絶大な権力を握り、わが世の春を謳歌していた保衛省だが、昨年末から今年初めにかけて大々的かつ検閲(監査)を受けた。
トップの金元弘(キム・ウォノン)氏が解任され、複数の幹部が処刑、権限が次々に奪われるなどして、組織はガタガタ、やる気はダダ下がりになっていると伝えられる。今回の文書は、それに活を入れる意味合いがあったものと思われる。
文書は同時に、人民保安省(警察)と検察所にも送付されており、各機関の間での過剰な忠誠競争を戒める意味も含まれているようだ。
両江道(リャンガンド)の情報筋によると、各地方の司法機関(保衛局、保安局、検察所)に、日付のない講演提綱(レジュメ)が伝達された。その内容は概ね次のようなものだ。
司法機関における綱紀の緩みはもはや座視できないレベルに達した。そうなれば社会主義も、人民の生命、財産、安全も守れなくなる。軍隊の使命が国を守ることならば、司法機関の使命は社会主義体制と人民の生命、財産を守ることだ。それなのに、司法機関のイルクン(活動家)は、与えられた使命を忘却している。
司法機関は「非社会主義行為」「麻薬」「賭博」「迷信(宗教)」の4大犯罪が頭をもたげることのないように、強力に闘争すべきだ。同時に、国内の不純分子、スパイに反対する闘争を強化すべきだ。
慈江道(チャガンド)の情報筋は、この警告に「萎縮せず果敢なる革新と改造を行い、生まれ変われ」という意味が込められていると解説した。
また、講演提綱には「覇気あふれ意欲旺盛な若者を先頭に立て」とのくだりがあり、これは世代交代を暗に示したものだと受け止められている。
さらに「告発を受け付けても、本当に自分たちが捜査を行うべき事案なのかよく考えるべき」として、越権行為や、保衛省と保安省の間で起きている過剰な忠誠競争を戒めている。
一方で情報筋は、4大犯罪と言えば従来は「売春」が含まれるのに、今回の文書では替わって「迷信」が挙げられていることを指摘し、金正恩氏がいかなる宗教も認めないという姿勢を示したものだと解説した。
韓国のキリスト教(プロテスタント)は、脱北者の救援や、北朝鮮国内の布教活動を含む人権活動に非常に積極的であることから、北朝鮮当局から目の敵にされている。 yahooニュースより
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