中国の李克強首相が1月に「中国は現在ボールペンのボールすら製造できない」と発言したことについて、現在、中国国内で広く議論されている。なぜ中国製造業がボールペンのボールを製造できないのかについて、国の専門家は材料科学の技術不足、法的保障がなく直ちに他の企業に模倣される恐れがあるなどの原因で、中国企業がボールペンのボールを製造しないようにしていると分析した。3月16日付国内ニュースサイト「澎湃新聞」が伝えた。
同サイトは、精密工作機械やガスタービン、半導体部品など、中国製造業が低価格製品から高価格製品製造へ躍進できない主な理由は、材料科学の発展の遅れだと指摘した。同記事によると、中国政府は長い間、材料科学の発展に対して投資しており、他の主要大学や研究機関や企業なども技術革新の課題を担ってきたが、よい効果と結果を得られていないのが現状だという。また、ボールペンのボールも生産できないことを李首相に指摘されたことは生産大国(である中国)のメンツをつぶしたとも言えると批判した。
この問題について、同済大学材料科学および工程学院教授で、上海微譜技術公司創業者の任天斌氏は「澎湃新聞」に対して、「技術秘密保護措置の不足が技術科学の遅れの根本的な原因だ」と述べた。
任氏は材料生産産業の遅れについて、「例えば、家電製品の部品など他の製品と比較すると、材料の再現と『二次技術革新』が難しい。材料生産技術は目にしたからと言ってすぐに習得できるものではない。ある材料の成分や生産技術を完全に把握することができない」、「もう一つは、他の企業に模造されやすいため、多くの企業は財力と人力を投じたくないということだ。技術力の高い材料と精細な化学品は研究開発から産業化の実現まで時間的、資金的な投入が非常に大きい。しかし、これらの問題が解決されても、このような商業秘密が厳重に保護されることは難しく、技術が容易に不法拡散される。入手されるとそれほどの投資がなくても直ちに生産できる」との見解を示した。また、他の国と比べて、中国の材料生産産業の発展が遅く、基礎の原材料産業も他の国より遅れていると指摘する。
ボールペンのボールを生産できない理由について、任氏は「この業界の技術専門家や関係者から、本当は国内企業は製造できると聞いている。ただ、一部の企業は他の企業に模倣されるのを恐れているため、製造したくないのが本音だ。または他の企業が先に製造して、彼らがすでに出来上がったものを手に入れるだけに集中したいとの考えもある。知的財産権と商業秘密保護システムが不健全であることが技術革新の促進環境に欠ける理由だ」と述べた。
さらに「ボールペンのボール製造問題には市場の原因もある。この現状は他の産業にもみられる。多くの製品は技術的に問題がなく品質が良いにもかかわらず、市場の原因で、価格またはブランド力の不足で販売不振となっている。その一方で、品質が悪くても安価の模倣品が大いに売れるため、正規品の企業がますます収益低迷となる。ある会社が大きな努力で良い製品を研究開発してきたが、偽物のせいで合理的な収益水準を保持できず、高品質の製品を生産することも続けられなくなり、さらには倒産することもあり得る」と指摘した。
中国・国営新華社通信の1月23日の報道によると、中国国内では現在、ボールペンを製造する企業が3000社あり、年間生産量は400億本となっている。しかし、大部分のボールペンのボールが輸入に頼っているという。
また、中国製筆協会名誉副理事長の陳三元氏によると、ボールを生産するには20以上の工程が必要で、伝統的な技術ではそれぞれ分かれて加工しなければならない。海外の需要を満たし品質と生産効率を高めるため、多くの国内ボールペン製造企業はスイス機器工具大手ミクロン社の一体化生産設備を採用している。しかし、海外の生産設備には国産のステンレス鋼線材が使用できないため、日本から切削しやすいステンレス鋼線材を輸入しなければならない。また、それに合うインクもドイツや日本などの国からの輸入に頼っている。現在、中国のボールペン生産量は世界一だが、核心的な材料と設備の多くは海外から輸入されているのだ。 大紀元日本より
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年3月27日日曜日
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