ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2016年4月23日土曜日
天王星、傾いた自転軸の謎が明らかに
天王星は1回の巨大衝突ではなく、2回の連続する大きな衝突により今のような横倒しに傾いた自転軸を持つに至ったとする、新たなコンピューター・シミュレーションの結果が発表された。 このシミュレーション・モデルは、天王星の衛星軌道が予想される位置と異なるという以前からの謎についても、答えを示唆するものだ。
他の7つの惑星とは違い、天王星の自転軸は太陽系の黄道面に対して約98度と、大きく傾いている。言い換えれば、天王星はほぼ横倒しの形で自転しながら、太陽の周りを回っているということだ。
さらに、天王星の環と衛星が、天王星の傾いた赤道面に沿った軌道を持っていることも不可思議な点だ。
天王星がこのように横倒しの自転軸を持つようになった理由について広く受け入れられている説は、数十億年前に軌道から外れた地球ほどの大きさの天体が、主に氷でできた巨大惑星である天王星に衝突したというものだ。衝突した側の天体は、おそらくその時の衝撃で破壊されたと考えられている。
しかしこれまでのコンピューター・シミュレーションでは、1度の巨大な天体衝突では25個以上ある天王星の衛星の軌道には影響が出ず、その場合、衛星は現在のように天王星の赤道面ではなく、両極を結ぶ面に沿った軌道を描いているはずだとの結果が出ている。
◆一度の衝突では衛星は「逆回り」していた
この難問を解き明かすべく、コートダジュール天文台のアレサンドロ・モルビデリ(Alessandro Morbidelli)氏は、天王星への天体衝突について、考え得るいくつかのパターンでシミュレーションを行った。
その結果、天王星に天体が衝突したのは、同惑星の赤道面周囲を回る円盤状の物質から衛星や環が形成される途中の時期だった可能性が最も高いことが判明した。
衝突の際、円盤状の物質は一度飛散したが、その後天王星の傾いた赤道面に沿って再び集積し、その後現在のように、赤道面を回る衛星が生まれたものとみられる。
しかし、新たなシミュレーションでは、1回の衝突では、衛星は天王星の自転方向とは反対の、「逆回り」の公転軌道を持っていたはずだということも明らかになった。
モルビデリ氏らの研究チームによると、実際には立て続けに2回の衝突が起きた可能性が最も高いという。
「我々のコンピューター・シミュレーションは、天王星がまだ原始衛星円盤に囲まれていた、形成後間もない時期に、2回の連続した衝突が起きたことを示している。この衝突は比較的短い間隔で起きたはずだ」とモルビデリ氏は述べた。
「今のところ、天王星の衛星が赤道面を回っている理由を説明するモデルとしては、これが唯一のものだ」。
◆巨大惑星の形成に天体衝突が関与?
このシミュレーションの結果からは、太陽系形成の初期において、巨大衝突はこれまで考えられてきたよりも頻繁に起きていた可能性も示唆されている。当時、現在の惑星は原始太陽の周囲をめぐる円盤から物質を取り込み、大きくなる最中だった。
実際、土星や海王星などの惑星の形成において、大きな天体の衝突が重要な要素であった可能性もある。両惑星の自転軸は、黄道面から30度ほど傾いている。
「一般に、これらの巨大惑星の形成時に取り込まれたのは小さな微惑星のみで、天王星のような自転軸が傾くほどの衝突は例外的なものだというのが、これまでの通説だった」と、モルビデリ氏は説明する。
「しかし我々の研究で、天王星は少なくとも2回の衝突を受け、自転軸が傾いたことがわかった。ゆえに、大きな天体の衝突は例外的ではなく、標準的な事象だったと考えられる」。
天王星への巨大天体衝突に関する研究は、10月2日から7日にかけてフランスのナントで開催された欧州惑星科学会議(EPSC)とアメリカ天文学会惑星科学分科会(DPS)の合同ミーティングで発表された。 ナショジオより
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