国際社会の懸念を無視し、暴走を続ける北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は大きなツケを払うことになりそうだ。今月の2回にわたる弾道ミサイル発射に先立ち、中国と取引る貿易関係者らに対し「破綻を覚悟するように」と当局者が求めたというのだ。中国との関係は、1948年の建国以来、最悪の状態との見方も浮上している。
5月初旬、中朝国境付近のある都市で、北朝鮮当局者から衝撃的な発言が飛び出したという。情報を入手した麗澤大客員教授の西岡力氏が次のように明かす。
「『中国に対する大いなる幻想を持たずに仕事をせよ。緊張する現情勢により、中国と取引する企業所は破局的破綻を覚悟して対策を立てよ』というものだった」
集められていたのは、中朝貿易の関係者ら。中国との関係が今後さらに悪化することを、あらかじめ知らせた行動のようにもうかがえる。
北朝鮮は今月14日と21日に弾道ミサイルを打ち上げたが、14日の発射は中国のメンツをつぶすインパクトがあった。当日は、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する初の国際会議の開幕日だったのだ。
習近平国家主席が提唱し、中国にとっては今年最大の外交イベントとの位置付けだった。会議には、北朝鮮代表団も招かれていた。
「中国との関係は建国以来、最悪ではないか」。西岡氏は現在、北朝鮮は中国とギリギリのラインでにらみ合いを続けており、「核実験をあきらめてはいないと思うが、米国と中国両方を敵に回すことになるから、タイミングをみるのではないか」と指摘する。
対する中国の怒りはすさまじいという。
『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)などの著書がある東京福祉大国際交流センター長の遠藤誉氏がその背景を解説する。
「4月20日に『核実験をする』と通知した北朝鮮に対し、中国は『もしも、そのようなことをしたら中朝国境を封鎖する』と答えた。そうすると、25日ごろに実施するとみられていた核実験をしなかった。中国はその後、北朝鮮を一帯一路のサミットに誘ったが、開幕日の14日に弾道ミサイルを発射した。中国は完全にメンツをつぶされ、顔に泥を塗られた」
遠藤氏は「毛沢東時代の1964年に中国が原爆実験に成功したとき、金日成(キム・イルソン)主席に『技術を教えてくれ』と言われたが、『絶対に駄目だ』と断っている。中国はどんなことがあっても、国益のため北朝鮮が核を持つことに絶対反対という立場で、行動しないはずがない」と話し、続けた。
「中国が行動に出なかったら、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を完成させ、全世界が北朝鮮の脅威のもとに置かれるということになる。そんなことがあっていいはずがない」
中国が今後、取り得る手段として考えられるのは、国境封鎖のほか、石油の供給停止、中朝軍事同盟の破棄だという。
いつ動くのか。
遠藤氏は「ただ、中国は、秋の共産党大会までは行動を慎むだろう」と見通しを語った。
緊張状態が続くのか。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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