2017年2月17日金曜日

陸自の最新型「16式機動戦闘車」は統合機動防衛力の大黒柱 南西諸島での展開も視野に

防衛省は現在、南西諸島の防衛を念頭に、陸海空自衛隊が緊密に連携して有事の際は速やかに目的地へと展開する「統合機動防衛力」の実現を目指している。このうち陸上自衛隊における即応機動体制の構築で“切り札”となるのが、昨年夏に装備化された「16式機動戦闘車」だ。この機動戦闘車は高速道路の走行や空輸も可能で迅速な前方展開への貢献が期待される。陸自は本州の戦車部隊を廃止して機動戦闘車部隊に置き換えていく方針だ。
 
機動戦闘車の一番の特徴は、戦車並みの火力とタイヤを備えた装輪車としての機動力を兼ね備えている点だ。いわば双方の“いいとこ取り”をしたといえよう。

主砲は105ミリ施線砲(しせんほう)で現役の74式戦車と同じ威力を持ち、ライフル銃のように砲弾が回転しながら突き進むため、弾道は安定する。さらには最新技術の導入によって命中精度は大幅にアップし、走行中も射撃が可能となっている。

一方、キャタピラで進む戦車と異なり、タイヤで走る機動戦闘車の最高速度は時速約100キロに達する。これに対して戦車の最高速度は74式が時速53キロ、より新しい10式や90式が時速約70キロ。機動戦闘車は、戦車並みの火力を持つ車両として最も早い機動力を持つ。

輸送面でも大型トレーラーが必要な戦車と異なり、機動戦闘車は高速道路も自走できるほか、重量を抑えているため、次期主力輸送機「C2」にも搭載可能。航続距離が約6500キロのC2に載せれば、目的地が離島であっても素早く投入できる。

司令部や他の機動戦闘車との間でリアルタイムに情報共有できるシステムも搭載しており、より効果的な運用が可能だ。

機動戦闘車の大きさは全長8・45メートル、幅2・98メートル、高さ2・87メートル。重さは約26トンだが、10式戦車の約44トンに比べれば大幅に軽くなった。車体は三菱重工業が、主砲は日本製鋼所が製造した。

乗員は4人で、陸自関係者によると「タイヤで走るので、戦車に比べて揺れは少ない」という。8つあるタイヤをスタッドレスタイヤに交換すれば雪道も走行可能だ。

機動戦闘車の予算は平成28年度に36両分が盛り込まれ、現在国会で審議中の29年度には33両分が計上されている。今後は順次全国に配備されていき、まずは今年秋に第8師団(熊本)と第14旅団(香川)、30年度には第11(北海道)、第6(山形)、第4(福岡)の各師団に導入される見通しだ。なお、第14旅団長の柴田昭市陸将補は機動戦闘車の開発に携わった経歴を持っている。

機動戦闘車は昨年、毎年恒例の「富士総合火力演習」に参加したが、まだ主砲の威力を一般向けには披露していない。現場部隊への配備は今年秋なので、直前となる見通しの今年の総火演でも、披露は難しいかもしれない。だが、できれば一足早く、その火力を私たちに示してもらいたいものだ。 産経ニュースより

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