オランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所が10月末、中国による南シナ海での領有権主張は国際法に違反する-とのフィリピンの訴えの一部について、審理開始を決めた。中国の外交が大きな敗北を喫したといえる。インドネシアなど他の周辺国もフィリピンに続く姿勢をみせており、習近平政権が推進する外洋拡張路線に対する国際社会の圧力が一層高まりそうだ。
中国が領有権を主張する根拠は、1947年に中華民国(中国国民党)政府が発表した南シナ海の海域ほぼ全てを囲む境界線(十一段線)だ。中国政府は53年に「九段線」と名称を変更したが、国際法上の根拠は曖昧で、緯度も経度も明示されていない。中国は九段線の内側全ての島と資源に対し権利があると一方的に主張し、この海域にある離島への領有権を主張するフィリピンやベトナムなどの反発を招いている。
胡錦濤政権時代までは、領有権の主張が言葉だけにとどまることが多かった。しかし、習近平政権が発足してからは石油の掘削や人工島建設など、この海域において大規模な開発や探査作業を始めた。中国海軍がフィリピン海軍などとにらみ合う場面もあった。
中国は南シナ海の問題に対する米国など国際社会の関与を拒絶し、当事国同士による解決を主張している。軍事的圧力をもって、領有権があるという既成事実をつくろうとしている。
フィリピンは2013年1月、国連海洋法条約に基づいて仲裁裁判所に提訴し、「中国が主張する
九段線の中の岩礁や海洋を一方的に占拠し、フィリピンの権利を侵害した」と訴えた。これに対し中国は「主権にかかわる問題だ」として仲裁裁判所には管轄権がないと主張、7月に行われた口頭弁論にも参加しなかった。
しかし今回、中国当局による水面下の激しい妨害活動が奏功することなく、仲裁裁判所がフィリピンによる15件の訴えのうち、7件についての管轄権を認め、審理入りを決めた。中国の主張が却下された形で、中国外務省の報道官はすぐさま、「フィリピンが提出した南シナ海の仲裁案は受け入れられない」と強く反発し、「決定は無効で、中国に対して何の拘束力も持たない」と強調した。
仲裁裁判所での本格審理は来年1月ごろに始まるが、中国は欠席するとみられる。裁判でフィリピンの主張のみが認定され、中国に不利な判断が下される可能性が高いといわれる。
九段線に反発する国は他にもあり、インドネシアのルフット調整相(政治・法務・治安担当)が今月11日、報道陣に対し、九段線の問題で国際司法機関に提訴する考えを明らかにした。ベトナムもそれに続く可能性がある。
中国の政府系シンクタンクに所属する国際関係学者は、「中国の南シナ海に対する領有権主張の国際法的な根拠は曖昧だ。九段線の具体的な定義について政府が明示したことはなく、私たちもよく分からない。仲裁裁判所で中国が勝つ可能性は低い」との認識を示した上で、「中国が無効だと主張しても、国際的な司法の場で次々と敗訴するような展開になれば、国際社会でさらに孤立するだけでなく、国内における政権の求心力にも影響を与えるかもしれない」と話している。
産経ニュースより
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2015年11月20日金曜日
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