2016年12月9日金曜日

混乱の韓国政界 朴槿惠大統領の弾劾決議を今日午後投票へ

韓国の朴槿惠大統領とその友人による一連の国政介入疑惑に関連し、韓国国会では今日午後3時から朴大統領に対する弾劾決議投票が行われる。

news1コリアなどの韓国メディアによると、野党側が提出した弾劾決議案は40ページにもおよび、大統領の友人チェ・スンシルによる国政介入に留まらず、2014年のセウォル号沈没事故の際に朴大統領の行方が一時分からなくなった「セウォル号7時間」問題なども弾劾理由として挙げられている。

弾劾投票を大きく左右する要素としては、与党セヌリ党の非朴派議員がどれだけ弾劾決議で賛成に回るかが焦点となっており、その際のポイントとして前述の「セウォル号7時間」問題のほか、「シャイ反対票」、「賛成の認証ショット」が影響を及ぼすと言われている。

「シャイ反対票」は今年のアメリカ大統領選での「シャイ・トランプ(Shy Trump)」と同じく、国民の手前もあって表立っては弾劾反対とは言わないものの、実際には与党として反対票を投じるということを指す。

「賛成の認証ショット」は、弾劾決議を提出した野党のイ・ソクヒョン共に民主党議員の提案によるもので、弾劾投票用紙をスマホで撮影して公開しようというもの。弾劾成立を促す意味もあるが、弾劾否決時に国民からの非難を免れるための保険でもある。

今朝、与党セヌリ党の非朴系議員が集まった会合には、弾劾成立に必要なセヌリ党28票を超える33人が参加しており、参加した議員は「ここに集まった議員は100%弾劾に賛成だ」と答えている。

弾劾が成立、非成立でも韓国政局は混乱必至

問題は今日の午後3時の弾劾決議の投票後、韓国の政局がどう動くかだ。

仮に弾劾決議が成立すれば、国会から「弾劾訴追議決書」のコピーが大統領府に渡された時点から、朴大統領の職務は停止されてファン・ギョアン首相が権限代行を引き受けることになる。2004年ノ・ムヒョン前大統領への弾劾決議が可決された際の事例から推測すると、今回弾劾が成立すると今日の夜9時には朴大統領は職務停止となる。その後、憲法裁判所で弾劾が審議されるが、最短で2カ月、最長で6カ月審議がかかる模様だ。その間は、朴大統領は実質的な国家元首としては機能できず、大統領府に「幽閉」されることになる。

一方、弾劾決議が否決された場合、野党は臨時国会を召集して再度弾劾決議を提出するか、もしくは全議員が辞職するという戦術を考えている。現在の与野党逆転状況では野党議員が全員辞職すれば国会は解散、総選挙となる。朴大統領に近い与党セヌリ党の指導部を含め、野党の指導部も相当な打撃を受けるものと予想される。

弾劾が否決されれば、国会の混乱をよそに朴大統領はセヌリ党の提案した任期短縮による4月退陣という形で大統領の任期を形の上では全うすることもあり得る。いずれにせよ、国民不在のまま韓国政界の混乱は長期化しそうだ。

ニューズウィーク

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