製造は1人乗りの1機のみで、費用は約400億円。防衛装備庁の将来戦闘機プログラム・マネジャーの土井博史氏は「2016年の早い段階」に、三菱重が県営名古屋空港(愛知・豊山町)で初飛行を行うと、ブルームバーグの取材で述べた。三菱重は先月、国産初のジェット旅客機、三菱リージョナルジェット(MRJ)の初飛行を同空港で行ったばかり。
防衛省はATD-Xを来年3月末をめどに受領し、岐阜基地でステルス性能と高い運動性を両立させた技術の検証実験を始める。国産の戦闘機開発に関わる初飛行としてはF-2以来、約20年ぶりという。
日本の安全保障が不透明さを増す中での取り組みとなる。国防費を増加させる中国は、日本が実効支配する尖閣諸島の領有権を主張し、公船による領海への侵入や軍用機による領空への接近を繰り返す。こうした中、安倍晋三政権は9月、集団的自衛権の行使を可能とする安保関連法を成立させ、自衛隊の活動範囲を拡大させた。
周辺国空軍に匹敵
国際軍事情報を分析するIHSジェーンズのアナリスト、ラクマニ・グプタ氏によると、ステルス機は米国が配備しており、中国、ロシア、インド、トルコも開発中。「日本周辺の安全保障環境はますます複雑になっており、日本は周辺国の空軍に匹敵する能力を維持しなければならない」と、取材に対し電子メールで回答した。
土井氏によると、ATD-X開発は09年度から始まり、機体は三菱重、エンジンは開発から一貫してIHIが担当。最もレーダーが当たる機体の先端部分には、ステルス性能を持つ国産の炭素繊維複合材を使用している。コックピットのカバーである強化プラスチック製のキャノピーにも電波を反射しない日本製のステルスコーティングを施している。全長14メートルで、F-15(19.4メートル)やF-2(15.5メートル)より短い。
現在配備されている戦闘機にステルス性能はなく、次世代で装備される。土井氏は周辺国がステルス機を開発する中で、「特性を理解し、研究することは防衛上重要」で、「日本の技術的な基盤を底上げすること」にもつながると話す。
純国産戦闘機
防衛装備庁の吉田孝弘事業監理官は、現行のF-2は平成40年(2028年)代に更新が必要になるという。後継機は「国内で開発するとのオプションがあるが、その時に実証機で確立したこれらの技術を活用し、同時に日本の産業にも良い刺激を与えられればよい」と話す。ただ、「現時点では何も決まっていない」と述べた。日本は戦後、1970年代にF-1の機体を開発しており、後継F-2は米国のF-16をベースに米国と共同開発。戦後の純国産戦闘機はない。
三菱重の広報担当、生野英夫氏は初飛行に向けた製造状況について「個別の契約履行に関すること」として回答しなかった。IHIの広報担当者、高橋由起氏は「先進技術実証機の飛行試験を全力で支援していく」としている。
日本は、米国が開発したステルス戦闘機F-35を42機導入することを決めている。グプタ氏は、初飛行が成功すれば「日本はかなりの確率で次世代戦闘機の製造を追求するだろう」と述べた。
三菱重が行ったMRJの初飛行は、国産旅客機としては53年ぶりだった。同社はJAXAと行ったH2Aロケットを使った国内初となる商業衛星の打ち上げにも先月24日、成功している。
ブルームバーグ・メディアより
純国産のステルス戦闘機である。この開発に成功すれば、最新の戦闘機を自国で作ることが出来る。今はアメリカから戦闘機を購入しているが、日本製ならば飛行機の部品は多く、多くの部品製造に中小企業の技術が生かされ、潤うことが出来る。
三菱重工業は三菱リージョナルジェット(MRJ)を完成させた会社だけに、その技術を戦闘機に生かされれば、純国産戦闘機の実現も近いのではないかと思う。
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