2016年4月8日金曜日

ウルグアイ元大統領来日

「世界一貧しい大統領」来日

 

改めて「パナマ文書」の漏洩で政治家の実体を知って頂くまでもなく、政治家のカネにまみれた薄汚い裏面は、既に多くの人々の知るところである。 その代表的な例が米国の大統領候補選び に現れている。 トランプ候補やサンダース候補の支持率を見れば、米国国民が既存の政治家にいかに不信感を抱いているかが分かる。 さもなくば、トランプ氏やサンダース氏があそこまで支持を得ることはあり得ない。
 
そんな中、6日、「世界一貧しい大統領」という愛称を持つ、ウルグアイの第40代・ホセ・ムヒカ大統領が来日した。

彼は現在は大統領職を退いているが、現職時代からその地位に見合わず、非常に慎ましやかな生活を送っていたことから、「世界一貧しい大統領」と呼ばれていたのだ。 

パナマ文書に記載された「タックスヘイブン」に関わる首脳たちとは、同じ政治家とはいえまさに「月とすっぽん」、「天と地」ほどの違いのある人物である。  本日の題名の意味がお分かりになられたであろうか。 それにしても、そのような世にも希な人物が、このタイミングで来日されたのはなんとも驚きである。 まさに天の計らい以外のなにものでもなさそうだ。
彼は現職時代から大統領公邸には住まず、首都モンテビデオ郊外の質素な農場に妻と住み、菊を栽培。 また運転手付きの公用車に乗る代わりに「中古 車」のフォルクスワーゲン・ゴルフを愛車とし、飛行機移動にはエコノミークラスを使用していた。 
 
また、大統領報酬の90%程度を貧しい人々や零細企業向けのチャリティに寄付して、自身は月に1000ドル程度で生活。 1000ドルはウルグアイの中流家庭の平均の月収、それだけあれば十分だというわけだ。

大統領を退任したあと現在も、首都から車で30分の畑のわきの小さな平屋に住んで貧しい人達の支援を続けており、上院議員として多くの国民から厚い支持を受け続けている。

 

 
 
 

現職当時から質素な生活を送る、ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領
 

 

来日を前に、朝日新聞の記者とのインタビューで、ホセ・ムヒカ元大統領が語った言葉は、印象的であった。
 
大統領公邸に引っ越さなかったですね。
 
「当たり前だよ。 私はもともと農民の心を持って生まれた人間だ。 だから自然が大好きなんだ。 4階建の豪邸で30人からの使用人に囲まれて暮らすなんて、まっぴらだ」
 
アラブの富豪が、あなたの愛車に100万ドル払うと購入を申し出た噂を聞きましたが。

「それは本当の話だ。 息子が珍しい車を集めていると言っていたな。 もちろん断ったさ。あの車は友人たちからもらった大事な贈り物だ。 贈り物は売り物じゃないんだよ」

「世界で一番貧しい」という称号をどう思いますか。

「みんな誤解しているね。 私が思う『貧しい人』とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。 でも私は少しのモノで満足して生きている。 質素なだけで、貧しくはない

「モノを買うとき、人はカネで買っているように思うだろう。 でも違うんだ。そのカネを稼ぐために働いた、人生という時間で買っているんだよ。生きていくには働かないといけない。でも働くだけの人生でもいけない。ちゃんと生きることが大切なんだ。たくさん買い物をした引き換えに、人生の残り時間がなくなってしまっては元も子もないだろう。簡素に生きていれば人は自由なんだよ」

幸せだと感じるのは、どんな時ですか。

「自分の人生の時間を使って、自分が好きなこと、やりたいことをしているときさ。 今は冬に 向けて、ビニールハウスにトマトの植え替え作業をしている時かな」

 

 
 
 

ムヒカ大統領の言動を知ると、同じ政治家でもこれほど差があるものかと驚かされる
 
 
 

昨日来日された際の記者会見で、日本の若者に次のようなメッセージを送っている。 それは決して若者だけに聞いて欲しい言葉ではない。 今この世で生を得ている人間全てに、聞いて欲しいメッセージであった。
「私たちは多くの富を抱え、科学的技術も蓄積された時代に生きているが、果たして幸せに生きているだろうか。 若者には私たちがしたような愚かな間違いを繰り返さないようにして欲しい」
最近HPに書いた記事の中で、この世には世界の99%の富を独占している超富豪がいる一方で、その日暮らしもままならぬ多くの人々がいることを伝えてきた。 「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ」という、ホセ・ヒムカ氏のメッセージは、貧者だけでなく、1%の超富豪やタックスヘイブンに富を隠す10%の富豪たちにも是非聞かせてやりたいものだ。  浅川嘉富より

 

 
 
      

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