2016年12月16日金曜日

【日本を守る】サウジ崩壊危機の影響は 日本は電力が止まって“蛍の光、窓の雪”の生活

日本の国力は、電力によって支えられている。

砂漠と、ナツメヤシとラクダと、石油が噴出する国々が集中するアラビア半島に、日本はエネルギーの80%以上を依存している。

シリアはアラビア半島の脇にあるが、過激派組織「イスラム国」(IS)と、米国、ロシア、英国、フランス、シリアのアサド政権、反体制派、トルコ、イラク、イラン、レバノンのヒズボラ、クルド族、諸派の軍や民兵が入り乱れて、死闘を繰り広げている。出口が見えない。

私はワシントンを訪れて、安全保障の関係者に「中国とサウジアラビアのどちらが先に崩壊するか、賭けをしよう」というが、賭けが成立しない。全員が私と同意見で「サウジアラビアだ」と答える。

サウジアラビアにISの不気味な黒い旗が翻る可能性は、かなり高いものがある。ISは、イスラム原理主義のイデオロギーだ。イデオロギーはいくら爆撃しても、粉砕できない。

もし、サウジアラビアが崩壊して、アラビア半島が混乱に陥れば、日本は原子力発電所の稼働をほぼ止めているから電力が止まって、“蛍の光、窓の雪”の生活を強いられることになる。

サウジアラビアと中国は、3000万人対14億人と人口こそ違うが、双生児(ふたご)のように、よく似ている。

中国は習近平国家主席をはじめ、300のファミリーが支配している。サウジアラビアは数え方によるが、3000のプリンスのファミリーが支配している。両国とも政治、集会、言論、表現の自由がまったくない警察国家だ。

サウジアラビアは反目する多部族から構成されているが、これまで潤沢な原油収入によって、家賃から光熱費、水道料、医療費、教育までタダという、バラまきによって、国内不満を抑えていた。

原油価格の暴落を受けて、政府は「脱石油」による経済大改革を試みているものの、もはや手遅れだ。原油高価格という“黄金の杖(つえ)”を失ない、社会不安が増大している。

中国も社会安定を、右肩上がりの経済成長に頼ってきたが、魔法の杖を失ってしまっている。がむしゃらな経済運営が破綻して、体制が大きく揺らごうとしている。

おそらく、トランプ次期米政権は、シリアをアサド政権を助けるロシアに委ねて手を引き、イスラエルと結び、エジプトを守ることになるだろう。 夕刊フジより

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