機内サービスは自衛官、故障にそなえ予備機も
ゆったりしたスペースで快適」と述べたそうです。以来、四半世紀にわたり、首相や閣僚だけでなく、天皇皇后両陛下や国賓も乗せて飛んできました。
政府専用機の操縦を担うパイロットや、機内サービスを担うキャビンアテンダント役は、航空自衛隊員千歳基地に所属する特別航空輸送隊の「特別輸送員」、つまり自衛官が担っています。
現在の機体はボーイング社製747-400型機。ふだんは千歳基地に駐機しています。実は政府専用機は2機あり、故障に備えて予備機と2機が同時に飛びます。整備担当の自衛官も同行して万が一に備えています。
同型の機体の整備が終了するため、2019年にはボーイング777-300ERをベースとした新型機を購入することが決まっています。日章旗をあしらったデザインも決定済み。機体整備のほか、機内サービスの訓練は全日空が受託しており、安全確保や乗客の誘導などの訓練が行われています。
首相執務室も
首相の外遊には外交官ら多くの政府職員、警備のSPも同行し、政府専用機に搭乗します。
夫人や閣僚が随行するときもありますし、経済界の人たちをずらりと随行して「経済外交」を展開することもあります。
国会答弁によると、政府専用機は「だいたい140人の輸送が可能」。機内には首相の個室などがある特別なつくりになっており、民間のジャンボ機に比べて輸送力は落ちます。
外交官は通常、自分の荷物は機内預けにしません。目的地に着いたら、首相とともに「さっ」と降機して次の日程に向かうためです。だから、外交官の荷物は両手に抱えられる程度で、とってもコンパクト。ある外交官は「荷物の量の少なさと仕事の能力は比例する」と言っていました。
スウェーデン訪問を終え、フィンランド・ヘルシンキに向かうため政府専用機に乗り込む安倍晋三首相、昭恵夫人=2017年7月9日、ストックホルム・アーランダ空港、飯塚晋一撮影 出典: 朝日新聞
途上国ならともかく、先進国に行くのになんで民間機を使わないの?と思うかもしれません。政府専用機内には会議スペースがあり、忙しい首相や閣僚をまじえて、機密情報を含む打ち合わせをするにはうってつけ。「空飛ぶ首相執務室」と呼ばれるゆえんです。
機内には政府職員が使うコピー機やファクスがあるほか、外国訪問時に記者会見をするときに演台につける、日本政府を表す「五七の桐」マークのエンブレムもちゃんと持参します。
政府専用機が使われるのは、外遊のときだけではありません。2011年、ニュージーランドで発生した地震で、国際緊急援助隊救助チームを派遣。2013年1月の在アルジェリア邦人に対するテロ事件では邦人を輸送するために政府専用機を派遣しました。
1回飛ばすのにかかる費用は?
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