石油輸出国機構(OPEC)は4日、危険な道にとどまることを決めた。原油価格が下げ止まるメドは立っていない。4日のニューヨーク時間午前9時過ぎ、OPECが生産枠を150万バレル引き上げて日量3150万バレルにするという一部報道が伝えられると、エネルギー市場のトレーダーは二重の損を抱えることになった。
OPEC加盟国の生産量は既にその水準に達している。つまり、報道はOPECが減産に踏み切って原油安に歯止めをかける努力を諦めたことを意味した。その2時間後、OPECが発表した声明はそこまで具体的なものではなかった。ある国の石油相は「声明に数字を入れることが必要とは考えなかった」と説明した。
だが、実質的には声明も「原油価格の下落は市場に解決させよ」と言っていることに変わりはない。加盟国が生産量に関する協定違反を予想以下に抑えるだけで実質的に減産を実現してきた組織としては、驚くほど正直な声明だった。
OPECはもはやカルテルではない。需給は自然に改善するのを待たなければならず、おそらくそうなるだろう。だが、OPECのデータによると、今後、さらに厳しい現実が加盟国を待ち受けている。
対イラン制裁措置が解除されれば、来年初めには日量50万バレル以上の原油が市場に流入する可能性がある。しかも、OPECの計算によると、現状でも原油価格の下落を背景に非加盟国は日量200バレル程度の生産を削減している。
イランの原油が流入すれば、来年には既に供給過剰に陥っている原油市場に日量70万バレルの供給が新たに加わることになる。かつてなら、生産枠の削減で市場から余剰分を取り除くのは難しくはあっても、サウジアラビアがアメとムチを操れば実現できた。
しかし、どれくらいになるかわからないイランの原油供給に対して、サウジは手を打つつもりはないようだ。その上、シェールオイルの生産というさらに根本的な問題もある。
OPECの影響力が最も強大だったのは1973年で、当時、アラブのOPEC加盟国は禁輸措置を発動し、原油価格は4倍に上昇した。しかし、原油価格が高騰したことで、シェール層からオイルを生産する技術などが進歩、石油が持つ経済的な意味合いに変化をもたらした。OPECは「石油という武器」で自分の足を撃ったと言えるかもしれない。
ガソリンを求めて行列ができた時期もあったのに、OPECは恐ろしい存在から取るに足りない存在、さらには無力な存在になってしまった。今、原油価格を予想する上でカギとなるのは米ノースダコタ州の平原やイランとの交渉、中国の工場であって、OPECの会合が開かれるウィーンのホテルではない。サウジアラビアのように余剰生産能力が大きく、チーム全体のためにある程度の経済的な痛みを引き受ける用意のある加盟国がなければ、OPECが影響力を発揮することはないだろう。
ウォール・ストリート・ジャーナルより
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