● 中国、逃亡者引き渡し求め米国に強硬姿勢
中国は、アメリカに逃げている最重要指名手配犯である令完成の引き渡しを求め、これを拒否するならば、アメリカに対して司法的な協力を停止すると警告しているようです。
令完成とは、胡錦濤の側近中の側近で昨年2月に汚職容疑で党籍を剥奪、7月に逮捕された令計画の弟で、兄の失脚に伴い、共産党内部の極秘情報を持ってアメリカに逃げたとされています。
その極秘情報とは、共産党最高幹部たちの汚職情報やセックススキャンダル(セックスビデオ)だとされ、習近平のものも含まれていると噂されています。なぜそのような情報を入手しているかといえば、胡錦濤政権時代、兄の令計画が党中央弁公室主任(日本の官房長官のようなもの)という大きな権力を行使して、女性を党幹部に貢いできたということがあるからです。
中国は昨年からこの令完成の引き渡しを求めてきました。ただし、アメリカと中国は犯人引き渡しの条約を結んでいませんから、アメリカ側は拒否し続けてきたのです。
中国がここにきて強硬姿勢に出始めたのは、令完成がついにアメリカ当局に持ち逃げした極秘情報を渡し始めたからのようです。上記のような情報がもし公になれば、習近平政権は一気に吹っ飛んでしまうでしょう。
● Chinese Defector Reveals Beijing’s Secrets
中国では「権銭交易」(権力を金で買う)という言葉がありますが、こうした女性で権力を籠絡することは「権色交易」と言います。令計画は自らの権力を利用して、さらに上の高級幹部たちへ女性をあてがっていたとされています。
また、令計画は非常にマメで、1999年に党中央弁公室の副主任に任命されたときから、こうした幹部への汚職斡旋や色仕掛けについて、事細かくメモをとっていたとされています。
それを弟の完成に託し、自らは失脚、逮捕となったというわけです。完成は2,700件もの極秘情報を抱え、「王誠」などという偽名を使ってすぐにアメリカに飛びました。彼はアメリカへの亡命を希望していると報じられています。
一方、もちろん習近平政権は令完成を追うべく、多くの要員をアメリカに送り込み、令完成を捉えようとしました。場合によっては暗殺を考えていたかもしれません。しかしそれが無理だったので、チャイナセブンの1人で、中央紀律検査委員会のトップである王岐山自らが昨年の夏にアメリカに乗り込もうとしました。
9月には米中首脳会談が控えており、習近平が訪米する予定でしたから、なおさら令完成の引き渡しをアメリカ側に迫りたいと思ったのは当然でしょう。
しかし、その直前になってアメリカ政府当局はJPモルガンに対して王岐山に関する情報を提供するように要請したことが伝わり、王岐山自身が汚職に手を染めていることが公になる可能性も出てきました。
● 米当局、JPモルガンに中国高官情報の提供を求める
加えて、こちらもアメリカに逃亡している郭文貴という中国人の大富豪が、アメリカのメディアへのインタビューで、王岐山が過去に汚職していたことを暴露しました。
● 習主席に脅威 側近に“黒いカネ”爆弾 「反腐敗運動」トップ自ら汚職疑惑
要するに、アメリカが中国を牽制し、令完成の引き渡しには応じないということを、暗に示したわけです。こうしたこともあって、王岐山の訪米は中止となってしまったわけです。ちなみに中国はこの郭文貴の引き渡しもアメリカに求めています。
また中国政府は海外逃亡した腐敗官僚を摘発することを「キツネ狩り」と呼んでいますが、令完成の本来の苗字は「令狐」であり、令完成をターゲットにしていることを暗に示しているとも言われています。
それはともかくも、昨年9月末に行われた米中首脳会談ではほとんど何も決まらず、習近平に対するオバマ大統領の冷めた態度が話題になりました。習近平は「新しい大国関係」を強調するだけ、逆にオバマ大統領からは「中国はサイバー攻撃をやめろ」と言われて、約束させられてしまいました。習近平側の外交的敗北は明らかでした。
その後、米中関係は急速に悪化し、南シナ海にアメリカ軍が展開する「航行の自由作戦」へと進み、中国が反発するという構図が繰り返されてきたことは、ご存知のとおりです。
しかしここに来て令完成がアメリカ側に情報提供を始めたということで、中国政府は非常に焦っていることでしょう。以前のメルマガでもお伝えしたように、習近平政権は自らのスキャンダルを封印するために、香港の銅鑼湾書店をはじめ、出版、書店関係者を拉致、拘束しています。
習近平は腐敗追放運動によって、政敵の勢力を弱体化させてきましたが、その結果、多くの汚職官僚が追及を恐れて海外逃亡するようになりました。そのうえ、習近平政権の息の根を止めるかもしれない爆弾までも外国へ流出させることになったのですから皮肉なものです。
一説によれば、アメリカのCIAはすでに令完成の機密書類をすべて調査完了しており、それ以外の「裸官」(海外に妻子と不正蓄財を逃して自分は中国に残って汚職を続ける官僚)の資料も1人残らず把握しているとも言われています。
「令完成が機密文書をアメリカ当局に提出し始めた」といった情報を少しずつ流し、習近平政権が慌てる反応を見ているのだともいいます。そうであれば、令完成を中国に送還しても、どうということはありません。
中国からのキャピタルフライトは年間300兆円とも、600兆円とも、さまざまな説がありますが、いずれにせよ、このまま資金流出が続けば、世界の最貧国レベルまで落ちていくことは避けられない情勢です。アメリカとしては、あとは軍の造反を待っているところなのでしょう。
また、習近平の盟友である王岐山についても、最近、習近平と距離を取りつつあると言われています。その理由について、チャイナウォッチャーはいろいろと憶測していますが、もしかすると、王岐山も海外への高飛びを考えているのかもしれません。とはいえ、中国から脱出しても、上海閥の怨みは激しいですから、いずれ報復される可能性も高いといえるでしょう。
習近平は中国の経済破綻、国内での反対勢力からの反撃などに対処しつつ、外国からの機密情報漏えいに怯えなくてはならないという、まさに四面楚歌的な状況に陥っているのです。
MAG2NEWSより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年3月18日金曜日
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