常に「大事件」を必要としているウォール街
この数日の暴落で1800円も下落した日経平均ですが、翌日1日だけでプラス1069.97円の大反発。下落幅の半分以上を取り戻した勘定になります。
これは、明らかに欧米の投機筋(ヘッジファンド)がレバレッジを目いっぱい効かせて株価を乱高下させ、ボラティリティ(価格変動の幅)を上げたことによるものです。
獰猛なプロの投資家にとって、もっとも恐ろしいことは値動きが止まって凪(なぎ)のような相場になることです。上げでも下げでも、値幅を取ってこそ利益が出るのですから、平らな相場が、いつまでも続くことは真綿で首を絞められることと同じなのです。
そのため、ウォール街は、ときに、世界中のテロリスト・ネットワークとのコネクションを通して、9.11のような大規模なテロが起こる計画を事前に知ることによって、常に大儲けができる、ということになるのです。
この「ありえない激変」が、ボラティリティを大きくして多くの投資家に潤いを与えるのです。ですから、ウォール街は常に大事件を必要としているのです。
モンサントのような軍産複合体の多国籍企業がテロリスト(彼らは、それを「傭兵」と呼んでいるが)に経済的支援を行ったり、エジプト革命のような中東全域に連鎖するような大きなうねりを作り出すために、「民主化を支援する」という大義名分を使うのです。
目利きが見ると、瞬間的に「この事件には、あの多国籍企業が関わっている」と分かるぐらい、この“投資モデル”は使いつくされてきました。ですから、それが通用しなくなってきたのです。
カモにされるGPIF(日本年金)
ところが、私たちの年金を、まるで自分たちのポケットマネーのように株式市場に突っ込み、日経平均を吊り上げているGPIFほど、その投資パターンが誰にでも分かる“お人好しのご本尊”はないのです。
日経平均を高値で維持し続け、国民を騙しつつ憲法改正に突き進もうとしている安倍首相が、株式市場が下落するごとにGPIFの職員を呼びつけて「年金をどんどん突っ込んで日経平均を上げろ」と怒鳴りつけている様子が内部から漏れ伝わってしまうくらいですから、欧米の投機筋であれば、とっくの昔にGPIFが安倍首相の意向で恣意的運用を余儀なくされていることを知っています。
短期間(数日)で株価を先物で暴落させれば、狼狽した安倍首相が、再び「ありったけ突っ込め」とGPIFに檄を飛ばすことが分かっているので、ヘッジファンドは、思い切りレバレッジを利かせて売買を行えば確実に巨利を得ることができるのです。欧米勢にとって、もはや“濡れ手に粟”の市場がGPIF主導の東証なのです。
マイナス金利」はステルス増税
「アベノミクスとは最初から幻想であり、世界の投資家を煙に巻きながら、ウォール街に日本の国民の富を貢がせるために考え出された悪性ウィルスだ」と書き続けてきましたが、いずれにしても、化けの皮が剥がされて末期症状に至った、ということです。
それを私は、「ステルス増税」ウィルスであると書いてきました。ウォール街という世界政府の集金マシーンに納税しているのです。つまり、「あなたは自覚できないかも知れないが、あなたの富が、この瞬間もこっそり盗まれ続けている。そして、今後、さらにそれは酷くなる」ということです。
前回記事(米FRB、まさかの「マイナス金利導入」で終わる市場~国際決済銀行(BIS)の罠)では、「世界の中央銀行をコントロールしている国際決済銀行(BIS)の隠された狙いがそこにあるのです。人々の銀行口座は、そのとき、すっからかんになるはずです」と最後を結んでいますが、それについて、もっと詳しく説明したいと思います。
個人投資家が知っておくべき「2月16日」の不気味な符合
日本のみならず、世界中を騙した犯人捜しをすることは意義のあること(もちろんそれは、日本の財政破綻を促進したいと考えている国際金融マフィアの総本山=国際決済銀行の走狗である日本の経済学者、霞が関の官僚。そして、新世界秩序の下請け機関である安倍政権と国際決済銀行に隷属している日銀)ですが、すでに“待ったなしの状況”に突入してしまったので、それは次に回しましょう。
2014年6月、欧州中央銀行(ECB)は、とうとう「名目の」マイナス金利の導入を発表しました。遅れること1年半、日本の中央銀行である日銀も「名目の」マイナス金利の導入を宣言し、それは2月16日からスタートします。
この「2月16日」という日は、意味のある日です。70年前(1946年)の2月16日、当時の大蔵大臣、渋沢敬三が「預金封鎖」を発表した日です。終戦の翌年のことでした。現在の政府の財政状態が、その頃に酷似していることから、「株価暴落で憶測飛び交う…戦慄『2.16預金封鎖』の現実味」といった恐ろしい見出しの記事も2、3出ています。そして、NHKも去年の2月16日、「預金封鎖」を特集した番組を放送したのです。
この「預金封鎖」によって、国民は銀行口座に残高があっても、自分のお金が引き出せなくなったのです。政府が「預金封鎖」を断行した表向きの理由は、「暴走するインフレを抑えるため」でしたが、本当の目的は「戦争で負った借金を国民に負わせる」ことが目的で、それを「財産税」という形で課税する必要があったからです。(NHKオンライン「“預金封鎖”もうひとつのねらい」)
つまり、国民が自分のお金を銀行から引き出して、国の監視の目の届かないところに資金を避難させることができないように凍結してしまったのです。政府は国民の資産状況(それだけでなく消費動向までも)を把握するために「マイナンバー」を用意したのです。
政府は、戦争で生じた借金の返済を行おうと、当時の貨幣価値で10万円を超える資産に最高90%の財産税を課税することを決定。2年後に「預金封鎖」が解かれたときには、銀行残高は大幅に目減りしていたのです。これは、お金持ちを直撃しました。
預金封鎖が解かれるまで、ミニお大臣であっても、雑草を茹でて食べたりして何とか命をつないだのです。昭和19年【終戦の前年)当時の日本政府の債務残高はGDPの2倍で204%でした。現在は、日銀が発表している債務残高の国際比較(対GDP比:2014年11月時点のデータ)によると233.8%にまで膨れ上がっています。
日本の政府債務の増え方は、GDPとの比率で見ると財政破綻したギリシャより悪いのです。自民党の長期政権下で、日本政府はまるで計画的に日本を財政破綻に導くために借金を積み増してきたとしか考えられないのです。
よく、「政府債務がGDPの2倍以上あろうとも、国債を買っているのは外国人ではなく、国内の機関投資家や個人なので、日本は財政破綻しない」という専門家がいます。とんでもない間違いです。
日本の場合、国債の主な買い手は民間の銀行です。その原資は、あなたの預金です。銀行は進んで政府が発行した国債を買っているのではなく、半ば「押し付けられて」買っているのです。
日銀のマイナス金利導入の直接的な目的。そして何が起こるか
民間銀行は国債を政府から買うと、その代金を政府に支払います。それは私たちの預金です。その時点で、私たちは政府に「金を貸している」ことになるのです。それも、「有無を言わさず」です。
しかし、日銀はすぐに買いオペを実施して民間銀行から国債を買い取ります。その代金は、信用創造によって日銀が1万円札を印刷して民間銀行に代金として支払うのです。その代金は、日銀に開設されている民間銀行の当座預金に振り込まれます。
もともと、日銀と取引を行っている民間銀行は、一定割合の所要準備金を「準備預金」として日銀の当座預金に預けることが義務づけられています。1月29日現在の「準備預金」の額は254.7兆円に上っており、なんと234.7兆円分が「超過準備預金」となって、日銀の当座預金として眠り続けているのです。この234.7兆円分の「超過準備預金」に年0.1%の利息が付くため、民間銀行は政府の担当者から「今度発行する新規国債を買うように」と、命令口調で言われても大人しく従ってきたのです。
しかし、2月16日からは、民間銀行が日銀に国債を売った際に、日銀から当座預金口座に振り込まれる代金が「準備預金」として積み増しされた分については、マイナス0.1%という名目上のマイナス金利が付くことになったのです。
この措置を、もっと分かりやすい話に置き換えると、傘を持っていない人が、やっと見つけたとあるレストランに入ったところ、料理どころかコップ1杯の水さえ出さないレストランだったということです。
さらに、レストランの椅子に座っている時間分だけ、「雨宿り賃」として支払わなければならない、ということなのです。
誰でも、レストランに行けば、おなかを満たしてくれると思っているところに、逆に懐を寒くされてしまうレストランだったというわけです。しかたなく、その人は空腹のままレストランから出ていって、雨に濡れながら何か食べさせてくれる場所を自分で探さなければならない、ということなのです。また、有料パーキングにたとえることもできます。
新車を買ったある男が、月極の有料駐車場にその新車を預けっ放しにしておけば、時間の経過とともに新車の価値が減価されていくだけでなく、駐車料金を支払わなければなりません。それではかなわんと、その新車のオーナーは、できるだけ車を使うように遠出をするのですが、免許を取りたてであるため、事故を起こさないか戦々恐々で運転するのです。
日銀のマイナス金利導入の直接的な目的は、2月16日以降、民間銀行が国債を日銀に売って得たお金は、雨の中を彷徨ったり、遠出をしたりして「安住の地」を自分たちで見つけなさい、というものです。
今回の措置は、234.7兆円分の「超過準備預金」には適用されませんが、日銀・黒田総裁の狙いが、この莫大な「超過準備預金」を市場に出したいということあることは自明です。しかし、問題は、外はどこも雨降りだということです。
快適に雨宿りできる場所をたくさん作ることこそが政府の仕事なのですが、憲法改正にばかり囚われている政府は、今まで何の有効な経済政策も打って来なかったため、雨宿りの場所を自力で見つける体力を持っていない脆弱な銀行にとっては、下手をすると風邪をひいてしまうか、最悪、低体温症で死んでしまう危険さえあるのです。それがまっさきに訪れるのは地銀でしょう。
ここまでで、人々は、いったい、どんなシナリオを描くでしょう。
それは、政府が新しい産業セクターを育成する国策事業に踏み出さない限り、この234.7兆円の巨大な余剰資金は市場に出て行かない、ということです。それどころか、今の安倍政権では、せっかく助け舟を出した日銀に再び圧力をかけ、国債の発行額をさらに増やそうとするだけでしょう。
そうすれば、何が起こるかそれは、前号のメルマガで書いたとおり、銀行は国債の買いに殺到し、その国債の価格が上がるのを待って日銀に買い取ってもらうことなのです。
1月29日の政策金融決定会合で日銀がマイナス金利導入を決定してから11日目の2月9日、長期金利の代表である10年国債の利回りがマイナス0.035%と史上初めてマイナスになりました。
10年国債を買った銀行は、満期が来る10年後まで保有し続けると、元本(買ったときの値段)を割り込んでしまうので損をすることになります。しかし、民間銀行は10年国債の買いに殺到しているのです。なぜなのかそれは、マイナス金利が付いている10年国債でも日銀は買い取ることを約束しているからです。
そうすれば、民間銀行は、とりあえず10年国債を買っておけば良しと考えるので、買い手が大勢いる10年国債の価格はつり上がっていきます。
考えられる3つの危険なシナリオ
国債の価格と利回りとは逆相関の関係があるので、国債の価格が上がれば利回りは少なくなります。それが、瞬間で0.035%と史上初めてのマイナス付き国債となったの理由です。
民間銀行は、国債の価格が上がると読んで、最初の安い時点で買っておいて、高くなったら日銀に買い取ってもらおうと考えているのです。
その代金は民間銀行が日銀に開設している当座預金に振り込まれて、年マイナス0.1%の金利が付きますが(元本割れ)、それでも国債買ったときより高く売れれば、数年間分のマイナス金利分の損失は十分補てんできると考えているのです。
ブルームバーグによると、現在は一服して、10年国債の金利はマイナスからプラスに戻って0.07%の金利が付いています。しかし、1年国債から5年国債までの短・中期国債については、総じて10年国債より価格上昇率が高いためマイナスの金利が付いています。
これは、民間銀行が、1~5年の短・中期国債の価格がまだまだ上がると予想していることを表しているのです。しかし、今日実施されている20年国債の入札も順調で、民間銀行は、さらに長期国債の買いにも手を出しているのです。その結果、利回り変化率もマイナス0.005%と減少したものの、利回りは0.8%がついています。
このように、マイナス金利を導入したことによって、国債の買いについては、短期国債から20年の長期国債に至るまで順調な滑り出しとなっています。しかし、将来においては、非常に危険な兆候をはらんでいるのです。
それは、3通りあります。
ひとつは、国債の価格上昇が、どこかで止まった場合です。そのときの日銀のマイナス金利が0.1%より増えていた場合、民間銀行は日銀に国債を売ることによって、それこそ損失がでてしまう事態が考えられます。そうなれば、民間銀行は国債を売らずに保有したままにしておくでしょう。
これは、さらなる国債バブルにつながります。その場合、国債の市場での流動性が徐々に奪われていって、新規国債の買い手がつかなくなってしまうのです。それは、政府が民間から資金調達できなくなることを意味します。つまり、財政破綻です。ひとつは、国債バブルがはじけることです。
その要因は、国内要因だけとは限りません。大規模なテロが起こったり戦争に突入した場合、あるいは、ドルが完全に崩壊して米国経済が破綻した場合、日本がすでに保有している110兆円超の米国債は紙切れになるかもしれません。
その場合、日本政府に対する信用が棄損され(ソブリン・リスクの増大)、円や国債を始めとする債券の価格が暴落します。民間銀行は、それまで、たっぷり国債を抱え込んでいるので、その瞬間に不良債権化してしまうのです。
そうなれば、金利が急騰しデフォルトに至ります。その規模は、民間銀行が国債を保有している分だけ想像を絶する大規模なものになるはずです。それは世界中に波及します。
3つ目は、日銀の黒田総裁が「マイナス金利幅を広げる可能性がある」と言明しているように、
234.7兆円分の「超過準備預金」についてもマイナス金利を採用するかもしれないということです。
恐らく、日銀は、234.7兆円分の「超過準備預金」のうち、わずかずつマイナス金利を導入すると宣言するでしょう。そのとき、すでに国債バブルが危険水域に達していた場合、仕方なく当座預金の資金は市場に向かわざるを得なくなりますが、そのときの世界情勢によっては株式市場に向かうのではなく、不動産や金や銀といった貴金属の現物に向かうはずです。今度は、資産バブルになるのです。そして、その資産バブルも、いつかははじけることになります。
このシナリオが、もっとも遠い未来に「やって来るもの」ということになりますが、それがいつなのかは分かりません。少なくとも言えることは、資産バブルは、まだ始まっていない、ということです。
それを謳歌できるかどうかは、ここからの説明することを理解することが大切です。
FRBの3月追加利上げは見送り?それどころか「マイナス金利を検討」
さて、再び話を「マイナス金利」に戻しましょう。日銀が民間銀行から国債を買い上げた時点で、民間銀行にお金を預けている預金者は「政府に対する債権者」ではなくなります。
しかし、何の裏付けもない紙切れが増刷され、それが国債の購入費用の支払いに充てられたことによって、国民の銀行預金の購買力は削られてしまっているのです。つまりは、預金者のお金の価値が減価されてしまったことになるのです。
これは、預金者が銀行口座に預けてあるお金に限りません。日本中に出回っている「円」の価値が希釈されてしまうことになるのです。つまり、インフレと似たような現象が起こるのです。
それでも、金利がバブル時代並に高ければ、あなたの預金が減価されてしまった分を補てんすることができますが、これまで続いている長期のゼロ金利状態で政府が国債をじゃんじゃん発行し、それを民間銀行が次々に引き受ければ、あなたの貯金は、民間銀行が国債を購入するごとに価値が減っていくのです。
黒田総裁は、個人の預金者の不安を打ち消すように、「マイナス金利は個人預金はならない」と言明しましたが、これは、あくまでも「名目上」の話であって、「実質上」は、あなたの預金はこの瞬間も目減り(購買力が減って)しているのです。
つまり、銀行にお金を預けていることそのものが、見えない増税=「ステルス増税」の課税対象になっているということです。結局、あなたは今でも政府に「見えない税金」を納めていることになるのです。ですから、現在のようなゼロ金利状態で銀行にお金を預けたままにしておくと、個人の預金口座にまでマイナス金利が及ばなくても、実質的な価値が目減りしているということになるのです。
これは、日本だけでなく、各国の中央銀行がマネタリー・ベースを操作してきたことによって生じてしまう弊害です。ほとんど、すべての国の通貨が減価されてきたことは、金(ゴールド)の価値と照らし合わせると明らかです。
(※第139号パート1「景気後退が加速する2016年からは金に主役が交代か!?」にて詳述)
日銀がゼロ金利政策を導入したのは、1999年(平成11年)2月、短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15%に誘導することを決定した時点からです。
その間、政府が発行する国債はどんどん増え続け、逆に、あなたの銀行預金には、ほとんど金利はついていません。つまりゼロ金利が始まって以来、16年間も「政府に略奪され続けている」と見なしても良いのです。
ただ、幸いなことに、物価上昇率が1999年から2012年まで、マイナスかゼロを維持してきたので「円」の価値がそのまま温存され、所得が伸びない割に購買する商品価格に「お値打ち感」があったことです。
ところが、欧州中央銀行(ECB)が1年半前に「名目の」マイナス金利を導入し、日銀もそれに続いてマイナス金利の導入を決定したことから暗転するのです。
さらに、連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレンまでもが、マイナス金利の導入をほのめかす発言を行ったとなると、世界の金融は、今までとまったく「逆相の様相」を呈すことになるのです。
「逆相の様相」は、実は私たちの目にはまったく見えないのです。気を付けなければならないのは、「これからは銀行員を信じてはいけない」ということを肝に銘じることです。銀行員は、この事態を理解していません。まさしく「盲人が盲人の手を引く」世の中になるのです。
だから、私たちは「目には見えない逆相」を心の目で見ながら、次に備えなければならないのです。
それができなければ、「あなたはサバイバルできない」どころか、銀行員をはじめとする「盲人」たちとともに、崖から無理心中させられることになります。
しかし、「見えないものが見える人」には、その逆で、それなりに楽しいチャンスが巡って来るのです。
ECBは3月大幅利下げか?
2014年6月5日、日本、ヨーロッパ、米国、英国の「ビッグ・フォー」と呼ばれている世界の巨大中央銀行のうち、いち早く欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利を導入しました。中央銀行の歴史では初めてのことです。
そのとき、ECBのドラギはこう言ったのです。「これが終わりではない」。このとき、マイナス金利政策の継続を示唆したのです。
ECBの本当の目的が、量的金融緩和そのものではなく、むしろマイナス金利の導入と、これを一歩二歩進めることであることが分かったのです。
事実、去年の12月3日、ECBは追加利下げを発表し、それまでのマイナス0.20%からマイナ0.30%に引き下げることを決めたのです。
さらに、今年1月21日に行われた政策理事会後の記者会見では、次回3月の政策理事会で金融政策の見直しを行うと表明、昨年12月の小幅の利下げとは異なり、次回3月については、市場予想を上回る大幅な利下げ幅とすることでサプライズ効果を生もうとするのではないか、という憶測が流れているのです。
市場関係者は、3月に注目しています。
FRBもマイナス金利を導入すれば大波乱に至る!?
トヨタを始め、大手輸出型企業の想定レートは115円です。現在のドル/円は113円台。証券マスコミは「中国経済の先行き不安」を円高ドル安の主な理由としていますが、なんといっても、FRB議長のジャネット・イエレンが2月10日、11日の2日続けて行った議会証言が影響しています。
この議会証言を受けて、ドル円は一時111円前後まで下落、4日の安値(116.50円)を大きく下回ってきました。
※イエレン米FRB議長の議会証言要旨(10日)
※イエレン米FRB議長の議会証言要旨(11日)
2月に入ってからは、対ドルだけでなくユーロでも対円で3%近く下落しており円の全面高です。
銀行関係者の間では、「この基調は、しばらく続き、3月末には110円割れを起こすかも知れない」との予想が大勢を占め、アナリストも「日銀はお手上げ状態。105円台もありえる」と最悪の事態を予想しています。
さらに、週刊現代の取材チームが入手した「日本銀行・金融機構局」が作成したレポートには、市場関係者を震撼とさせる“驚愕の未来図”が描かれています。そのレポートの正式名称は「金融システムレポート別冊シリーズ」。
このレポートは2段階になっていて、「アジア経済の減速シナリオをもとにした金融情勢のマクロ分析」に多くのボリュームが割かれていますが、さらに、もう一段、過激なシミュレーションの結果も記されています。
それは、リーマンショック並の衝撃が世界中を襲った場合のシミュレーションで、まさに「一度開けたら口がふさがらない」内容となっています。
以下は週刊現代の2月6日号「日銀内部資料を入手 最悪の事態を想定せよ 激震!株価1万4000円割れへ」という巻頭の特集記事の一部です。
国内経済の成長率は、16年度はマイナス3.2%と大幅なマイナス成長となる。その後、17年度もマイナス0.1%とマイナス成長が続く。
金融市場では、株価(TOPIX)は、15年9月末から1年間でマイナス55%下落し、その後、横ばいで推移する。
また、名目為替レートは、16年度にかけて1ドル=93円と23%の円高ドル安となった後、横ばいで推移する。
今日(2月15日)は大反騰しましたが、前営業日(2月12日)は、とうとう15000円を割りこんで14000円台に突入しました。
「日本銀行・金融機構局」が、このレポートを作成したのは、去年の10月です。当然、欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策が継続されることを前提としているはずです。
そして、もちろん、黒田総裁が2018年4月8日までの任期をまっとうするという前提で想定したシミュレーションです。
黒田総裁は、最後まで日銀の独立性にこだわって量的金融緩和に踏み切らなかった前任の白川方明総裁と正反対の性格で、多数決で決まったことは即、実行に移す即断即決型の総裁です。
今回のマイナス金利導入の際にも、日銀政策委員会の9人の委員のうち、賛成が5人、反対が4人という僅差での決定でしたが、「なぜ、僅差になったのか」を一切斟酌しない総裁だと言われています。
反対した4人の委員は、民主党政権時代に任命された委員。賛成の5人は、安倍政権になってから任命された委員ですから、今回の決定は当然といえば当然の結果です。この5人は、今後も「マイナス金利継続」に賛成するでしょう。
もし、言われているようにFRBのイエレン議長もマイナス金利導入を決断すれば、日米欧の新たな通貨戦争勃発となって、今度こそ、本当の未体験ゾーンに突入します。
日銀のマイナス金利導入の発表を受けて、すでに台湾もマイナス金利の導入を決めたことから、この流れはアジアに広がっていくでしょう。 MONEY VOICEより
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