2017年1月26日木曜日

誰のおかげか

国が「苦難の行軍」、強行軍の痛手からまだ完全に立ち直っていなかった頃のことで、西海岸のある農村においても電気はほとんど入っていなかった。

ところがこの村の家々に思いがけなくも電灯が点った。近くの人民軍部隊が風力発電所を建設し、電気の一部を農村に送ったのである。

「人民軍のおかげで電灯が点った!」 村人たちは大喜びして軍隊を誉めそやした。

ところで、村に電気が入ったのには、次のようないきさつがあった。

2004年2月3日、キムジョンイル総書記が当部隊を視察した時のことである。
総書記は部隊が建設した風力発電所を見ようと言って、指揮部の裏の険しい山の頂に登った。

高地の尾根伝いに数十メートル間隔で立ち並ぶ風力発電機は、まわりの景勝と調和し、風車の高さと羽根も壮大でなかなかの景観であった。 

「風力発電機が大変に大きい。壮観です」

総書記は、勢いよく回転する羽根を眺めてたいそう喜び、ここで生産される電気はどう使っているのかと聞いた。

「部隊指揮部と直属中隊、指揮部の軍官と軍属の家庭に送っています」

部隊指揮官の説明に総書記は、直属中隊も電気暖房を行っているのは結構なことだとたたえ、部隊の近くの山麓に並ぶ農村に目を向けた。

「あれらの住家には電気がどれだけ入っていますか」

総書記は誰ともなく質問した。

部隊の幹部たちはもじもじした。

そんな彼らの気持ちを察した総書記は、風力発電機で生産した電気を駐屯地域の住民にも送るべきだ、指揮部軍官の住宅地域と農村住宅地域が一本の道路で分かたれ、夜軍官たちの住宅地域はあかあかとし、農村の住宅地域は暗闇に包まれていることであろう、この対照的な現象を見て、人民はなんと考えるだろうかとして、こう続けた。

「人民たちに、今度われわれは風力発電所を建設したが、電気の生産量はあまり多くない、しかし少ないながらに電気を一緒に使おうと持ちかければ、人民は、われわれの人民軍は確かに違う、軍隊のおかげで電気が入ることになったと言って喜ぶだろうし、この物語は伝説のように後の世まで伝えられるだろう」 

指揮官たちは胸を熱くしながらも、どうして自分たちは人民のことを考えなかったのかと、深い自責を覚えた。

こうして農村の住宅地域にも電気が入ることになったのである。感謝する農場員たちに、部隊の軍人たちはことのいきさつを話し、こう強調するのであった。

「だから軍隊のおかげではなく、わが将軍のおかげです」  朝鮮中央通信

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