2017年5月30日火曜日

超異例!米空母3隻臨戦 米祝日狙いミサイル発射、正恩氏“宣戦布告”か 「朝鮮戦争休戦以来、最大の危機」

朝鮮半島の緊張が「異次元」の領域に達しつつある。北朝鮮は29日早朝、今年12発目となる弾道ミサイル1発を発射し、新潟県・佐渡島から約500キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込んだ。一歩間違えば、日本の船舶や航空機に被害が出ていた。ドナルド・トランプ大統領率いる米軍は6月以降、世界最強の3つの空母打撃群を北朝鮮近海に集結させる。「1953年に朝鮮戦争が休戦して以来、最大の危機」と断言する識者もいる。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の狂気の挑発に対し、米国は軍事行動を決断するのか。

「北朝鮮が、国際社会の度重なる警告を無視して挑発を続けていることは断じて許すことができない。北朝鮮に厳重に抗議した」「国際社会と連携しながら高度な警戒態勢を維持し、国民の安全確保に万全を期していく」「北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的な行動を取る」

安倍晋三首相は29日早朝、官邸で記者団にこう語った。政府は、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を開き、対応を協議した。

北朝鮮は日本時間同日午前5時40分ごろ、同国東部・元山(ウォンサン)付近から弾道ミサイル1発を発射し、新潟県・佐渡島から約500キロ、島根県・隠岐諸島から約300キロにある日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下させた。船舶や航空機の被害の情報はない。

米太平洋軍や韓国軍合同参謀本部によると、短距離弾道ミサイル「スカッド」か、中距離弾道ミサイル「スカッドER」とみられ、約6分間、約450キロ飛行した。

イタリア南部シチリア島のタオルミナで先週末、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれた。安倍首相は「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮を強く非難し、トランプ氏と連携して、首脳宣言に「北朝鮮は新たな段階の脅威」との文言を明記させた。


その直後、加えて米国の祝日「メモリアルデー」(戦没者追悼記念日)に合わせた弾道ミサイル発射は、「パラノイア」(偏執狂)とも指摘される正恩氏による、国際社会への“宣戦布告”に近いのではないか。

米ホワイトハウスは28日、北朝鮮の弾道ミサイル発射について、トランプ氏が説明を受けたことを明らかにした。だが、米軍はそれ以前に「北朝鮮包囲網」強化に着手していた。

米太平洋艦隊は26日、原子力空母「ニミッツ」を太平洋の北西部に派遣すると発表した。米西海岸ワシントン州の海軍基地を6月1日に出港する。朝鮮半島周辺には現在、原子力空母「カール・ビンソン」と「ロナルド・レーガン」が展開中のため、西太平洋に3隻の空母が集結することになる。

いずれも、米空母航空団の主力、戦闘攻撃機FA18「スーパーホーネット」や、早期警戒機「ホークアイ」などを多数搭載し、ミサイル駆逐艦やミサイル巡洋艦、原子力潜水艦を伴っている。

この3隻集結の特殊性について、評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「米国の本気モードの表れだ」といい、続けた。

「今月半ばまで、朝鮮半島周辺にいた米空母は1隻だった。1隻だけなら『単なる威嚇』と説明できるが、3隻は現時点で米軍が投入できる最大値に近い。NHKは2隻の時点で『異例』と報じていた。台湾海峡危機の際も2隻だった。3隻展開を簡単に考えるべきではない。『戦力の集中』『過去の実例』から見て、開戦の可能性が高まってきた」

空母3隻の展開海域も注目される。潮氏が続ける。

「3隻のうち、1隻が日本海ではなく、(中国大陸と朝鮮半島の間にある)黄海に展開すれば、北朝鮮を東西から攻撃できる。(黄海は中国の目の前のため)米国と中国がディール(取引)して、中国も事実上(北朝鮮攻撃を)認めたとも受け取れる。朝鮮戦争が休戦(1953年)して以来、最大の危機といっていい」


米軍だけでない。中央情報局(CIA)の動きも気になる。

米政治サイト「ワシントン・フリービーコン」は18日、CIAのマイク・ポンペオ長官が極秘訪韓中の今月初旬、昨年亡命した北朝鮮の太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使と会ったことを伝えた。北朝鮮国内で正恩体制への反乱を扇動することの可否などについて話し合ったという。

元公安調査庁第2部長の菅沼光弘氏は「ポンペオ氏は、北朝鮮の軍や治安当局、政府高官が金体制に反旗を翻す機が熟しているかどうか議論を提起したとされるが、もう1つある」といい、分析した。

「米国が北朝鮮を攻撃した場合、正恩氏が本気で反撃してくるのか、戦争をやりきる胆力があるかどうか、彼の人間性を知ろうとしたのではないか。1994年の『第1次核危機』の際、当時のCIA長官は来日して、金日成(キム・イルソン)主席の人間性、心の中を知ろうとした。こうした動きは、米国が本格的に北朝鮮攻撃に踏み切る前兆ともいえる」

韓国メディアによると、在韓米軍が6月、韓国に滞在する米国人の避難訓練を実施するという。そのまま韓国から退避させる可能性もある。

前出の潮匡人氏は次のように呼びかける。

「日本人は真剣に警戒すべきだ。韓国旅行はしばらく控えるべきだ。韓国に進出している企業も家族や社員の引き上げを検討すべきだろう。ある日突然、危機が表面化したら、パニック状態になりかねない。4月に危機感が高まって報道が過熱したが、一時沈静化した。ただ、静かになったときの方が危ない。米国のシリア攻撃も、日本の真珠湾攻撃も突然だった。『開戦前夜』はこうかもしれない」 夕刊フジより

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