中国の技術者は、海外から導入された技術がどのように利用されているのかをよく知っています。ある中国の企業が外国から導入した技術は、導入したその企業だけでなく、中国政府の技術管理をする当局によって、その技術を必要とするあらゆる企業にも開示されます。
海外企業から提供される守秘義務のある技術でさえもこのような扱いになるのですから、中国人の技術者が仮に自分で技術を開発しても、それを自分のものだと主張するのは事実上無理なのです。中国の技術者が、知的財産権のある技術を開発しようとする気になれないのには、このような理由があるわけです。
■技術は「盗むもの」
工業技術や理化学の分野では、中国から世界をリードする技術やノウハウは出てきません。それもそのはずです。海外からの重要な技術は、政府一括の技術管理によってみんなに共有されますから、必要な技術を自ら開発する必要がないのです。
自社で開発するとなると、開発費用が掛かり、かなり長い開発期間も必要ですから、すぐには実績が上がらないことになります。国有企業のトップにしてみれば、出世の機会が遠のいてしまいます。
中国の民間企業の経営者にとっては、利益が上がらなければ、自分への実入りが少なくなります。民間企業の経営者は、この先企業を取り巻く環境がどのように変化するか分かりませんから、企業を長く継続させることよりも今稼げるだけ自分の懐に多くの利益をため込んで将来に備えることの方が大切なのです。
■パクリは悪くない
必要な技術は黙って拝借するもの。仮に共有の技術の中に必要な技術やノウハウがなければ、「自分たちで開発するより盗んできたほうが安上がり」と考えます。中国の経営者は、他人の技術を無断で拝借しても悪いこととは考えません。
中国最大の自動車メーカー「第一汽車」で、こんな事件が起きたことがあります。あるとき、温家宝首相(当時)が、第一汽車を視察しました。首相は案内役の総経理に「自動車先進国に追いつき、自動車を自前の技術で生産できるようになるには何年かかるか」と質問しました。
総経理はまじめな人だったのでしょう。正直に「20年はかかります」と答えました。温家宝首相の訪問から2週間後、第一汽車の総経理はその職を解かれました。彼はあまりにも正直に事実を答えすぎたのです。
いみじくもこの解任劇で、中国政府が目標にしている自前の乗用車の開発が進んでいないことが明らかになりました。週間新潮より引用
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年7月25日土曜日
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