2017年5月30日火曜日

ロシアはトランプ氏の致命傷か 議会共和党が距離取れば政権は事実上の死に体に

トランプ政権とロシアとの関係をめぐる疑惑が米国で大きな話題になっている。情報機関に捜査への圧力をかけたなどと指摘されているが、米政権の外交や内政、経済政策にどのような影響が出てくるのか。そして、トランプ氏が大統領の座を追われる事態にまで発展する可能性はあるのだろうか。

トランプ氏は共和党候補として大統領選に当選したが、共和党にとっては必ずしもイチ押しの候補ではなく、主流派と対立する異端の存在でもあった。共和党の大統領と議会多数派の共和党で政策が進められていくはずが、どこかまだギクシャクしている。その典型が「オバマケア」(医療保険制度改革法)の見直しだ。

そうした状況の中、ロシアとの問題は、トランプ政権にとって致命傷となる恐れもある。

まず、トランプ氏を議会で支えるべき共和党としては、政策で多少意見が合わない程度ならば問題はない。しかし、トランプ氏がロシアと通じていたとなると話は別だ。ロシアだけは許せないという共和党員は少なくない。

今後もロシアに関する疑惑が出続けるようなら、共和党はトランプ氏と距離を置くだろう。すると、外交や内政、経済政策は、これまで以上にうまくいかなくなる。その先に大統領弾劾を見据えているからだ。

弾劾については、合衆国憲法第2条で「大統領、副大統領及び合衆国の全ての文官は、反逆罪、収賄罪又はその他の重罪及び軽罪につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる」とある。その手続きは、下院の過半数で訴追され、上院で裁判し、3分の2以上の同意で有罪となれば罷免される。


現段階では、議会多数派の共和党議員だけでなく、大半の民主党議員からも、弾劾手続きを始める様子はみられない。一部マスコミや学者から「トランプ氏の行為は弾劾に値する」といった声が出ているだけだ。

下院は過去に60回余りの弾劾手続きを開始したことがある。そのうち、実際の弾劾訴追になったのは、連邦判事15人、上院議員1人、閣僚1人、そして大統領では1868年のジョンソン氏と、1998年のクリントン氏の2人で、計19例ある。

このうち有罪とされ罷免されたのは判事8人だけで、大統領罷免の例はない。ただし、74年のニクソン大統領の場合は、下院での弾劾訴追と上院での有罪が確実視されたので、辞任した。

弾劾手続きは長いので、下院が弾劾訴追するのが見えてくると、政権運営は事実上困難になるだろう。そうなるとトランプ政権は死に体になる。

繰り返すが、下院の過半数と上院の3分の2がないと大統領は罷免されないわけで、共和党が主導しないと罷免はあり得ない。ただ、相手が異色のトランプ氏なので、その可能性が全くないとは言い切れないのが実情だ。

アイルランドのブックメーカー(賭け屋)は、米下院が2021年までにトランプ氏を弾劾訴追する可能性を33%としたが、果たしてどうなるのか。 夕刊フジより

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