2017年4月21日、朝鮮半島周辺に軍事力を集結させている米国が北朝鮮への攻撃に踏み切った場合、真っ先に報復にさらされるのは日本と韓国。それでも両国は米国に「ノー」とは言えない。米国は「全ての選択肢がテーブル上にある」と明言。これを了解しているからだ。衝突を防ぐ中国の役割がますます重要になっている。
まず韓国。北朝鮮は軍事境界線沿いに数百門の長距離砲を展開している。全人口の半分弱の約1000万人が住む首都ソウル中心部までの距離は約40キロ。砲門が一斉に開けば1時間に数千発の砲弾が降り注ぐという。短距離ミサイルも韓国全土を狙っている。
北朝鮮の核問題で緊張が最高潮に達していた1994年3月、南北間の実務代表会談の途中、北朝鮮代表団長は「戦争が起きれば(ソウルが)『火の海』になるだろう」と威嚇。その後も北朝鮮は事あるごとに「火の海発言」を繰り返している。
日本に照準を合わせているのは、「ノドン」などの射程1000〜1300キロとされる中距離弾道弾。北朝鮮は3月6日、探知されにくい移動式発射台から4発を同時発射し3発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。
日本の弾道ミサイル防衛(BMD)は大気圏外を飛ぶ弾道ミサイルをイージス艦の海上配備型迎撃ミサイル「SM3」が迎撃。落下最終段階の高度十数キロ上空で地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)が再迎撃する2 段階システムだ。しかし、同時発射されるミサイルの数が増えれば、全てを迎撃するのは困難。3月6日の4発発射について日本政府は「新たな段階の脅威となった」と危機感を強めている。
米国のトランプ大統領やティラーソン国務長官は核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮に対し、「全ての選択肢がテーブルの上にある」と再三明言。これに対し、日韓両国は理解を示している。両国には報復を理由に米国の軍事力行使にストップをかける道は、もはや残されていない。両国が独自に北朝鮮の暴走を止める手段も皆無だ。
一方で日米の専門家の中には、核・ミサイル関連施設などを狙った限定的な先制攻撃は、必ずしも全面戦争には発展しない、との見方もある。北朝鮮が全面報復してくれば、当然のことながら米韓の反撃を招き、圧倒的な軍事力の差から金正恩政権の存亡に直結するためだ。朝鮮戦争当時のように中国が助けてくれる保証はない。2010年11月、黄海上の北方限界線に近い韓国領・延坪島を砲撃した程度が言葉の激しさとは裏腹に報復の限界ともみているという。
4月初めの米中首脳会談を契機に、習近平指導部は朝鮮半島の非核化に向けてトランプ政権と協調してルビコンを渡った。25日の朝鮮人民軍創建85年周年記念日を控え、北朝鮮の新たな挑発を許しては国の威信にもかかわる重要な局面だ。 レコードチャイナより
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2017年4月22日土曜日
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