古くから芸術や物語のモチーフとされ、その解釈について何世紀もの間、議論を呼び続けている“最後の審判”の日。多くの人がパッと思い浮かぶのは新約聖書「ヨハネの黙示録」において語られている世界の終焉のことだろうか。
■“最後の審判”の日は1651年だった!?
“最後の審判”の日はいつなのか?
これは中世の間も多くの人々の関心事だったが、最近になって歴史に埋れていたある文献が再び脚光を浴びている。最後の審判の日がいつ来るのか、そしてそれまでに起こる出来事が書かれていたこの書はかなり異色で、地図も用いられている“奇書”だ。
本書はドイツのリューベックで1486~1488年の間に製作された書籍で、現在は米カリフォルニアにあるハンティントン・ライブラリーに収められている。
著者は不明だが、一説によると当時は「医療占星術」という分野があり、そこで高い評価を得ていたバプティスタという医者であったという説もあるようだ。
画像は「YouTube」より
ラテン語で書かれたこの本には、639年から1514年の間に起こる世界情勢と予言が地図を用いて記述されている。地図ではイスラム教を含む反キリスト教勢力の台頭の時期が表現され、今後のキリスト教世界の大きな脅威となることを警告しているという。そして最終的に1651年に最後の審判が下るのと記されているのである。
これら数枚の地図を見てみると、ある地図では大きな円は地球を表し、中央の円をくさび型で仕切りアジア、アフリカ、ヨーロッパに分けて周囲は水が流れているように描かれている。
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ほかの地図では、イスラム教徒の剣がヨーロッパに食い込んで侵略を進める彼らを表しているそうで、中央(地球)に向かって尖った5本の剣は外から順に時系列になっていてそれぞれ“修正”“改革”“壊滅”“ローマへ”と記されており、5本目は空白のままにされている。この空白はどうやら1515年から1570年までに世界で起こる何か恐ろしい運命をイメージ付けているとのことだ。
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イスラム勢力が増すにつれて、図は1570年~1600年に他の反キリスト教系勢力の拡大(三角形部分)を暗示。地球の果てに届く4本の角は、偽りの神がキリスト教の神であるフリをして人々を欺いて征服する様子を意味しているという。
そして、1606~1661年には再びキリスト教の法と旗のもとに世界が終焉に向かって進んでいく様子が示されている。気になる最後の審判の日についても別に記述があるのだが、天国の門にキリストと12人の使徒たちが集まり、その下には地獄の口が開いている不気味な様子が見てとれる。
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世界に分布する“最後の審判”の日について解説する数多くある書の中で、この地図を用いたものは中々ユニークで斬新だ。ただ残念ながら(?)、我々人類はその後もこうして生存しているため 、もしかしたら単に当時の不吉な社会情勢を、予言的な手法で表現していただけなのかもしれない。
文献内では正確さはまだ完璧ではないものの、当時最先端の医療占星術を駆使して地球の果てまでの距離や地球の円周、地獄の円周(!)などの距離の計算もしており、当時の学術的状況や人々の心理をうかがい知ることができる貴重な資料と言えよう。“最後の審判”の日ができるだけ遠くにあることを祈りたい。 トカナより
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