トランプ相場の恩恵「ゼロ」!?
トランプ氏の減税や公共事業拡大策で米国景気が拡大するとの見方から、米長期金利は上昇。安全資産とされる国債から株式などリスク資産へとマネーが流れた。
米株高を好感して日本の株価も一気に上昇し、日経平均株価は大統領選前の1万7000円台からわかず10日間程度で1万8000円を突破した。
これに対し、韓国株は10月まで9カ月連続で外国人が買い越していたが、11月のトランプ氏勝利後は売り越しに転じた。トランプ氏当選で世界情勢が不透明になり、新興国から投資マネーを引き揚げる動きに韓国も巻き込まれたのだ。
内需の小さい韓国は輸出で経済を支えている。2014年の国内総生産(GDP)1兆4100億ドル(約170兆円)のうち輸出依存度は約4割と極めて高く、韓国にとって、米国は中国に次ぐ第2の輸出先だ。自動車や無線通信機器などが主な輸出品目とみられる。
ところが、トランプ氏は米韓自由貿易協定(FTA)を「(米国の雇用を)破壊している」と批判。再交渉を要求しており、韓国企業の業績には悪材料となる。
11月10日付の中央日報日本語版は社説で「わいせつな言動と毒舌、奇行を繰り返したトランプ氏が合衆国の最高指導者に選出されたのは『ブレグジット(英国の欧州連合離脱)』とは比較にならない大事件」と報じた。その上で、「米国優先主義」を唱えるトランプ氏の当選と韓国政局の混乱は「内憂外患」と懸念を示した。
大統領弾劾で「政経」大混乱
日本総合研究所の向山英彦上席主任研究員は「政治の混乱が長引いたり、朴大統領が退陣したりする事態になれば、企業の間で政策が変わるリスクに備えた様子見ムードが高まり、設備投資が抑制されることが考えられる」と分析する。
来年の利上げ「3回」は予想外?
韓国経済の低迷にに追い打ちをかけたのが、「米金利引き上げの嵐」(12月16日付の東亜日報)だった。
米国をはじめ先進国の金利が上昇すれば、投資マネーは、高金利を目指して韓国から流出する危険性が高まる。
資金流出を防ぐためには、韓国でも政策金利を引き上げる必要があるが、韓国経済が冷え込んでいる中で利上げに踏み切れば、設備投資や個人消費には逆風となる。
昨年12月に米国が1回目の利上げに踏み切ったときには、3カ月間で6兆ウォン(約6000億円)を超える資金が海外に流出した。
1年ぶりの米利上げで再び資金流出の懸念が高まるが、韓国銀行(中央銀行)は12月中旬の金融通貨委員会で、政策金利を過去最低の1.25%に据え置いた。
1300兆ウォン(約130兆円)に膨らんだ家計債務がいつ暴発するか分からない“時限爆弾”とみなされているためだ。
韓国では住宅ローンの審査が甘く、銀行や不動産業界が「借金してでもマイホームを!」とあおった結果、身の丈を超えるローンを組んでしまう人が続出し、家計債務は急ピッチで膨らんだ。
朝鮮日報日本語版は、社説で「今後、(住宅ローンの)貸出金利が0.25%上昇しただけで債務者の利子負担が年間2兆ウォン以上増える」と解説。家計債務が増えると、景気はより悪化してしまう。17年の米利上げ回数の見通しが、従来の2回から3回に引き上げられたことも韓国の金融当局には「予想外だった」ようだ。
韓国は利上げすべきか、利下げすべきか-。どちらにしても景気への悪影響は避けられないというジレンマを抱えている。
「今の韓国経済は1997年の通貨危機よりも困難な状況」
朝鮮日報日本語版はこう評し、韓国経済の先行きに警鐘を鳴らした。 産経ニュースより
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