不透明な為替介入を繰り返してきた韓国が、米国の制裁法案におびえている。「為替操作国」と認定されれば、米国での投資や貿易が不利になる制裁が加えられる内容で、かつて日米自動車摩擦で米国側が報復関税措置を掲げた包括通商法「スーパー301条」の為替版だと韓国メディアは警戒を隠さない。法案は上下両院を通過し、オバマ大統領の署名を経て発効する。韓国のシンクタンクは「真っ先に韓国が対象になる可能性が高い」と戦々恐々だ。
問題となっているのは、米国の貿易円滑化及び貿易執行法に関して、主要な貿易相手国の為替操作防止策を定めた修正案。法案の内容を調整するための上下両院の合意文書を昨年12月の下院に続いて、今月11日に上院が承認。近くオバマ大統領が調整した法案に署名し、成立する。
輸出を増やすために自国の為替相場を意図的に切り下げ、米国との貿易収支が黒字の国に政策の見直しを求める。従わない場合は大統領が対応策を取れるとした。
具体的な是正措置として、米国企業の海外展開を支援する政府系金融機関、海外民間投資公社(OPIC)が、為替操作国で行われる新規投資プロジェクトへの資金支援や保証を禁止することや、米連邦政府が為替操作国の製品を購入したりサービスの契約を結ぶことの禁止を掲げている。
さらに、国際通貨基金(IMF)を通じて、為替政策や経済運営に関する厳しい追加調査を求めることなどを挙げた。
中央日報はこの法案について、米国が報復措置を取ることができる「スーパー301条の外国為替版だ」としたうえで、スーパー301条が特定企業の特定輸出品に対して報復関税を課すのに対し、今回の法案は「該当国全体に法律を適用し、さらに強力と評価される」と警戒している。
シンクタンクの韓国経済研究院のリポートでは、「韓国はどんな国よりも先に制裁を受ける可能性がある」と分析している。韓国は2000年以降、中国、台湾、イスラエル、スイスなどとともに対米貿易黒字を続けている。ただ、「経済規模や地政学の観点で中国とイスラエルなどには簡単に適用できない」と予想、「韓国や台湾のように経済規模が比較的小さく、政治的影響力も少ない国が1次候補国となる可能性が非常に高い」とした。
また、韓国が参加の意欲を示している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉過程でも、「対米貿易収支と経常収支の黒字幅を段階的に調整するように要求される可能性も高い」と付け加えた。
TPP参加国はすでに、競争上優位に立つための通貨安誘導を行わないことを確認。外貨準備や為替相場介入に関するデータの公表も義務付けられている。
韓国のメディアやシンクタンクが危機感を露わにするのも理由がないことではない。
米財務省が議会向けに半年に1度提出している為替に関する報告書では、韓国は中国と並んで、対ドルや対円で自国の貿易を有利にすることを目的に大規模な為替介入を実施していると疑われている常連国だ。昨年までの日本の円安については、デフレ脱却を目的とした日銀の量的金融緩和の結果として認識されているのとは対照的だ。
昨年10月の最新の報告書でも「他の大半の主要な新興国市場や先進国経済と異なり、韓国は為替介入について公式な報告を行っていない」と突出した隠蔽体質を指弾している。
米財務省は、韓国当局が日常的にウォン安方向にレートを誘導している点を問題視。「政府の介入は市場が無秩序となるなど例外状況となったときに限定すべきだ」とクギを刺している。最近の急激な円高のような異常な値動きをしている状況でない限り、介入は容認されないということになる。
ここにきて米利上げや日本の円高を反映してウォン安が進んでいるが、投資マネーの流出という側面もあるほか、人民元も下落しているため、韓国経済にとって手放しでは喜べない。
ロイターによると、韓国の柳一鎬(ユ・イルホ)企画財政相は18日、為替の変動が過度に大きい場合は介入する用意がある、と語っているが、それでもウォン安が止まらなければ、米国が伝家の宝刀を振り下ろす日が近づくかもしれない。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年2月21日日曜日
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