ドナルド・トランプ米大統領による「司法妨害」の疑いが、さらに強まった。一連の「ロシアゲート」疑惑に絡み、トランプ氏が「情報機関幹部に圧力をかけていた」と、米紙ワシントン・ポスト(電子版)が報じたのだ。トランプ氏は現在、中東・欧州5カ国を歴訪しているが、その足元は大きくグラついてきた。こうしたなか、ワシントンで、トランプ氏を引きずり降ろし、マイク・ペンス副大統領を昇格させる「秘密工作」が進んでいるという。日本の外交・安全保障にも直結しかねない衝撃情報について、ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。
「『ロシアゲート』は前代未聞の疑惑だ。政治家、情報機関、安全保障関係、軍、全員が激怒して、あきれている」
旧知の米情報当局関係者はこう吐き捨て、続けた。
「今年2月以降、CIA(中央情報局)に近いグループが、トランプ氏を大統領の座から引きずり降ろす『秘密工作』を進めている。いま、多くの賛同者が続々と集結しているという」
冒頭のワシントン・ポストの報道(22日)は、賛同者を増やす可能性がある。
同紙によると、トランプ氏は今年3月、ダン・コーツ国家情報長官と、マイケル・ロジャース国家安全保障局(NSA)局長に対し、自身の陣営とロシア側が共謀していないと表明するよう要請したが、2人が拒否したというのだ。事実なら、司法妨害の疑いが一層強まる。
こうした動きを把握したのか、世界的内部告発サイト「ウィキリークス」代表のジュリアン・アサンジ容疑者は3月14日、ツイッターで、以下のように警告していた。
《(米国で)ペンス副大統領を大統領にする計画が進行中だ》
米国が、大混乱に陥(おちい)っている。トランプ氏が、「ウォーターゲート事件」で辞任に追い込まれたリチャード・ニクソン元大統領に続く、大統領失脚の危機に立たされているからだ。
直近の問題は2つある。
(1)トランプ氏は9日、FBI(連邦捜査局)前長官のジェームズ・コミー長官を突然解任した。背景には、ロシアが昨年の米大統領選にサイバー攻撃などで干渉したことに、トランプ陣営の関係者が関与していたか否かという疑惑がある。捜査対象には、マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が浮上し、トランプ氏は捜査をやめるようコミー氏に求めたという。
この解任に、米議会は「司法妨害だ」と激怒した。司法省は17日、ロバート・モラー元FBI長官を特別検察官に任命し、徹底捜査を開始した。コミー氏は公聴会証言を受諾し、議会はトランプ氏の弾劾・罷免に向けて一気に動きだした。
(2)ワシントン・ポスト(電子版)が15日、複数の政府高官の証言をもとに驚愕情報を暴露した。トランプ氏が10日、ホワイトハウスで、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相らと会談した際、イスラエルの情報機関モサドから提供された、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に関する最高機密情報をペラペラと話したというのだ。
漏らした情報は、ノートパソコンなどの電子機器に爆弾を仕込んで航空機に持ち込む手法や、ロシアへのテロ計画、IS支配地域でイスラエルが脅威とみている都市名など。この情報漏洩(ろうえい)で、モサドの情報収集の拠点が暴かれ、工作員が特定、殺される危険が発生した。
これに対し、トランプ氏は「これは米国史上最大の魔女狩りだ」「『フェイクニュース』(偽ニュース)」などと全否定した。
だが、ワシントンの誰1人、納得していない。騒動の裏側で、何があったのか。以下、複数の米情報当局関係者から入手した極秘情報だ。
「モサドの工作員は、戦死したIS兵の携帯電話などを回収し、そこからISの仲間や司令塔を突き止め、命がけで潜入する。トランプ氏は彼らを危険にさらした。モサドは激怒している。シャブタイ・シャビト元モサド長官は17日、『トランプ氏を懲罰すべきだ』と地元紙で発言した」
情報は続く。
「退陣間際のオバマ政権は今年1月、『ロシアのサイバー攻撃はヒラリー・クリントン元国務長官の当選を阻止するために、プーチン大統領が命令した』という情報当局の報告書を公表した。捜査の過程で、ロシア側と接触をした複数のトランプ氏側近の名前が確認できている」
その中の1人、フリン氏は2月に更迭された。彼は一時、刑事免責を受けられるなら議会で証言すると表明して、トランプ陣営を震え上がらせた。ただ、疑惑を調べている上院情報特別委員会に対し、22日、関連資料の提出を拒否する意向を伝えたという。
極秘情報はさらに続く。
「トランプ氏の弾劾・罷免手続きに入っても、本人が居座れば、数年はかかる。そこで、『ペンス副大統領を大統領にする』ことが計画された。米合衆国憲法修正第25条第4節の発動だ」
第4節は概略、以下のように規定している。
《副大統領および全閣僚の過半数が、上院の臨時議長または下院議長に対して、『大統領がその職務の権限と義務を遂行できない』という文書による申し立てを送付するときには、副大統領はただちに大統領代理として、大統領の権限と義務を遂行する》
日本にとって、最大の同盟国たる米国の混乱は、最大の警戒事項である。さらに、驚くべき情報がある。
日本の防衛当局関係者は「トランプ政権は『核・ミサイル開発』で暴走する北朝鮮を懲らしめ、完全放棄させるために、中国の圧力に頼りきっている。かつては『アンチ・チャイナ』(反中国)だったが、今では習氏を絶賛し、中国の要求をのみ続けている。危険だ」といい、こう続けた。
「中国の南シナ海での軍事的覇権を断固阻止する『航行の自由作戦』を、トランプ氏は実は拒否している。さらにオバマ氏が全否定した、中国の世界覇権に向けた経済圏構想『一帯一路』を、トランプ政権は歓迎した。中国は増長して、対中強硬姿勢のハリー・ハリス米太平洋軍司令官の解任まで要求している。中国がトランプ氏に『沖縄県・尖閣諸島への上陸を認めろと、要求する』動きがある」
ふざけるな、だ。尖閣諸島はわが国固有の領土である。断じて許すわけにはいかない。
ただ、「トランプ氏は、安倍晋三首相以上に、習氏と秘密電話会談を行っている」(中国政府関係者)という情報もある。
安倍首相に申し上げたい。日本は、米国の危機的現状を、冷静に分析する必要がある。
夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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