中国、世界で起きている猛烈な人民元離れで中国に迫る危機
● 中国、対外貿易に占める人民元建て決済のシェア26%から16%に縮小―英紙
中国がIMFの特別引き出し権(SDR)の構成通貨に決定してから約1年が経過しましたが、中国の対外貿易に占める人民元建て決済のシェアが昨年の26%から16%に縮小したそうです。
その理由は、人民元の対ドル為替の下落であり、中国経済の衰退への不安があります。以前のメルマガでも述べたように、現在、中国では外貨準備高の減少が問題となっており、中国政府は外貨送金などについて、規制をかけ始めています。外貨準備高の減少も人民元決済の代わりに外貨決済が増えていることが一因です。
● 外貨準備、減少止まらず=資金流出が加速-中国
● 中国外為当局、資本流出防止策を強化=関係筋
そしてここに来て中国人自身が、人民元の暴落を恐れて外貨預金口座の開設を急増させているそうです。今年1~11月にかけて、中国の筧が保有している外貨預金は32%も増加したといいます。
● 人民元安を恐れる中国人、外貨預金口座の開設急ぐ
加えて、外貨建ての理財商品が飛ぶように売れているそうです。しかも利率は気にせず、元安に備えるために買っているそうです。11月に中国の銀行が販売した外貨建ての理財商品は、前月比で49%増になっているとも報じられています。
● 中国個人投資家、米ドル建て商品に殺到 人民元下落損失を防止
さらには中国からは違法なキャピタルフライトも加速しており、資金流出が止まらない状態です。とくにトランプ相場により、資金の流出はますます早くなっています。そのため人民元は1ドル6.89元近辺と、8年ぶりの安値水準に落ち込んでいます。
中国からのアメリカへの純資金流出(流出と流入の差額)はアメリカ大統領選から膨らみ続け、今年の11月までの12カ月合計では1兆ドルにも及んでいると報じられています。そして中国当局の取締りをくぐり抜けた資本逃避は5,000億ドル、日本の歳出の約半分前後の50兆円以上の金が人々とともに中国から大脱走しています。
● 米国第一主義、トランプ氏が「沈む中国」を踏み台に なだれこむ巨額資金
問題は、中国が為替介入をするほど外貨が流出しますから、それをヘッジファンド筋に狙われれば、中国通貨当局が支えられなくなって人民元が大暴落する可能性が高まっているということです。加えて、ドナルド・トランプ氏は中国を為替操作国に認定すると公言していますから、露骨な為替介入は難しい状況です。
ドイツ銀行は今年10月のレポートで、今後2年間に人民元が対ドルで17%下落するというレポートを発表しました。これはトランプ氏が次期大統領に決まる前の予測ですから、現実には下落幅はさらに広がることと思われます。
しかもトランプ氏は中国の産品に対して高い関税をかけるとも主張しています。通常は通貨の価値が下がれば輸出競争力が高まりますが、関税をかけられれば、そのメリットを享受できなくなります。中国にとってアメリカは最大の輸出国ですが、そのアメリカが中国製品をもう受け付けないとしているわけです。
そうなれば、輸出が落ち込む一方で、輸入コストが大幅に上がるという、負の面しかなくなることになります。すでに食糧輸入国に転落している中国にとって、これは死活問題です。
先般、アメリカとEUに加えて日本が中国をWTO(世界貿易機関)協定上の市場経済国地位を認定しないことを決めました。過剰生産された鉄鋼などを世界に対して不当廉売してきたことが理由です。これに対して中国は猛反発しています。人民日報は「中国の市場経済地位認定を拒否する西側は代償を払うことになる」という記事を書いて欧米日を批判しています。それだけ後がないということの現れでもあります。
● 中国の市場経済地位認定を拒否する西側は代償を払うことになる―中国紙
2017年にはオランダ、フランス、ドイツと、欧州の大国で大統領選挙や首相を選ぶ選挙が行われます。ここで反移民や反グローバリズムを謳う保守政党が躍進すれば、EUの解体が現実味を増してきます。
ドイツのベルリンではクリスマス市にトラックが突入し、多くの死傷者が出ました。テロの可能性も指摘されており、場合によっては移民受け入れを支持してきたメルケル政権に対してさらなる打撃となりかねません。
このように、グローバリズムから反グローバリズムへと世界が転換するなかで、グローバリズムの恩恵をもっとも受けてきたBRICS諸国、とりわけ中国は、大打撃を受けることになるでしょう。しかも、過剰生産のはけ口としてグローバリズムを利用するという輸出構造ですから、世界がこれにNOを突きつけるのも当然なのです。
マクロ経済史から見た中国の経済成長は、内的には、「竹のカーテン」を開いて「自力更生」という自信過剰の中華思想をやめて「改革開放」という外資を頼る「他力本願」という180度異なる政策変更にあります。また外的には、冷戦終結後の「パックス・アメリカーナ」の時代に、カネ、人、資源、技術などの国境を超えた移動、すなわちグローバリズムの拡散によって、BRICSが生まれたことがあります。
しかしグローバリズムの後退と、「本土主義」「自国優先」の潮流拡大により、通商国家である中国は生存条件が次々と消滅することになります。そして天下大乱を目前にして、中国人が祖国(あるいはホームグラウンド)から大脱走するということは、すでに2,000年近く前の漢王朝の天下崩壊から延々と続けられてきたことです。つまり、いまは「崩壊前夜」ということなのです。
中国人は、「中国は人類史の95%にわたって時代の主役として独走してきた。西洋人にわざと譲ってあげたのはほんのここ数百年のみだ」と国自慢していますが、それには何の根拠もありません。
しかしそのような妄想を肥大させ、人民元を国際化・決済通貨とすることで、ドル基軸体制から逃れるとともに、人民元経済圏をつくり、自国の経済に有利な決済を可能としようとしてきた中国ですが、その目論見は早くも崩れ去ろうとしています。誰も人民元を使いたがらないという状況で、あとは通貨暴落、そして国家崩壊が待ち受けているだけなのです。 MAG2NEWSより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年12月24日土曜日
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