2015年11月23日月曜日

インドネシア新幹線の受注見直しもあるか

2015年11月16日、白紙から一転して、中国の高速鉄道提案を採用したインドネシア。担当大臣は政府が事業主体になる事を白紙にしただけで、高速鉄道導入を白紙にしたわけではなかったと苦しい言い訳をしているが、日本にとっては、青天の霹靂だ。アジアの鉄道に詳しい鉄道ライター、北山くにみさんに、なぜ、中国の高速鉄道が採用されてしまったのか分析してもらった。

 「インドネシアにおける高速鉄道インフラの受注は、政治的な思惑が交錯して日本にとっては残念な結果に終わってしまいました。日本の鉄道技術が依然として世界トップクラスにあるのは間違いありません。中国が長期的な国益を度外視してまでインドネシアにインフラや技術を提供し続けるというのは考えにくく、インドネシアの高速鉄道計画は今後も形を変えていくものと思われます。場合によっては再度の計画見直しもあり得るのではないでしょうか。

インドネシアでの高速鉄道の受注においては中国のなりふり構わない戦術に敗れてしまいましたが、悲観するのは早計です。まだまだ巻き返しのチャンスはあるでしょう。例えば、タイの首都バンコクの都市鉄道・パープルライン2016年開業予定の車両は、日本勢が海外メーカーとの競争を勝ち抜き、受注を果たしています。車両は総合車両製作所の「サスティナ」と呼ばれる車両です。もともと日本国内の鉄道事業者向けに開発されたもので、製造コストを抑制しつつも、安全性、快適性を確保しています。鉄道車両はもともと鉄道会社が輸送状況に応じてオーダーメイドするのが原則でしたが、近年国内では車両メーカーのレディメイドの車両を各社が適宜カスタマイズしたうえで導入する、という流れが顕著です。

バンコクのケースは日本向けの標準仕様車を海外向けにカスタマイズした点がユニークです。この車両の整備には日本政府による円借款(790億円)が行われるなど、資金面でのバックアップも交渉の材料に用いられています。

さらに、パープルラインでは東芝、丸紅、JR東日本が共同で現地法人を設立して、車両メンテナンスも担当することも決定するなど、今回の受注は日本勢の強みや持ち味がフルに発揮されていると言えるでしょう。今後、日本勢が鉄道インフラの輸出を進めていくうえでもモデルケースになりうる事案です。

とはいえ、海外メーカーも日々技術革新を進めており、日本は必ずしも圧倒的優位な状況にあるという訳でもありません。事実、バンコク・パープルラインでも信号システムや自動改札口などの受注を果たすことはできませんでした。

日本の鉄道は世界でも有数の稠密さを誇る都市鉄道網を有しており、高密度運転、保安(安全)装置、列車の集中管理システムなどにおいて極めて優れたノウハウの蓄積があります。世界各地で拡大する鉄道建設の需要に応えていけるよう、各地の輸送事情や経済力に合わせたオーダーメイド的な手法による提案が今後ますます必要になっていくことでしょう」。

日本の鉄道技術は世界一といってもいい程、完成度は高いと思う。新幹線に見られる様に安全ということでは、他の国を寄せ付けない程安全を優先している。多数の人を運ぶからこそ、安全第一でなければならないのはいう事はない。

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