2017年5月28日日曜日

「豊洲問題」から逃げる小池都知事は、やはり決断できない人なのか

「環境基準」というが

東京都は築地市場の土壌から、有害物質であるベンゼンが検出されたと発表した。今後、本格的なボーリング調査が行われるが、'17年2月の時点でささやかれていた「築地も土壌汚染がある」は現実味を帯びてきている。この調査を受け、業界団体からは「即刻豊洲移転」するべきだとの意見が強まっている。

筆者は本コラムで度々指摘している通り、老朽化した築地市場よりも、新しい豊洲市場へ「即刻移転」させるべきだと考えている。なかなか移転に踏み切れない東京都だが、今後の焦点はどこにあるのか。

まず、豊洲市場の土壌汚染問題だが、その調査基準について考えなおす必要がある。いま東京都やマスコミの報道が安全性の基準にしているのは「環境基準」とよばれるものである。

環境基本法によって定められているこの環境基準は、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」と条文にある。具体的に言えば、豊洲市場の地下水が「飲料水として使用できる」ほどきれいであるかどうか、というのが環境基準なのだ。

もちろんこれを満たすに越したことはない。だが実際のところ、東京23区内でも環境基準をクリアしていない場所はほかにもある。

日本では50年ほど前までは、井戸水を飲用として使えるところが多かった。だが有害物質の存在が指摘されるようになると、都は井戸水から水道水に変更するように指導。いま23区内で井戸水を使うのはきわめて珍しい光景となった。
 
敵も味方もいらだっている

東京都全体として、地下の土壌汚染はある程度あるといわれている。土壌汚染対策法では、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない土地については、指定区域化する必要があるが、その指定区域は都内至るところにある。

豊洲市場の地下水は、飲用や生活用水として使用されるわけではない。だから、適切に対策を行えば問題ないとするのが専門家の見立てだ。

だがこれに対して小池百合子都知事は、「安心」でないという理由で移転にストップをかけている。科学的な見地から「安全」であることが確保されたら、都民から「安心」を得るのは政治家の役目ではないだろうか。これでは、決断を先延ばしにしているだけだ。

おまけに小池都知事には、都議選というプレッシャーがかかっている。7月2日に投開票を迎える都議選では、事実上小池都知事が主導する都民ファーストの会と公明党が連携。公明党は都議選の影響を考慮し、豊洲移転問題が都議選の争点にならないように、小池都知事に決断を迫っている。
 
一方自民党都連は、豊洲へ一刻も早く移転すべきという立場を取っている。敵も味方も、小池都知事が豊洲問題から逃げはじめていることにいらだちを隠せないでいるのだ。

東京五輪での都外競技会場の仮設施設整備費についても、小池都知事は決断を先延ばしにして、官邸のひんしゅくを買ってしまった。小池都知事は決断できない人だとのイメージは、徐々に出来上がりつつある。

7月投開票の都議選に向けて、様々な政治闘争が図られる。そのうねりのなかで、豊洲問題に決着がつくと期待したい。 週刊現代より

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