2017年5月28日日曜日

韓国大統領がミサイル迎撃システム拒否するなら、「日本移転」しかない

韓国大統領に「共に民主党」の文在寅氏が選ばれ、米軍関係者が電話の向こうで嘆いた。

「文大統領は、最新鋭のTHAAD(サード=高高度防衛ミサイル)システムをいらないというつもりだろうか? 彼は正気だと思うか?」

文氏はTHAADについて大統領選挙キャンペーン前から、「次の政権(文在寅政権)で再協議すべきだ」と威勢良く主張。4月に入り「北朝鮮が6回目の核実験を強行し、核による挑発を続け高度化するのなら、THAAD配備は避けられなくなる」と、次第に歯切れが悪くなっていった。10日の大統領就任式では「米国に加え、配備に反発する中国とも真摯に話し合っていく」と、就任早々無責任な言葉を口にした。

中国は自国の軍事動向が広範囲にのぞかれてしまうTHAADの配備に猛烈に反発し、事実上の対韓経済制裁に踏み切っている。在韓米軍防護の要でもあるTHAADを何としても存続させたい米国と中国の双方の顔を立てるなど不可能だ。米国が軍事同盟国だとの自覚に欠ける文氏の正体が、早くも鼻につき始めた。

筆者は米軍関係者に答えた。

「正気か否かは分からないが、北朝鮮を信頼し、支持する気持ちは本気だ。ミサイルを無力化できるTHAADは北朝鮮にとって邪魔。愛する北に邪魔な兵器は、文政権にとっても邪魔なのだ」

米軍関係者に「THAADを韓国に継続配備できる方法はないものか?」とただされ、筆者は答えた。

「秘策がある。『韓国がいらないのなら、日本に持っていく』と、トランプ米政権が文政権に伝えればいい。日本に必要以上の、独り相撲的なライバル心を抱く韓国のこと。日本移転で『日本にない兵器だった』と気付き、『あれば日本が悔しがる』と思い直す。そして、臆面もなく、恥ずかしげもなく、180度ならぬ“360度の方針転換”を決め、あわてて配備継続をお願いしに行くかもしれない」

何も、いいかげんな助言をしたわけではない。ヒントは、前日にコンタクトした自衛隊の現役将官の本音であった。

「ドナルド・トランプ大統領はTHAAD配備費用の『韓国側負担』をチラつかせるが、先行きは不透明。でも、文氏が『配備の是非につき再協議』を言い出した時点では米側負担だった。なんて、もったいない。韓国がいらないのなら、防衛予算不足でTHAAD配備のやりくりが難しいわが国に譲って、と思った。在日米軍向け(=日本防衛兼務)でよい。韓国は贅沢過ぎる」

自衛隊の兵器は全て欲しい韓国軍の嫉妬

筆者は「贅沢ではなく愚かなだけだ」と口を挟んだが、韓国が本当に必要な兵器を取得しない過ちを犯すのは、初めてではない。というより「過ちが常態」。過ちだらけの軍事史を振り返れば、「THAADの日本移転」が韓国側に与える衝撃度が理解できよう。

例えば、韓国海軍がそろえた対潜水艦・水上艦艇攻撃を想定したドイツ生まれの潜水艦。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊作戦部隊員や工作員の隠密上陸に使う潜水艇や半潜水艇、小型潜水艦を相手にベストの選択肢とは言い難い。限りある国防予算の別の使い道はヤマほどある。かつて、韓国軍関係者は筆者に漏らした。

「海上だけでなく航空戦力で格段に劣る朝鮮人民軍相手に、韓国軍の兵器体系はチグハグ。現有の軍用艦や作戦機は、自衛隊の保有兵器への嫉妬が生み落とした。自衛隊の保有装備は全て欲しい悪癖が絶てない」

日本にTHAADが配備されれば、韓国はさぞ慌てるだろう。しかし、防衛予算がいくらあっても足りぬ現下の危機的情勢では、フトコロ具合と相談し《イージス・アショア》の導入を優先させたい。もちろん、同時に手に入れられる財源が確保できれば、そちらがベストではあるが。とりあえずイージス・アショアが、いかに優秀かを説明したい。

大ざっぱに言えば、弾道ミサイルなどを迎撃すべくイージス艦に搭載されているイージス(艦隊防空)システムの陸上バージョン。艦載のイージス・システムをあえて《イージス・アフロート》と呼べば、陸上版イージス・システムは《イージス・アショア》との名称がピタリとはまる。レーダーや迎撃ミサイルの垂直発射システム(VLS)など、イージス艦が備える各種機能が陸上で再現されるイメージを描けばよい。

《C4ISR》も然り。C4ISRとは、指揮(Command)▽統制(Control)▽通信(Communication)▽コンピューター(Computer)の「4つのC」+情報(Intelligence)▽監視(Surveillance)▽偵察(Reconnaissance)の頭文字を並べた軍事用語。頭文字の機能全てが自動で流れるように連結・一体運用される能力もイージス艦と同じだ。

イージス・アショアは、実戦的実験で素晴らしい成功を収めている。既に欧州では、イージス・アショアの整備が進行中だ。整備は、イランやロシアのミサイルを大きな脅威と考えるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で、加盟28カ国の総意として合意された《欧州ミサイル防衛構想》に基づく。

特に、東欧のルーマニアやポーランドは積極的だ。トルコにも高性能レーダー基地が建設され、迎撃ミサイル発射基地など、システムの各機能をドイツに置かれた指揮・統制中枢で一体管理する。陸上型イージスだけでなく、本来の海上型イージスも並行して準備され、米海軍やスペイン海軍のイージス艦が地中海やジブラルタル海峡でにらみを利かせ、防空上の縦深性に厚みをもたらしている。

韓国の「危機ボケ」 北の「核ボケ」 日本の「平和ボケ」

欧州の危機感は、韓国の危機感の欠如を際立たせる。韓国には「同じ民族の北朝鮮は韓国を攻撃しない」「南北危機をあおっているのは日本だ」などの世論さえある。朝鮮戦争(1950~53年休戦)以降、北朝鮮に繰り返し核・ミサイル開発危機&奇襲攻撃&大規模テロを経験させられ「危機ボケ」しているのだ。

米本土に届く核・ミサイル完成による政権維持しか眼中にない北朝鮮の「核ボケ」とは対照的だ。もっとも、日本も「平和ボケ」で、韓国の「危機ボケ」を嘲笑・批判できる立場にはない。

「平和ボケ」は、北朝鮮や中国に対する安全保障上の国家戦略に関し、敵ミサイルを無力化する《拒否的抑止力》の整備のみに止め、対地巡航ミサイルや戦略爆撃機で敵のミサイル基地などを先制・報復攻撃する《懲罰的抑止力》を保有しない姿勢に象徴される。むしろ、保有していない国家的怠慢を「平和的」だと、独善的に自賛している有り様だ。そもそも、抑止力は懲罰的と拒否的の2種類が相乗効果を発揮して、祖国を守るのである。

ともあれ、わが国における現時点での拒否的抑止力を説明する。現在、わが国に襲来する敵弾道ミサイルを迎え撃つ切り札は、海上自衛隊のイージス艦搭載迎撃ミサイル《SM3》と航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット《PAC3》の2段構え。

SM3が高度500キロ(宇宙空間)で、PAC3は高度15キロで、それぞれ迎撃する。が、PAC3で迎撃する事態とは、地上にヒットするわずか5秒前で、副次的被害は避けようもない。

敵ミサイルの迎撃はラグビーのタックルと同様、はずされたら他のチームメートがフォローする。3層、4層と防衛網を多層化することで安全性は増す。しかも、ゴールラインよりできるだけ遠方でのタックルで、一層安全性が担保される。

そこで注目されているのが、韓国で問題となっている3つ目の切り札=高度40~150キロ/半径200キロをカバーするTHAAD。6~7基を導入すれば、わが国の防衛は飛躍的に向上する。ただ、1基あたり2000億円もする財政上の負担をクリアせねばならない

一方、現有のSM3(イージス艦搭載迎撃ミサイル)は《ブロック1A》だが、発展型のSM3《ブロック2A》を数年以内に運用する。ブロック2Aはブロック1Aに比べ射高・射程共に2倍に延び、各

1000キロと2000キロへと大進化を遂げる。射程2000キロが描く直径4000キロの円内に日本列島が収まる。故に、イージス艦1隻で日本を防御でき、2隻態勢なら防御確率はアップする。

射高の高さも魅力だ。従来型では対処が難しかった、ミサイルを高く打ち上げて手前に落とす《ロフテッド弾道》を阻止できそうだ。グアムやハワイを向かう北朝鮮の中距離弾道ミサイルも、わが国が策源地となって阻むことも可能となり、日米同盟下での集団的自衛権行使の実効性も上がる。SM3ブロック2Aを搭載できる新造イージス艦の増隻や従来型イージス艦の改修が急がれる。

実は、海上自衛隊のイージス艦の垂直発射システム(VLS)には対地巡航ミサイル《トマホーク》が装填できる。対地巡航ミサイルを装填すれば、海自イージス艦は拒否的抑止力のみならず、懲罰的抑止力のプラットフォームも兼ねるようになる。

霊廟がモデルの国会議事堂が本当に墓場と化すXデー

イージス・アショアの本論に入る。SM3ブロック2Aはイージス・アショアに転用できる。現に、欧州のイージス・アショア計画はブロック2Aの採用が前提だ。つまり、イージス艦発射のSM3ブロック2Aで前述したごとく、「陸に上がったイージス艦」たるイージス・アショアも適所に1カ所存在すれば最低限、日本の対弾道ミサイル防衛が成る。2カ所あれば防御確率が上がり、かつ改修・新造イージス艦との連携で100%近い迎撃率は夢ではなくなる。

海上と陸上のイージス・システムの構造はほぼ同じだが、運用上の相違はある。イージス艦は迎撃の最適海域まで燃料と日数を使い進出し、操艦や艦防護のための要員を長期に拘束する。その点、イージス・アショアは省人化に資するし、建造・運用費もイージス艦ほどではない。人員・予算不足の「自衛隊に優しい兵器」といえる。

ところで、誤解されぬようあるべき抑止力の理想像を記しておく。海上自衛隊のイージス艦搭載迎撃ミサイル《SM3ブロック2A》と航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット《PAC3》加え、イージス・アショア+THAADで拒否的抑止力が仕上がる。さらに、巡航ミサイルや戦略爆撃と、それを支援する軍事衛星&情報機関&各種支援施設&支援機。これでようやく抑止力が最強化できるのである。

けれども、情勢の激変に目をつぶり、怠ってきた抑止力の構築が間に合うかどうか。現時点では米国本土に、北朝鮮の核・ミサイルは届かない。

「仲間」の文在寅・大統領が率いる韓国に対する発射は遠慮がちに。北朝鮮を民主国家への緩衝帯ととらえ、経済・エネルギー支援を差し伸べてくれる中国やロシアには核・ミサイルを撃ち込み難い。従って、関係国の内、日本だけが北朝鮮の攻撃に遭う可能性が突出して拡大した、ことになる。
 
未曾有の危機をよそに、国会では民進党などを筆頭に、安倍晋三政権のイメージ・ダウンを狙い国家存亡とは無関係な議論を政府にネチネチと吹っ掛けている。国会議事堂を12キロトン級(広島型は15キロトン)の核ミサイルが襲えば、爆心地周辺で42万4千人近くが一瞬にして死ぬ、のにだ。

そういえば、「国会議事堂は紀元前4世紀のトルコ西方域・カリア国の王を葬った《マウソロスの霊廟》がモデルだった」との、信頼できる建築史学上の見方が存在する。左傾政治家は策を弄した揚げ句に墓穴を掘るに違いあるまいが、墓アナには国民を道連れにせず是非、罪深い皆様方だけでお入りください。 イザより

0 件のコメント:

コメントを投稿

日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁

金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...