2017年2月17日、北朝鮮によるお得意の「ミサイル外交」が始まった。12日の弾道ミサイル発射実験は米国のトランプ政権の発足後、初めて。3月には北朝鮮が反発する毎年恒例の米韓合軍事演習が控える。金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄・金正男氏の殺害も重なり、朝鮮半島情勢は一挙に緊迫しそうだ。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、発射されたのは新型の中長距離戦略弾道ミサイル「北極星2型」。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」の地上配備型で、「新たに開発した大出力固体エンジンを使った中長距離戦略弾道弾や移動式発射台(発射車両)など武器体系全般に対する技術的指標を確証することに目的がある」としている。
国営テレビは発射実験を金委員長が視察する様子も放映。日本メディアは「移動式発射台に載せられたミサイルが、ガスなどの圧力によって射出した後に空中で点火する『コールド・ランチ』と呼ばれる技術を使って発射される様子が確認できた」と伝えた。
韓国軍合同参謀本部などによると、発射地点は北朝鮮北西部の平安北道・亀城付近。ミサイルは最高高度約550キロに達し、約500キロ飛行して日本海に落下した。核弾頭が装着可能な弾頭部を分離した後の再突入段階などでの姿勢制御・誘導、迎撃回避の特性なども検証したとされる。
一方、韓国メディアによると、来月の米韓合同軍事演習「キーリゾルブ」と「フォールイーグル」に向けては、米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」(排水量9万3000トン)が10日、グアムに到着するなど、米軍の戦略部隊が続々と集結中。現存する中では最強のステルス戦闘機「F22ラプター」も日本に前進配備された。
演習は過去最大規模になるとされ、聯合ニュースは「北朝鮮の核・ミサイル施設への先制攻撃を含む『4D作戦』に基づいた演習を拡充する方針」と報じた。4Dは北朝鮮の核・ミサイルの探知(Detect)、かく乱(Disrupt)、破壊(Destroy)、防衛(Defense)を指し、15年の米韓国防当局者による定例安保協議(SCM)で承認された。昨年の「キーリゾルブ」で4D作戦が初めて実行されたが、今年はさらに具体化するという。
北朝鮮は昨年10月20日を最後に米大統領選―新政権誕生を挟んでミサイル発射を控えてきた。今回発射を再開したのは日米首脳会談に合わせることで、トランプ政権の出方をうかがう狙いがあったとみられる。金委員長は今年1月1日、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射準備が最終段階に達した」と表明しており、今後も例年同様に発射を繰り返す可能性がありそう。特に米本土を射程に入れるICBMの発射実験に踏み切った場合は、トランプ政権の出方を含め、緊張が一気に高まる恐れがある。 レコードチャイナより
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