2017年4月27日木曜日

トランプ氏“不退転の決意” 北制圧へ海上封鎖で「兵糧攻め」、一触即発の緊張状態

ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮制圧に向けて“不退転の決意”を示した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が25日、過去最大規模の砲撃訓練を行うなど、軍事的挑発をやめないからだ。国連安全保障理事会の追加制裁に加えて、世界最強の米原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第1空母打撃群による海上封鎖などで「兵糧攻め」に持ち込み、徹底的に締め上げることも考えられる。

「北朝鮮は世界にとって現実の脅威だ」「人々は数十年間(北朝鮮の核開発に)目をつぶってきた」「北朝鮮の核・ミサイル計画に対して安保理はさらに強力な追加制裁を科す準備をすべきだ」

トランプ氏は24日、国連安全保障理事会のメンバー国の国連大使らをホワイトハウスに招いた昼食会で、こう語った。

26日にも、ホワイトハウスに上院議員100人全員を招き、レックス・ティラーソン国務長官らが北朝鮮政策を説明する会議を開催する。異例の大規模会議を通じて、北朝鮮問題解決に向けた政権の決意を示す。

北朝鮮は、朝鮮人民軍の創建85年の記念日「建軍節」にあたる25日、トランプ政権がレッドラインに設定した「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」は見送った。だが、南東部・元山(ウォンサン)一帯で、長距離砲など300~400門を投入して過去最大規模の砲撃訓練を行った。

38度線から約40キロにある韓国・ソウルを意識して、「いつでも火の海にできるぞ」と恫喝(どうかつ)したに等しい。

これに対し、米軍や自衛隊、韓国軍、中国人民解放軍の包囲網は万全だ。

米原子力空母「カール・ビンソン」は朝鮮半島に向かって北上しながら、海上自衛隊の護衛艦「あしがら」「さみだれ」と共同訓練を行っている。米海軍の駆逐艦「フィッツジェラルド」と、海自の護衛艦「ちょうかい」も25日、日本海で共同訓練を行った。米海軍と韓国海軍も同日、黄海で共同訓練を実施した。中国人民解放軍も10万~15万人規模で、中朝国境に展開しているという情報もある。

つまり、北朝鮮を東西南北で包囲し、核・ミサイル暴発をした場合、「斬首作戦」などに加え、いつでも海上封鎖などを実行して「兵糧攻め」にする構えなのだ。

トランプ氏は冒頭の昼食会で、「私たちは問題を最終的に解決しなければならない」といい、オバマ前大統領のような中途半端な「戦略的忍耐」政策でお茶を濁すようなことを完全否定した。

果たして、北朝鮮は屈服するのか。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「北朝鮮が、核・ミサイルを諦めることはない」と断言し、続けた。

「正恩氏としては、韓国大統領選(5月9日投開票)の結果を見極める気ではないか。『従北派』とされる最大野党『共に民主党』の文在寅(ムン・ジェイン)候補が優勢で、彼が大統領に当選した場合、韓国から在韓米軍を追い出す可能性があるからだ。中国の習近平国家主席としても、秋の党大会を見据えて、北朝鮮には暴発してほしくない。最低でも、4月いっぱいはにらみ合いが続くのではないか」

一触即発の高度な緊張状態が続いている。 夕刊フジより

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