2016年4月8日金曜日

日経1万円割れ&1ドル最低でも87円

「日本株は売られすぎ」という講釈は的外れ

 

4月1日のマーケットでは、日本株が急落しました。日銀短観の内容が予想以上に悪化したことが背景にあるようです。それにしても、下げが大きかったですね。期初の機関投資家の売りが出たようですが、これは例年通りですから、驚くに値しません。むしろ、売りを待っていた向きが、日銀短観を利用して売り浴びせてきたと考えたほうがよさそうです。


こうなると、週明けの日本株は非常に危うい動きになりそうですね。再び下値を試すことになりそうです。円高が進んでいますので、これも重石になります。
米国株の堅調さとの違いから、「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。

円建てでダウ平均株価を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。為替相場がいかに株式市場に影響を与えているか、ということです。これは、ドイツのDAX指数が上昇していないことにも通じます。このような基本的なことぐらいは、知っておきたいところです。

日本株は調整第3波スタートの可能性が大

さて、日本株は調整の第3波がやってきた可能性が高いと見ています。これは、昨年8月のチャイナショック、年初の急落に次ぐ3回目の調整局面です。ここから本格的な長期調整相場が始まるのかもしれません。

来年以降に「日経平均が1万円割れ!」などという見出しが躍っているかも知れません。少なくとも、私はそう見ています。日本株の買い場はまだかなり先のようです。

日銀短観の内容は確かに衝撃的でしたが、これもある程度は予想できていたはずです。さらに円高が今後は企業業績の悪化を後押しするでしょうね。115円以上にはいかないと考えていますので、私からすれば、117円台がドル円の想定レートのようですが、かなり甘い算定ですね。つまり、企業業績の悪化がこれから本格化するわけです。

日経平均株価の一株当たり利益(EPS)が1119円にまで急低下しています。このトレンドは今後も続くでしょうね。日経平均株価は、現時点では16800円以上は割高です。この水準が今後、企業業績見通しの下方修正に伴い、徐々に低下していくはずです。

円高基調は変わらず、将来的にドルは最低でも87円


それにしても円高基調が変わりません。市場関係者は、円安を望んでいますが、しばらく円安にはなりません。これは安倍政権がどう頑張っても無理でしょう。ドル円相場の方向性は米国が決めています(と私は思っています)ので、日本サイドの要因で円安に行くことはありません。

将来的に、ドル円は最低でも87円、最大で65円まで円高が進む可能性があると見ています。
「その根拠は何か?」と聞かれそうですが、相場は行く方向にしか行きません。現在のドル円はすでに円安トレンドが終わっています。円安トレンドは通常3年で終わります。2012年12月に始まった円安トレンドはすでに昨年末で終了しました。これも、セミナー等で以前から申し上げている通りです。

セミナーに参加された方や別のメルマガを購読されている方はご存知ですが、昨年12月のドル円の123.65円での売りは絶妙でしたね。最高のところでショートできました。このように、いろいろな角度から相場の行くべき方向を知っていれば、トレンドの重要な転換点で上手く対応することができます。このあたりは、このメルマガでも順次ご紹介していきたいと思います。

いずれにしても、円高基調が変わらないのですから、上記のように、日本株も厳しい局面が続くことになるでしょう。円高で株安、株が下げて円高、と言った具合に、それぞれがそれぞれを押し下げるような動きになるかもしれません。

世界の投資家は着実に金を買っている

今年に入ってからの金市場の堅調さには目を見張るものがあります。世界の投資家は着実に金を買っています。日本に居て、日本株しか見ていない投資家は気の毒ですが、グローバル投資家はしっかりと金を買っています。

2014年と15年に金上場投資信託(ETF)から資金が大量に流出しました。しかし、今年に入ってから、この流出した資金以上に金ETFに資金が流入しています。これらの事実から、「今年は金融危機が起き、株価が大きく下げるリスクがある」と考えているグローバル投資家の行動が見えてきます。

現在は「マイナス金利」です。「金には金利が付かない」として、普段は金を敬遠する投資家も少なくありません。しかし、いまは金利が付かない金がむしろ有利な時代です。

過去にも現在と同じような金投資が優位な時期がありました。1995年から2005年、2008年です。前者では金価格は4倍に上昇、後者では2倍以上になりました。そして、今回が3回目の金投資に優位な時期なのです。今はまさに金投資にうってつけの時期なのです。

また、実質金利から見ても、金はきわめて割安な状態にあります。低金利な中、インフレ率が少しでも上昇すれば、それは金相場に有利に働きます。賢明なグローバル投資家は、この点にも着目していると考えられます。長期金利は上昇しませんし、インフレ率は原油価格の下落に歯止めが掛かることで徐々に回復します。実質金利は自動的に低下し、金投資に有利に働きます。セオリーに素直についていくことが、いまの市場環境では重要といえそうです。

セミナーで投資家のお話を聞く機会が多いのですが、原油ETFなどに投資をしている投資家が非常に多いですね。しかし、長期的には私は金が有利と見ています。原油も上がるかもしれませんが、いまはマイナス金利によるメリットを確実に取っておくべき局面であると考えています。

原油は上がり始めてから買うほうがリスクも少なく、心理的な負担も少ないと思います。原油は一旦調整しそうです。40ドル以上の高値で買いついた投資家が増えてしまったので、一度は調整して、これらの買い持ちが解消されないと上昇しないでしょう。

今週の「ポジショントーク」~金と資源国通貨を買いました


週末に大荒れとなった日本株ですが、方向性は想定通りでした。ただし、下げは米雇用統計後になると考えていましたので、一日早かったですね。また下げ幅も予想をはるかに上回りました。このような、短時間での下げの動きになると、常にマーケットを見ることができないと、対応するのは難しいかもしれませんね。

もともと、今年は「円高・株安の年」とみていました。これまでも、いろんなところで書いたり話したりしていましたので、ご存知の方も多いでしょう。セミナーでも昨年の夏以降、毎回のようにこの見通しとその理由を言い続けてきました。個人的には持ち株はゼロで、株価が下がっても全く問題ありません。むしろ、買い場を探しているくらいです。

しかし、その買い場はまだ相当先とみています。つまり、これから本格的な下げが来ると考えています。押し目買いなど、そんな甘い下げでは済まないと考えています。その根拠は、円高とそれに起因する企業業績の下方修正です。日経平均株価は1万円割れもあり得ると考えています。そう考えると、16000円台はまだまだ買える水準ではないですね。

そんなこともあり、今週は金などの貴金属豪ドルなどの資源国通貨を買いました。対ドルでこれらの資源国通貨が上昇しており、いまは資源国通貨が面白いと考えています。

米国サイドが再びドル安志向を鮮明にしています。ドルは上がらないでしょう。そうなると、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドル、南アランドなどには買い安心感が強まります。しかし、ポンドは売っています。上値が伸びきれないのと、英国のEU離脱問題への懸念が根強いと考えているからです。

ただし、同じ欧州通貨でもユーロは堅調に推移するでしょう。ドル安とポンドの資金の逃避先として選好されるかもしれません。またスイスフランにも注目しています。また円も再び上昇しそうです。今週は少し円のロングポジションを積み増そうと考えています。

米国はドルの水準をどうしたいのかを考えると、ドルの方向性がわかります。その上で、他通貨の方針を検討すると、トレード戦略も立てやすくなります。まさにヘッジファンドが得意とする戦略構築のやり方ですね。

市場の関心が高い原油はどうしているかというと、WTI原油が40ドルを超えるまでは買わないほうが良いと考えています。歴史的に重要な水準が40ドルであり、これを超えない限り、WTI原油は上昇基調への復帰はないと考えています。いまは無理をせず、40ドルを回復するまでは売り方針で行きたいと考えています。ちなみに、WTIは下落を見込んですでにショートしており、利が乗り始めています。

ヘッジファンド流 投資戦略構築のポイントは「予想するな!」

投資家の方々とお話していると、ヘッジファンドの話題になることが少なくありません。「ヘッジファンドは何者か」と聞かれると、ひとことで答えるのは簡単ではありません。というのも、いろんな形態があるからです。

形態というのは、運用手法であったり、ファンドの組織そのものであったりします。ファンドはそれぞれ、いろんな形式で運営されています。ですので、ひとことで説明しづらいのです。
簡単に説明するとすれば、タックスヘイブンの国に登記されている会社(ペーパーカンパニー)の証券口座を運用するのがヘッジファンドといえるでしょう。

その会社の銀行口座に投資家は資金を振り込み、その会社の経営者(会計士や弁護士が便宜的に務めます)が証券口座に資金を送金し、その証券口座の資金をヘッジファンドが運用するという形です。

ただし、ヘッジファンドは自らその口座の資金を触ることができず、運用のみを行うのが一般的です。つまり、運用指図のみを行い、その他のトレード内容や取引明細の確認、資金管理はその会社の関係者が行うことになります。

このような形式で運用されるヘッジファンドですが、運用手法も様々です。その中で、王道と呼ばれているのが「グローバルマクロ戦略」です。様々な投資対象に売り(ショート)や買い(ロング)を絡めて、大胆にポジションを取り、大きな収益を狙う方法です。市場の方向性を読み、それに賭けるわけです。これは、私がもっとも得意としている方法です。この手法では、様々な市場に精通している必要があります。そのため、「ヘッジファンド運用の王道」と呼ばれるわけです。

戦略の構築の仕方には様々な方法があります。まさにひとそれぞれです。価格変動や経済統計、政治面なども考慮した上で戦略は決定されます。私の場合には「過去データ」を非常に重視します。アノマリー過去の価格変動パターンです。

私のセミナーに参加された方はお気づきでしょうが、私は感覚で市場動向を予測することまずありません。現時点で最も重要と思われるテーマに基づき、過去の値動きをデータ化し、現在の価格動向に照らし合わせるようにします。そうすると、大局を見失わず、冷静に判断できるのです。
今年の年初からの株安・円高をきわめて精緻に予測できたのは、過去データを見ていたからです。

今回の局面で、多くのアナリストの見通しがほとんど外れたのは、感覚や根拠のない定説に縛られたからでしょう。このように考えると、「予想しない」ことも重要ということになります。
過去データに基づいて判断できるようになれば、重要な局面において思い切った投資判断が出来るようになります。このメルマガの購読者には、ぜひそのような投資家になっていただきたいと思っています。

それにしても、日本株の上昇を見込む専門家が多いのには、いまだに驚きを隠せません。業者の論理と言いますか、仕方がない面があるとはいえ、個人投資家には本当に不利な情報しか伝わっていないように思います。そのため、最近はセミナーで本来向かうべき相場の方向性について、中立的な立場(といってもポジションも持っていますので、完全には中立ではありませんが)から市場の見方をお話しています。

海外では、ポジショントークは当たり前です。しかし、それにはリスクが伴います。アナリストや評論家との大きな違いは、まさにここにあります。コメントひとつにしても、まさに命がけです。
米国では、ヘッジファンドのオーナーが自らTV出演し、自身のファンドのポジションを語ります。その理由はふたつあります。ひとつは、実際のポジションを披露することで、市場に影響を与える、つまり、自分のポジションに有利にしようと目論んでいるからです。

もうひとつは、市場の反応を見たいと言うものです。どんな有能なファンドマネージャーでも、常に自信満々というわけではありません。むしろ不安なのです。ですので、市場の反応を見てみたいのです。

このように、海外では、ポジショントークをしながら、市場の反応を見て、また対応するというサイクルが日常化しています。最近は著名ヘッジファンドがクローズし、ファミリーオフィス化(自己や親戚だけの資金を運用する会社)に移行しており、ポジショントークが少なくなったように思います。残念ですね。その代わりと言ってはなんですが、私がいろいろお話したいと思います。
日本の市場では、ヘッジファンドは悪者扱いですが、まさにこれこそが「素人の発想」ですね。「ファンドの売り仕掛けで下げた」などと、ヘッジファンドを悪役に仕立てて、自らの分析能力のなさをごまかす市場関係者が多いことに、いつもがっかりさせられます。

ヘッジファンドを悪者にする前に、彼らの思考経路を理解し、投資戦略の組み立て方を理解すれば、そのような意味のない行動をとることもなくなります。メルマガの読者にはぜひこれらのノウハウを身に着けていただきたいと思います。

米国株は14%下落する!? 米大統領選挙年の株価動向に注意

米国株は堅調に推移していますが、私の今年のテーマは「米国株は下落するのか?」です。米国では、今年は4年に一度の大統領選挙が実施されます。国民総出の一大イベントです。
この大統領選挙の年の米国株の動きが非常に興味深いのです。この「アノマリー」については、テレビやラジオ、セミナーなどで詳しく解説してきましたので、ご存知の方も少なくないでしょう。

私が最も気に入っているアノマリーは、「大統領8年目の年の株価動向」です。結論から言えば、米国株は14%下落する可能性があります。過去に現職の大統領が8年間務めた際の8年目の米国株のパフォーマンスは非常に悪く、年間の騰落率が平均で14%のマイナスになっています。これは非常に大きな下げです。直近では2000年や2008年が相当しますが、それぞれの年の米国株は確かに大きく下げています。

さて、その米国株は、安値から大きく戻しています。いまのところ。急落するようには見えません。米雇用統計は堅調でしたし、ISM製造業景況感指数も強い内容でした。米国の景気はきわめて堅調と判断すべきであり、株価も下げるようには見えません。
また最近になってFRB高官が近いうちに利上げが実施されるとの見通しを出していましたが、先のイエレンFRB議長の発言ですべて否定されました。すぐに利上げは実施されない見通しになり、ドル安に基調になったことも、米国株には大きなサポート要因になっています。

しかし、ここに落とし穴があるように思います。特に住宅価格の上昇が気になります。FRBは世界経済の悪化や金融市場の混乱を懸念しているとしていますが、実際には住宅価格の上昇を気にしているのではないかと考えています。バブル化しないうちに芽を摘んでおきたいと考えてもおかしくありません。住宅市場の動向次第では、再び利上げに関する言及が聞かれるかもしれません。この点には注意しておきたいところです。

いずれにしても、過去の米大統領選挙の年の米国株のアノマリーを重視すれば、株価下落は必然のように思えてきます。また米国株は、その年の初日の取引で急落すると、その年の株価は大きく下げる傾向があります。過去には1937年や2008年には1.4%下落し、年間では37%下げました。ちなみに、今年は初日に1.5%下げました

1937年は世界恐慌から8年目に相当し、FRBの利上げをきっかけに株価が急落し始め、株価の回復に8年かかりました。今年は2008年のリーマンショックから8年後。何が起きても驚いてはいけないと考えています。  MONEY VOICEより

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