2016年3月20日日曜日

難民交換を正式合意

欧州連合(EU)とトルコは18日、首脳会議を開き、双方での難民交換を軸とした難民流入抑制策で正式合意しました。これにより、難民らがトルコからギリシャ経由し、西欧・北欧を目指すルートは事実上封鎖されます。国連や人権団体は、難民の権利を侵害するとの懸念を示しています。

EU各国首脳が17日に合意したのを受け、引き続きEU指導部と各国首脳がトルコのダウトオール首相との協議し、合意に至りました。トルコからギリシャに流入したシリア難民を含む不法移民・難民をいったんトルコに強制送還した後、送還者と同数のシリア難民をEU側が受け入れることで合意。不法なEU入りを試みる事がない、シリア難民を優先的に受け入れる方針を示し、難民にトルコでの待機を求めています。

EUからトルコへの強制送還手続きは20日にも始まる見通しで、EU側は当面、交換を受け入れるシリア難民の上限人数を7万2000人に設定しています。

トルコは見返りとして、EU側から60億ユーロ(7500億円)規模の財政支援と、EUによる査証免除措置、トルコのEU加盟交渉の加速化の約束を取り付けました。

オランド仏大統領は合意に向け(難民問題への)包括的な回答だと評価。トルコのダウトオール首相も「トルコEUは今後、運命と挑戦、未来を共有する」と述べ、「歴史的な日だ」と歓迎しました。

一方で、国連や人権団体は、生命や自由を脅かす恐れのある国・地域への難民送還を禁じた多くの国際法やEU法を念頭に、合意内容への危機感を強めています。

国連の潘基文事務総長は18日、壁の建設や人々の選別、送還は問題解決回答ではないと指摘。仏政府の諮問機関フランス人権委員会(CNCDH)は合意内容は人身取引であり尊厳に反すると避難しました。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも同日声明でEUは国際的な義務を無視していると訴えました。

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