南シナ海で横暴の限りを尽くす中国に対し、米が鉄槌(てっつい)を下すのか。米太平洋艦隊がニミッツ級の原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群を西太平洋に派遣すると発表した。南シナ海で演習を実施する可能性もあり、昨年末から年明けにかけ、南シナ海で空母による挑発行動を繰り返している中国への牽制(けんせい)が狙いとみられる。
中国海軍の空母「遼寧」は昨年12月、初めて「第1列島線」(九州-沖縄-台湾-フィリピン)の宮古海峡を越えて西太平洋で訓練を実施した。その後、台湾・フィリピン間のバシー海峡を通過し、南シナ海から海南島の三亜の海軍基地に到着した。
空母による中国の挑発行動は、昨年12月27日に米ハワイで行われた日米首脳会談でも議題となった。安倍晋三首相とオバマ大統領は「中長期的観点からも注視すべき動向だ」との認識で一致し、中国を牽制した。
ところが、中国は行動を改めるどころか、さらなる攻勢に出た。遼寧は年明けの1日、南シナ海で艦載機の発着艦訓練を実施した。中国国営中央テレビ(CCTV)の報道では、遼寧の乗組員は「1日の間に出動できる艦載機が当初の4倍まで増えた」と語り、副艦長は「2017年は訓練の内容と海空域を拡大し、空母部隊の戦闘力建設を引き続き推進する」と述べた。挑発行動を今後もやめるつもりはないということだろう。
遼寧だけではない。中国は昨年、米国に対する実力行使にも踏み切っている。12月15日に、南シナ海で米海軍の無人潜水機を強奪したのだ。
トランプ次期米大統領はツイッターで「中国は米海軍の無人潜水機を公海で盗んだ」と非難した。これに対し、中国の官製メディア、環球時報が運営するニュースサイトは、楊毅海軍少将の「トランプ氏の米大統領就任後は南シナ海での中米の衝突が、さらに激烈になるだろう」との談話を掲載した。
中国はその後、無人潜水機を米側に返還したが、緊張関係は続いている。こうした中、西太平洋に派遣されるカール・ビンソンは5日か6日に米西部サンディエゴを出発する予定だ。米中関係は年明けから、さらに緊迫しそうだ。 夕刊フジより
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2017年1月5日木曜日
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