2016年3月27日日曜日

炭素排出量は世界一の中国

国際環境団体グリーンピースは今月22日に発表した、世界の環境に関する最新報告書のなかで、中国の石炭採掘と火力発電の拡大による水資源の枯渇をあらためて警告した。
報告書によると、世界全体で見ても、石炭エネルギーの生産と同時に、水資源が大量に消耗され、多くの地域では水不足問題が深刻になった。とくに中国は悪化し、この度の報告書では多くのページを割いて、問題の深刻さを強調した。

石炭の採鉱・加工・消費には大量の水が使われる。そのため、石炭や火力発電所の多い中国北部や西部では、ひどい水不足が起きている。中国のエネルギーは豊富な石炭資源をたよっていて、石炭火力依存率は64%におよぶ。

問題山積みに関わらず、増える火力発電所

報告によると、中国の発電所は毎年34億立方メートルの水を使用し、これは、1億8600万人に必要な水の量に相当する。中国のすべての火力発電所では、毎年74億立方メートルの水が使用され、これは4億600万人に必要な量に値する。

北京に位置するグリーンピース東アジア支部の発表によると、中国当局は2015年、約10兆円を投じて、新たに210基の火力発電所を建設し、環境保護許可書を発行したという。

中国は「豊富な石炭埋蔵量の反面、水不足や脆弱な生態システム保護の姿勢により、多くの問題がある。にもかかわらず、火力発電所を増や続けている」と指摘した。石炭の燃焼は空気汚染と炭素排出の一番の原因とされている。中国の石炭使用量は全世界の50%を占め、炭素排出量も世界一だ。

米国イェール大学の環境専門家・黄厳忠氏はラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し「中国の石炭埋蔵量は豊かだが、他の資源は不足しているため、当面は石炭燃料依存が考えられる。政府はいくつか水不足問題の対策をうっているが、複雑な問題を解決しなくてはならない」と述べた。

干ばつにあえぐ住民 政府の大規模用水路対策 功を奏すか

数十年に渡って続いている中国北部の干ばつは、悪化の一途をたどっている。北京市、天津市などを含む華北地方では、水再生を上回る量の生活用水が消費されている。人口2000万人の北京も、極度の水不足に悩まされ、断水がしばしば発生する。伝えられるところによると、数百万人は水の不便を理由に他地区へ移り住んでいったという。

習近平政権は、水不足対策に大型の国家プロジェクトを進めている。「南水北調」とよばれ、南の豊富な水資源から北・西部へ運ぶ大規模な用水路建設計画だ。2014年、チベット高原を水源とする長江の水を、北京などの北部に運ぶ全長約1432キロの用水路「中央ルート」を完成させた。

他にも、長江から天津市をつなぐ「東ルート」が2013年末に完成しており、総事業費は両ルートの合計で約2500億元(約5兆円)と試算されている。

運ばれた水は工業・農業用水のほか、6千万人分の飲料水をまかなう計算だったが、水質汚染が多く指摘されている。用水路を流れる水が北へ渡るまでに鉱山付近を通り、生活排水も流れこむことが原因と考えられている。水質改善には、さらなる処理費用を加えなければならない。
 大紀元日本より

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