2016年3月11日金曜日

スーパー南京虫を世界にまき散らしている

昭和50年前後に制圧されたはずの南京虫(なんきんむし)=トコジラミ=が、大発生の兆しを見せている。しかも、市販の殺虫剤が効きにくい「スーパー南京虫」というからタチが悪い。大阪や東京などの都市部を中心に民家や宿泊施設で被害が確認されており、被害に遭った宿泊客が施設を相手に訴訟を起こすケースも。南京虫は中国南部などにも多く分布し、訪日外国人の増加とリンクして相談件数が増えていることから、関連を指摘する専門家もいる。「爆買い特需」にわく宿泊業界は、とんだ“置き土産”に戦々恐々だ。(吉村剛史)

訪日外国人の増加に伴って

戦後の生活環境の改善などに伴って、日本や先進諸国では40年ほど前にほぼ制圧されたはずの南京虫。いったい、なぜこんなに増殖しているのか。

「訪日外国人の増加に比例して、再び国内で南京虫に関する相談件数が増えてきた」大阪府の担当職員はこう分析し、警戒感を強める。

ここ数年、府下の保健所に南京虫に関する相談が増加している。平成18年度はわずか10件だったが、24年度に158件に増加。26年度にはさらに増えて267件にまでなっている。こうした傾向は、大阪だけでなく、東京をはじめとした全国に広がっている。

最近、増殖が確認されている南京虫は市販のピレスロイド系殺虫剤に対する耐性がつき、「スーパー南京虫」とも呼ばれる。殺虫剤メーカーの大日本除虫菊(大阪市)の広報担当者は「薬剤抵抗性種(スーパー南京虫)を駆除するには、高熱蒸気などを利用するか、業者専用の有機リン系の殺虫剤を使うのが効果的な方法」と説明する。

政府観光局によると、円安やビザ発給要件の緩和などにより、25年に初めて訪日外国人が1千万人を突破。27年には2千万人にも迫る勢いを見せたが、それに伴って南京虫の相談件数も飛躍的に増加している。

特に中国からの訪日客は昨年、国・地域別で1位となり、「爆買いマネー」が飛び交った時期とも符号する。ある専門家は「あくまでも推論だが、中国からの訪日観光客や往来の増加との関連を疑う声もあるほどだ」と指摘する。

ひそかに入国? 世界的な問題に“拡大”

南京虫は実際に中国南部の広東省から江蘇省などにも多く分布する吸血性の昆虫で、成虫は体長5~8ミリ。赤褐色で胴体はやや丸く、平たい形をしているのが特徴だ。トコジラミという和名がついているが、実はカメムシの仲間に分類される。部屋の隅やベッドの裏などに潜んで繁殖する。

「南京虫にかまれたら、悲鳴をあげるほど全身がかゆくなり、一睡もできなくなる」かつて中国・広州を旅行中に、南京虫の被害に遭ったという大阪府内在住の30代の男性が証言するように、南京虫は人の手足などを吸血して成長する。しかも、条件が良ければ一度の吸血で1年以上も生きられるといわれるように生命力も強い。

南京虫が増殖しているのは、日本だけではない。実は米国や欧州、豪州などでも世界的な広がりをみせている。

米ニューヨーク市の集計では、2004年に537件だった南京虫に関する相談件数が、09年に1万件を突破した。この期間は、中国の名目GDPが04年の世界6位から09、10年の2位にまで飛躍した時期と一致している。

米国では、宿泊先で南京虫の被害に遭ったとする訴訟が多発しており、ついには全米南京虫サミットが開催されるなど深刻な社会問題に。米国内の空港では、南京虫専門の探知犬が登場するまでになっている。南京虫からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が見つかったとするカナダの科学者らの報告もある。

「被害に遭った」と宿泊先を訴えるケースも

こうした南京虫の大増殖に警戒感を強めているのが、日本のホテルや旅館などの宿泊業界だ。
ある旅館では、南京虫の被害に遭った宿泊客から「仕事に支障をきたした」などとして、損害賠償を請求する訴訟を起こされたケースも報告されている。

在阪の宿泊業者は「とにかく専門業者による定期的な対策が欠かせない」と神経をとがらせる。そんななか、ホテルなどの宿泊施設を対象にした南京虫の早期発見・対処プログラムの構築サービスを行う専門業者も出現している。

米国では、警察への緊急通報を受ける米ピッツバーグの通信指令センターで職員が南京虫1匹を発見。当局が3万3千ドルもの資金をかけて駆除に乗り出す騒ぎまで起きている。南京虫は室内のあらゆるすき間に潜んでおり、1匹を見つけただけで周辺で大量発生している恐れもあるからだ。

だが、日本の宿泊業関係者は「いかに部屋の稼働率があがっていても、南京虫の対策にそこまでの予算を絞り出すのは難しい」と頭を抱える。

しかし、南京虫発生がわかれば、インターネットなどを通じて“風評”が広がる恐れもあり、ホテルや旅館などの業者にとっては死活問題になりかねない。「爆買い特需」にわき上がる一方、新たに浮上した“見えない敵”に警戒感は高まるばかりだ。

一般社団法人大阪府ペストコントロール協会の曽谷久嗣副会長は「確かに南京虫は訪日外国人によって持ち込まれた可能性は否定できない。スーツケースの車輪のすき間などに潜み、そのまま滞在先のホテルなどで繁殖したケースも少なくないだろう」と話す。 産経ニュースより

中国はスーパー南京虫まで世界中にばらまいている。中国人は中国国内から海外に行かないように出来ないものだろうか。もう少し衛生面でも世界基準に達してほしいものである。

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