「日本の核武装もあり得る」
米大統領選の共和党候補者選びで首位を走る実業家のドナルド・トランプ氏が、米ニューヨーク・タイムズのインタビュー(26日、電子版)で披露した発言が、国際的に波紋を広げている。
トランプ氏は、米国の外交・軍事での負担を減らす自らの政策を実行すれば、抑止力として日本の核保有を容認するという。反響は大きく、各国の「日本核武装」への懸念を改めて浮き彫りにした。
日本人は、広島、長崎で原爆が使われた悲劇の経験から、核兵器への怒りと嫌悪感を共有する。核武装という発想はごく少数だ。
しかし、他国は日本を“性悪説”でみている。日本の各電力会社や研究機関は現在、核兵器の材料になる物質「プルトニウム」を計約48トン保有している。核弾頭5000発分以上の量だ。
プルトニウムの発電への利用を、日本は1950年代から目指した。原子力発電の結果生じる使用済み核燃料から取り出し、高速炉という原子炉の燃料にする「核燃料サイクル」構想だ。この技術で、核物質を使い回して原子力利用を増やし、化石燃料の依存から脱却することを考えた。
50年前の報道を見ると「夢のエネルギーシステム」と、日本中から期待されていた。そして、日本は「原子力技術を、研究・発電の平和利用目的でしか使わない」と国際公約を続けた。
ところが、核燃料サイクル政策はうまくいっていない。
高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)は、技術的問題で長期停止状態だ。日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)はほぼ完成したが、福島第1原発事故が発生して、原子力規制体制が大幅に見直されたために、完全稼働は延期されている。
既存の軽水炉型原発のエネルギー源に使う「プルサーマル発電」という方法で、プルトニウムを使える。だが、原子力規制委員会の審査が遅れて原発が稼働せず、この発電もできない。
ある政治家が気になることを言った。
「現時点で、党内に核武装論は皆無だ。ただ、非公開の場で『プルトニウムを一定量持ち、将来の外交カードとして残したい』という考えを述べる政治家が何人かいる」
中国や北朝鮮の危険な外交への対抗のためだろうが、その趣旨での保有は、原子力を平和利用する日本の国是に反し、国際的な対立を深める。
重要な問題であるプルトニウムの行方について、政治でも、国民の間でも関心が乏しい。こうしたなか、2018年には、原子力の平和利用を決めた日米原子力協定が更新期限を迎える。
プルトニウムの管理、そして、核燃料サイクル政策の是非について、今こそ国民的議論を深めるべきだ。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年4月3日日曜日
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