今から百年ほど前、共産主義という名の「悪霊」がヨーロッパ大陸をさまよい始めた。1848年に「共産党宣言」が発表され、「パリ・コミューン」が古都に戦火をもたらした。その後インターナショナルが数回結成され、ソ連から中国共産党へと受け継がれ、共産主義思潮が全世界を席巻したのは数十年前のことに過ぎない。日本でも赤軍派が航空機をハイジャックし、武力闘争で流血の惨事を幾度となく引き起こした。世界的には、アメリカを中心とする民主主義陣営とソ連を中心とする社会主義独裁陣営とに分かれた。
百年以上の歴史が物語るように、この「悪霊」がさまよい続けたところは、戦乱、飢饉、虐殺そして恐怖が支配した。共産主義は人類が数千年間に渡り形作ってきた文明の破壊と一億人を超す人口の非正常的な死亡をもたらし、それをはるかに超える人々は言い難い苦難を味わった。「この世のユートピア」を作る旗印のもと、共産主義は十数億人をこの世の地獄へと追いやった。共産主義が行ってきた信仰に対する迫害と道徳観に対する破壊、生態系と自然に対する無秩序な開発と破壊等々、多くの面で大きな負の影響を与えた。
共産主義の学説と共産党体制は、本来は人類が解決策を探し求め、危機を回避するための実験であるように思われた。しかし事実が証明する通り、それは直面する課題の解決策ではないだけでなく、かえって人類に大きな災難をもたらし、人類を破滅へと導いた。共産主義が消滅しつつある現在、いまだ共産主義に幻想を持つ人が少なからずいる。これから共産主義者が決して語ろうとしない歴史を白日の下に曝し、その本質を暴くことは国家と個人にとって極めて重要である。
共産主義の成り立ち
共産主義の出現と伝播は人類社会の二つの節目と大きく関わる。一つ目は工業革命だ。社会の中心的産業が農業と家庭内手工業から工業に移るにつれ、経済危機が周期的に発生するようになった。経済危機が発生すると都市は失業者であふれかえり、インフレと企業や銀行の倒産が発生した。貧富の差の拡大は社会的不満をもたらし、現実に失望する者が現れた。
しかし近代の政府は時代の流れにまだ上手く適応できず、社会のセーフティーネットからこぼれ落ちた貧困層を助ける方法を行政は知らなかった。このような背景で社会主義が広まりを見せ、現実に不満を抱く人々を取り込んだ。社会主義は貧富の差や社会的な不満の原因を私有制と定め、資本家と労働者間の雇用関係は赤裸々な搾取とみなした。
社会主義の一つの目標に財産の私有制と「階級の差」を消滅させることがある。マルクスとエンゲルスは、資本家階級と労働者階級の対立は激化の一途をたどり、最終的には資本主義階級は必ず消滅すると断言した。そこで彼らは暴力を用いて現存するすべての社会的制度を破壊することを主張した。
二つ目の出来事は1859年に発表された『種の起源』だ。進化論なる仮説は人類を神への信仰から背離させた。共産党は進化の法則を階級闘争に持ち込み、「闘争」は共産党がその政権を維持する手段となった。経済的な平等を追求する衝動のもと、多くの追随者は共産主義の織りなしたユートピアの幻想に惑わされた。
共産主義運動は19世紀の西ヨーロッパで行われた労働者運動に起源を持ち、カール・マルクスの『資本論』、『共産党宣言』を理論の基礎とする。1917年にロシア共産党が誕生して以来、その支援の下各国で共産党政権が成立した。それらの勢力は各地で暴動を起こし、絶え間ない衝突と社会的動揺を引き起こし、世界秩序を脅かした。
良きものを求めるのは人間の権利であり、問題解決の方法を探すこと自体は非の打ちどころがない。しかし共産主義の宣伝する無神論、階級闘争そして暴力は、人類が数千年来培ってきた文明の結晶を破壊し、伝統を断絶させた。多くの人は問題解決の方法として共産主義を選んだ。その「悪霊」がもたらすのは暴力と災難であることを知らずに。 大紀元日本より
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年2月28日火曜日
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