2015年11月14日土曜日

米国は日本の為に戦わない

戦後七〇年たって、アメリカに追従する安倍政府は、安保関連法制などの戦争法をつぎつぎとつくり、在日米軍基地の再編、自衛隊の増強をすすめ、日本の空港を根こそぎ軍事空港にしようとしている。それらは、「負担軽減」「危険の除去」「騒音の緩和」などの名目でおこなわれているが、実態はまったくちがう。米軍厚木基地について、岩国基地に空母艦載機部隊を移転したのちも、米軍は使用すると表明している。普天間基地から岩国基地に移転した米軍の空中給油機は頻繁に普天間基地にもどっている。日本の軍事基地は異様に拡張されている。そこには日本全土を戦場にし、廃墟にするアメリカの凶暴な作戦構想がつらぬいている。

全国を標的化する基地分散

純然たる民間空港である佐賀空港に陸上自衛隊のオスプレイを配備するとともに、二〇㌔しかはなれていない自衛隊の目達原(めたばる)基地からヘリ部隊が移転し、さらにアメリカのオスプレイの基地にしようとする構想がだされている。ここでも目達原のヘリ部隊の移転については地元の「負担軽減」が理由にあげられているが、目達原基地をなくすわけではない。佐賀空港は二〇〇〇㍍級の滑走路があるため、輸送機の離着陸が可能である。アメリカは、佐賀空港をオスプレイを使って南西諸島の前進基地へ自衛隊員をおくりこむ出撃基地にしようとしている。

沖縄の辺野古新基地建設は普天間基地の移転とされているが、普天間基地が確実にかえってくる確証はない。約束しても返還をずるずるひきのばす可能性がある。普天間基地返還をかかげてからすでに二〇年がたっているのである。沖縄では海兵隊オスプレイの基地として普天間があり、辺野古に新基地をつくろうとし、那覇空港には軍用専門の新滑走路ができ、基地のいちじるしい増強となっている。

このほか、訓練移転などと称して、米軍は本土の多くの自衛隊基地を米軍基地同様に使っている。

これらからうかびあがってくるのは、米軍基地、自衛隊基地の全土にわたる異様な拡大強化である。なんのためにこうした増強をおこなっているのか。

第二次大戦後、日本を単独占領したアメリカは、日本をアジア支配の拠点としてきた。その中心をになったのが在日米軍基地である。在日米軍はアジア各国にたいして圧倒的な軍事優位をたもち戦争をしかけた。在日米軍基地が通常兵器で他国から攻撃される恐れは皆無に近かった。ところが、中国の資本主義的な台頭により、この一〇年の間にこの前提条件がくずれた。中国のミサイル網が強化されたことにより、在日米軍基地が壊滅的打撃をうける可能性がでてきた。そのためアメリカは、これまでの作戦構想の転換を余儀なくされ、対中国戦争では在日米軍はまず遠隔地ににげ、日本と中国をたがいに攻撃しあわせ、破壊しあったあと、やおら反撃にでて勝利するという戦略をとりはじめた。

元自衛隊幹部が明かす米国の作戦構想

元大本営参謀、元伊藤忠会長であった瀬島龍三らがたちあげ、元自衛隊中枢幹部、大使経験者などの元外務省中枢幹部、自民党親米議員、右翼学者などが参加する「日本戦略研究フォーラム」というシンクタンクがある。その政策提言委員で元陸上自衛隊第一師団副師団長であった矢野義昭が「かつてのソ連とは次元が全く異なる中国の脅威集団的自衛権の行使ができなければ日本は守れない」という評論を今年の五月に発表している。そこでつぎのように書いている。

「米国では、各種の対中戦略策定にあたり、中国との核戦争を回避することと、中国大陸に大規模な地上兵力を派遣しないことを大前提としている。米国には、東アジアの同盟国のために、核戦争や本格的地上戦のリスクを犯し、自らが正面に立って中国と戦う意思はない。
 そのことが端的に表れているのが、今回合意された新しい日米防衛協力の指針、ガイドラインである。単に、日本の役割が重要になったというだけではない。日中有事には、米軍は一時、安全なグアム以東に後退することを前提としている。そのため、日本は米軍の反攻まで、独力で戦わねばならなくなった。

その背景には、米中間では…西太平洋における射程五五〇〇㌔以下の戦域ミサイル戦力では、中国の一方的な優位になっているという“現実”がある」

「中国のA2・AD(接近阻止・領域拒否=中国沿海への軍事力侵入を排除する)戦略に対抗する戦略として、米国のシンクタンクや米軍は、“エアーシーバトル(ASB)”構想を打ち出している。

その基本的な考え方は、短期の激烈な戦いでの勝利を目指す人民解放軍に対し、当初のミサイルなどの奇襲攻撃から生き残り、一時安全な後方に退避する。

その間、対水上戦、対潜水艦戦など海域作戦での優勢を維持し、敵海軍戦力の撃破を目指すとともに、敵の戦力発揮の中枢であり脆弱な、空港、港湾、指揮通信インフラの中枢などに、遠距離から無人機、ミサイルなどにより精密攻撃を行い、敵戦力を弱体化させる。

そののちに、反攻作戦を行い勝利する。反攻作戦までの間、同盟国の防衛は同盟国自らが主体的に行い、米軍はそれを支援あるいは補完するといった構想である」

「今では、日本有事に本格的な地上兵力を増援するという構想は、米国にはない。中朝の日本を直接攻撃できるミサイル戦力も核戦力も増強されており、米軍は被害を避けるため、日本有事には一カ月以上、空母も含めて後方の安全な地域に退避することになると予想されている」

日本の破壊が大きいほど米軍が有利に

エアシーバトル作戦構想は、二〇一〇年の米国防総省の国防計画の見直し(QDR)ではじめてうちだされた。名前のとおり、アジアの軍事的力関係の変化におうじて、米空軍と海軍がどう対処するかをまとめたものである。この構想については米軍が公にしたものと秘密にしたものとがあり、公表された分は多分に中国および同盟国むけの宣伝の要素があることを見ておかなければならない。しかし、公式のもの以外に軍の関係者などが書いたエアシーバトルについての論文などもだされており、それらは基本的な骨格が共通しており、矢野の評論もその一つである。

なお、米国防総省は今年にはいってエアシーバトルの表現を使うのをやめ、陸軍や海兵隊の対応もふくめた「国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想」(JAM―GC、ジャム・ジーシー)にするとしている。その内容は年内に公表するとしているが、骨格はエアシーバトルとかわらないと見られている。

「国際公共財」は公海などをさすのだろうが、どんな欺瞞的な名称をつけても、アメリカの対中国戦争のための作戦構想にかわりはない。

エアシーバトルについてあきらかにされている文書や評論などを総合すると、戦争はつぎのように進展する。尖閣諸島(東中国海)、南沙諸島(南中国海)あるいは台湾海峡などで中国と米日の小規模な衝突が発生し、それが拡大してミサイルなどを使って、中国と日本の双方の国内の基地やインフラにたいする破壊攻撃がおこなわれる。この戦斗がはじまるのを察知した米軍の主力部隊は在日米軍基地からグアム以東の中国のミサイルがとどかない地域に退避する。南西諸島と日本本土は自衛隊が中心となって「独力で」戦斗をおこなう。アメリカはせいぜい顧問団をのこすくらいだと見られている。この初期の戦斗で、在日米軍基地はかなりの打撃をうける、日本全土が戦場になって大量の犠牲者がでることが予測される。

初期の戦斗が一段落して一カ月ぐらいたってから、米軍が反撃にでる。その際、あくまで 米軍の安全を第一に遠距離からの攻撃をおこなうとしている。この対中国戦争は、おそらくCIAなどを使っての中国国内の政府転覆活動と一体でおこなわれる。アメリカはこうして軍事的にも政治的にも勝利するとしている。

しかも、アメリカは日本と中国があらそえば、自分も戦争にくわわるというのでなく「調停者」として登場しようという企みももっている。

こうしてアメリカは、初期の戦斗で中国に、保有しているミサイルをできるだけ消費させたほうが、より安全に反攻にうつれるとし、日本が中国のミサイルで攻撃されればされるほどアメリカが優位にたてるという、とんでもない構想にした。

いますすめられている日本全土の軍事基地の新設は、中国のミサイル攻撃にたいして目標をかぎりなく多くすることであり、中国に、よりたくさんのミサイルを使わせることにつながっている。当然、その分基地周辺の人民は直接戦斗にまきこまれ、甚大な犠牲を負わされることになる。

現在、すすめられている米軍再編と自衛隊基地の増強・米軍基地化の動きは、こうしたアメリカの作戦構想にそったものである。この四月に合意した「新日米防衛ガイドライン」も、矢野がのべたように日本の「独力での防衛」を強調しており、逃げる米軍との「役割分担」を鮮明にしている。また、在日米軍基地を自衛隊がまもることも要求している。日本国民の命と安全をまもるという内容は皆無である。

米軍の作戦をかくし続ける安倍政府

「日米安保条約」の隠された本質があらわになってきたのである。アメリカは日本をまもるどころか、日本が壊滅的な打撃をうけるのを承知で、日本をアメリカの対中国戦争の戦場にする。米軍はにげる。福島第一原発で、米GE社製の原発が放射能漏れ事故をおこしたのにもかかわらず、第一線で処理にあたったのは自衛隊であり、米軍はヘリコプターなどに被ばくが確認されるとただちに遠くに逃げだす「トモダチ作戦」を展開した。これもまたエアシーバトルにもとづく行動であった。

安倍政府はこうしたアメリカがたくらんでいる戦争構想についてまったく口をつぐんで、在日米軍基地の維持と再編増強のために毎年七〇〇〇億円の血税をつぎこみ、在沖海兵隊がグアム島に逃げるための施設にも巨額の国費をだしている。しかも、集団的自衛権の行使を誓約しているため、アメリカが対中国戦争に突入すれば日本の意思にかかわりなくいっしょに突入し、日本全土が戦場になるのである。

アメリカは「国際公共財」へのアクセスの自由(航行の自由)をうたっているが、その裏では他民族の公共財を平気でうばっている。日本を見ても、日本の領土、領空、領海をアメリカは好き勝手にきりとって支配している。「自由、民主、人権」の旗をかかげているが、アメリカのやっていることは、民族の抑圧であり、専制支配であり、人権蹂躙である。

首相・安倍は「どの国も一国だけでは安全をまもれない」などといって日米軍事同盟を美化しているが、事態はアメリカと手をきらなければ戦争にまきこまれ、日本が廃墟になることをしめしている。中国の利権を独占するために日本全体を“パールハーバー”にしたてあげ、日本を中国にけしかけ日本の戦場化を踏み台にしてアメリカが勝利するという帝国主義的な策謀をだんじてゆるしてはならない。人民の星より

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