フランスで開催中の世界最大級の航空展示会「パリ国際航空ショー」。航空機メーカーが受注合戦にしのぎを削る会場で目を引いたのが、機体やエンジンに使われる部品の素材革命だ。エンジン向け繊維複合材では、日本勢が一度は埋もれかけた技術を生かし米ゼネラル・エレクトリック(GE)を動かした。日本の素材力は世界の航空機産業の隠れた主役だ。
■パリの航空展示会で注目
「これまでにない価値を持つ材料。耐熱合金の世界を一気にたたき壊すかもしれないほどのインパクトだ」。航空ショー会場の一角の航空機エンジン世界最大手、GEアビエーションの商談施設。同社の次世代エンジンの総責任者、ウィリアム・ミルハム・ゼネラルマネジャーが力説した。
その材料とはエンジン向けのセラミックの繊維複合材「CMC」。炭化ケイ素(SiC)でできた繊維をセラミックとして焼き固めたものだ。
SiC繊維の特徴は、従来エンジン部品に使われていたニッケル合金に比べ重さが3分の1、耐熱温度が20%アップ、強度が2倍と3拍子そろっている点にある。ミルハム氏は「強みは高圧タービンで大いに発揮される」と語る。なぜか。
高圧タービンには1000度を超える高温の燃焼ガスが送り込まれる。従来のニッケル合金だと外から取り込んだ空気で冷やす必要があったが、SiC繊維製のCMCだと最高2000度まで耐えられるため冷却空気が不要となる。
「使わない空気は推力として有効活用されるため燃焼改善につながる」(ミルハム氏)のだ。しかも軽量であれば一段の燃費向上も見込める。
■日本カーボン、GE動かす
実はこのSiC繊維を手掛けられるのは世界で日本カーボンと宇部興産の2社しかない。GEが選んだのは日本カーボンだ。仏エンジン大手サフランと三顧の礼を持って日本カーボンを迎え入れ、3社合弁でNGSアドバンストファイバー(富山市)を設立。同社はSiC繊維を量産するため約60億円を投じ新工場の着工も決めた。
CMCが入ったエンジン「LEAP」は他の新技術の貢献もあり燃費を15%以上削減。今年中に運航を始める欧州エアバスの次期小型機と、2017年に初飛行を迎える米ボーイングの次期小型機の両方への搭載が決まっている。
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年6月26日金曜日
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