日本近海に眠るメタンハイドレートには2つの特徴があります。(1)最低でも120兆円の金銭的価値がある、(2)日本人が使う天然ガスの100年分以上の埋蔵量がある。開発状況と実用化も含め、「海と経済」の第一人者であり、新刊『完全図解 海から見た世界経済』の著者である山田氏に聞いてみました。
● 100年分のエネルギーが眠っている
日本の管轄海域内の海底には、「メタンハイドレート」というシャーベット状になった天然ガスが大量に眠っています。その埋蔵量は、12・6兆立方メートルと推定されています。
日本国内の天然ガス消費量は、年間約1125億立方メートル(2014年)ですから、日本人が使う天然ガスの100年分以上が日本の海底に存在していることになります。
メタンハイドレートは、低温かつ高圧の状態で水の分子がメタン分子を包み込む形で組成された固体結晶です。見た目は氷のようですが、火を点けると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれます。メタンは、石油や石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素排出量がおよそ半分程度であり、環境対策に有効なエネルギーと考えられています。下図がメタンハイドレートのイメージです。
● 日本に多く存在している
メタンハイドレートは、世界中の寒冷地の地底や沿岸部の海底に、その存在が確認されています。その中でも特に日本の沿岸部に多く存在していることが知られています。
日本では、北海道の網走沖、日高沖から青森県の太平洋岸、秋田県から新潟県沖にかけての日本海、佐渡島と能登半島に挟まれた富山湾、鳥取県沖から島根県沖の隠岐諸島周辺海域、静岡県から和歌山県にかけての南海トラフ、四国沖の太平洋などに埋蔵されていることが報告されています。
1930年代、メタンハイドレートは、シベリアの永久凍土の地底から発見されました。その後、各国が研究を重ねた結果、2007年冬と2008年冬の2回、日本とカナダの共同研究によって、カナダ北西部の永久凍土の地下1100メートルのメタンハイドレート層から、メタンガスを回収することに成功しました。
2013年3月、日本は、世界で初めて海底からメタンハイドレートを採取し、生産に成功しています。このときは、南海トラフの水深1000メートルの砂層から、6日間かけて約12万立方メートルのガスを回収しました。しかし、7日目にパイプに砂が詰まり作業を中止することになり、その後に課題を残しました。2015年には、作業を再開するめどが立っています。
● 現在も開発が進む
現在、資源エネルギー庁は、日本海側の新潟県沖と能登半島沖での採掘調査を行う準備を進めているところです。日本海側のメタンハイドレートは、海底の表層に存在し、特に富山湾では、水深500メートルと他の埋蔵海域に比べ浅く、生産に適していると期待されています。生産における今後の課題は、海洋環境に与える影響や安全な精製過程の研究とコストダウンなどが考えられます。
これらの条件を克服することが商業化の前提となるでしょう。2014年度のメタンハイドレート開発促進事業の政府予算は127億円であり、さらに補正予算で20億円が追加されました。政府としてもメタンハイドレートを次世代のエネルギーとして期待しています。
● 最低でも120兆円の価値がある。 2018年には商業化も
将来的にメタンハイドレートの総生産量は、回収率を約3分の1と想定して4・1兆立方メートルと推定され、金額的には最低でも120兆円を超えると言われています。年間推定生産量は約500億立方メートル、金額にして1兆5000億円。経済波及効果は合計3兆円に上ると考えられています。
2007年に制定された海洋基本法に基づき、2013年に制定された海洋基本計画では、2018年に商業化することと、2023年以降は民間企業主導による開発に移行する目標を立てています。
現在、天然ガスの多くは、中東やオーストラリア、ロシアなどからの輸入に依存しています。しかし、戦乱などの事情により輸入が制限されることになっても、メタンハイドレートの開発を続けていれば、自前のエネルギーを持つ道が開けます。 yahooニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年3月26日土曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁
金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...
-
インターネット 上には「掛けてはいけない電話番号」と銘打たれた、詳細不明の電話番号のリストが多数存在しています。それら電話番号と共に書かれている文面を見るに「掛けると死ぬ」「呪われる」「ドッペルゲンガー」「 宇宙人 」「貞子の電話番号」「花子さんの電話番号」などなど、いかにも恐ろ...
-
ホラー 映画『ファイナル・デッドコースター』で描かれるような遊園地での悲惨な死亡事故は、残念ながら現実でも起きてしまうことがある。今年8月には岡山県の遊園地で、走行中のジェットコースターの安全バーが外れ、乗客1人が負傷する事故が発生した。また、同日には大分県の遊園地でも、レールを...
-
人を殺した人と会う。 死刑囚 の実像に迫るシリーズ【3】 「“あの時”に 時間 を戻せたらいいのに、ということはいつも思います。ただ、もしも“あの時”に戻れるとしても、今の自分で戻りたいです。自分まで当時の自分に戻ったら、また同じことを繰り返してしまいそうだからです」 昨...
0 件のコメント:
コメントを投稿