となる穀物栽培に不可欠となるモンスーンの雨量が少なく、またアフリカ東部は干ばつに見舞われ、英非政府組織(NGO)のオックスファムによると、エチオピアをはじめとする国々の数百万人に食料援助が必要な状況となっているという。

気候学者で、フランスのピエール・シモン・ラプラス研究所所長を務めるエルベ・ルトゥルー氏は、「地球全体でわれわれが目にしている事象の多くについて、エルニーニョの影響は明らかだ」と述べた。

エルニーニョ現象は、太平洋上の赤道付近で吹く貿易風の変化に伴うもので、平均して4~7年に一度、10月から翌年1月にかけて発生する。

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