中国、トランプ、北朝鮮、日本を取り巻く環境がきな臭くなっている。専守防衛に徹し、海外に展開できる装備は持たない自衛隊。安保法とトランプ大統領の誕生で、どう変わろうとしているのか。AERA 12月12日号では「自衛隊 コストと実力」を大特集。最新兵器から出世レース、ミリメシまでいまの自衛隊に密着している。
米次期大統領が日米安保不要論を叫び、「積極的な武器使用」を認められた自衛隊が海外で活動する時代が来た。日本を守るのは誰なのか。自衛隊の実戦配備について、軍事評論家の田岡俊次さんに寄稿していただいた。
第2次世界大戦から71年。これは大坂城の陥落から元禄年間への歳月にほぼ匹敵する。2世代平和が続いたのは誠に結構なことながら、多くの自衛隊の高級幹部や防衛官僚も戦争を現実的に考えず、もっぱら組織の「自衛」と予算確保を目指すため、非合理な戦略、政策が生まれる。
その一例は、「水陸機動団」だ。尖閣諸島などが中国に占領された際、上陸作戦による奪回を目的とし、約3千人の日本版海兵隊を2018年度に編成する方針で、MV22(オスプレイ)17機、AAV7水陸両用車52輛などを購入する。
だが島の攻防戦では制空権(航空優勢)が決定的要素だ。敵の制空権下を島に向かう揚陸艦は空対艦ミサイルの標的となり、オスプレイも簡単に撃墜され、上陸部隊は全滅しかねない。仮に相手の航空機が一時的にいない隙を突いて接近、上陸に成功しても、後続部隊や補給を断たれれば、先に上陸した部隊は「玉砕」だ。逆に、こちらに制空権があれば、相手は上陸侵攻できないし、不意に上陸しても補給を切れば降伏する。
東シナ海は中国にとり最重要の「台湾正面」というと驚く幹部が少なくない。そこを担当する「東部戦区」には新鋭機が優先的に配備されてきた。台湾空軍の戦闘機約410機に対抗し、中国空軍と海軍航空隊も東シナ海沿岸に約400機を配備し、うち240機以上は日本のF15Jなどに匹敵する「第4世代戦闘機」と見られる。
中国空軍はかつての戦闘機4500機を機種更新で1400機余に削減したが、操縦士の年間飛行訓練は欧米の資料で約150時間、航空自衛隊と同等だ。
一方、航空自衛隊は那覇にF15約40機を配備し、九州の築城(ついき)、新田原(にゅうたばる)両基地から20機ほどを出しても、計60機。中国の第4世代戦闘機に比し4対1の劣勢だ。日本側には早期警戒機E2Cで相手を早く探知できるとか、電波妨害などの電子技術や戦闘機の稼働率も高い、などの利があっても、4対1の数的劣勢を補えるか否かは疑問だ。もし真剣に尖閣防衛を考えるならオスプレイなどよりもF35ステルス戦闘機の追加購入など、制空権の確実な掌握のほうが先決問題だろう。
「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力を検討、必要な措置を講じる」。これは2013年12月の「防衛計画の大綱」などに書かれているが、ミサイル基地攻撃を意味する。だが攻撃能力を持っても、北朝鮮の弾道ミサイルの移動発射機の位置が不明では攻撃できないのだ。
「偵察衛星でわかりませんか」と言う自衛隊の将官もいたが、これは地球を南北方向に1周約90分で周回。1日に約1回、世界各地の上空を時速約2万8千キロで飛ぶ。北朝鮮上空は1分以下で通過する。固定目標は撮影できるが、移動する物体は発見できない。静止衛星は赤道上空3万6千キロの高度だから、ミサイル発射時の熱しか感知できない。多数の無人偵察機を北朝鮮上空で常時旋回させておけばミサイルを発見できるが、対空ミサイルで撃墜される。
平時の対地攻撃訓練では標的の位置は決まっているから、目標を探す困難を忘れた論が横行する。すべての核ミサイルを同時に破壊するのは不可能で、こちらが核反撃を受ける危険が大きい戦略だ。 AERA 2016年12月12日号
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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