中国当局は今年2月、挑発行為を繰り返す北朝鮮に対して石炭輸入禁止措置の実施を発表した。中国海関(税関)総署の統計では、3月と4月北朝鮮からの石炭輸入はゼロとなった。しかし、米国専門家は、中国当局が貿易統計をねつ造し、北朝鮮に対して制裁措置を行っていないと指摘した。
米紙「ワシントンポスト」(23日付)によると、米シンクタンクのピーターソン国際経済研究所のケント・ボイドストン(Kent Boydston)研究員は、中国当局は実際、北朝鮮からの石炭輸入を禁止していないとの見解を示した。
中朝貿易規模は、北朝鮮の対外貿易全体の9割を占める。そのうちの4割は対中の石炭輸出だ。「北京が北朝鮮からの石炭輸入を禁止すれば、金正恩政権に大きな経済的打撃を与えるに違いない」が、しかし「現在北朝鮮の通貨の為替レートやコメの価格は非常に安定している」と、経済的混乱が起きていないとした。
一部の専門家は、中国当局は政治的目的で、中朝貿易のデータを改ざんし、あるいは他の品目に分類した可能性が高い。
中国当局の統計では、4月北朝鮮からの鉄鉱石輸入は3月と比べて10%増で、前年同月比では159%増となった。
また、専門家は中朝貿易実態にも疑問視している。
中国海関総署によると、今年1~4月まで、北朝鮮の対中輸出額は前年同期比で横ばいの約6億ドル(約671億円)に達した。同期、中国から北朝鮮への輸出額は同32%増の10億ドル(約1118億円)。
ジョージタウン大学のウィリアム・ブラウン(William Brown)助教授は同紙に対して、「中国と北朝鮮との間の貿易赤字が近年拡大している」と話し、国際金融とつながりのない北朝鮮がなぜ巨額な貿易赤字に耐えられるのかが不明だという。
現在多くの国が、中国当局が、国連安全保障理事会(安保理)が北朝鮮への石油輸出禁止制裁措置に同意するかどうかに注目している。しかし、ブラウン助教授はそれよりも、中国は今までと同様に無償に石油を提供し続けていくかどうかが最も肝要だと指摘した。
中国メディアは4月、北朝鮮が挑発行為を続ければ、中国当局は「対北朝鮮の石油供給を制限する」を含む安保理の制裁措置を実行すると報道した。
しかし、「ワシントンポスト」は中国当局が過去安保理の制裁措置を実行したものの、実施期間は数カ月に留まったと示し、中国当局は金正恩政権の崩壊を望んでおらず、在韓米軍が中朝国境に駐屯するのを目にしたくないからだと指摘した。 大紀元日本より
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