2017年12月30日土曜日

対北朝鮮支援・脱原発・反企業政策・慰安婦合意

韓国の現代史で最大の自殺行為として記録されるとみられるとは対北朝鮮支援だ。左派政権が10年間で8兆ウォン(約8400億円)を注ぎ込んだ。現物分を除くと、北朝鮮に送られたドル資金は3兆ウォンを超える。北朝鮮が核、ミサイル開発に使った資金もその程度ではないかとされる。現金には目印が付いているわけではないので、追跡する方法はない。しかし、北朝鮮の世間とってはどの財布も同じだ。韓国が与えたドル資金が核開発に使われなかったと考える方がおかしい。

左派は理想を追うという。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権も北朝鮮の変化を夢見て支援を行ったはずだ。期待とは異なり、北朝鮮は一瞬も核開発をやめたことはない。南北首脳が会い、金剛山が開放された際にも中断されなかった。核が完成すると、北朝鮮は遠慮なく恐喝、脅迫の限りを尽くしている。国民の税金まで投じ、北朝鮮の脅威を増大させた格好だ。

そうやって安全保障上のオウンゴールに及んだ主役が再び政権をにぎった。誰も過去の失敗を認める人間はいない。反省どころか依然として北朝鮮を助けたくて仕方ないようだ。北朝鮮との関係ばかりではない。問題を解決すべき政府が問題を増幅させている。使わなくてもいいカネを使い、無駄に対立を生じさせる。今年の大韓民国を象徴するキーワードは「自殺行為」だった。視野が狭い理想論に陥り、大きな国益を害する行為が相次いだ。

サムスン電子が会社資金60兆ウォンを株主に返還することを決めた。「株主にやさしい企業」という名分を掲げたが、実際は異なる。李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の経営権が安泰ではないからだ。李副会長一族の持ち株は約20%だ。この程度では確かに経営権に対する攻撃を確実に防ぐのは困難だ。崔順実(チェ・スンシル)スキャンダル以降、国民年金が「ホワイトナイト」として助けてくれることも期待できなくなった。

政府も友好的ではない。大統領府(青瓦台)までもが李副会長を刑務所に送ろうとした。すがる場所がなくなった李副会長は外国人株主の歓心を買う戦略を選んだ。それで生まれたのが株主還元政策だ。株主に60兆ウォンを返還すれば、その半額以上は外国人株主の取り分となる。その資金を将来に向けた投資に充てれば、国家経済にも大きく役立ったはずだ。事実上それを阻んだのは政府だ。政府の反企業の動きが外国人株主だけ太らせた格好だ。

最低賃金の引き上げを控え、雇用が減り始めた。負担に耐えかねた雇用主が人員削減に乗り出したからだ。労働時間まで短縮されれば、衝撃はさらに大きい。勤労者のための政策がかえって勤労者に害を及ぼしている。経営難の企業は海外脱出を検討している。法人税率の逆行は大企業をも海外脱出の波に合流させるかもしれない。

あらゆる規制が新産業の足かせとなっている。ドローンを飛ばせず、バイオとビッグデータ産業は壁に直面した。いくら支援しても足りない状況なのに手足を縛ったようなものだ。ライバル国が自由に飛び立っても、韓国は足を鎖でつないだ。こんな状態で口では第4次産業革命を花咲かせるという。こんな愚かな自殺行為がどこにあろうか。

政府は結局、慰安婦合意の「パンドラの箱」を開けた。韓日が非公開にすることを決めた事項を公開した。不十分な合意文に判を押した前政権の誤りもあろう。とはいえ、国家間でのやりとりを全て暴露すれば、外交は成り立たない。その国も韓国とは突っ込んだ対話をしようとしなくなるだろう。国の信用も低下する。信頼できない国というイメージが生じる。積弊を清算しようとして、外交を台無しにした格好だ。

これらは全て衰退へと向かう道だ。一時的に喝采を浴びるかもしれない。利益を受ける層も一部あるはずだ。しかし、国全体で見ると損害だ。戦うべきライバルが外にいるにもかかわらず、政府の視線は国内にばかり向いている。国益をめぐる激しい争いが展開される外界を見ようはしない。脱原発に反企業、労働界寄りの政策は全てその結果だ。井の中の狭い世界に陥り、大きな国益を損ねている。

我々の実力不足で劣るというなら仕方がないことだ。しかし、うまくやれるのに自ら衰退の道を歩むとすれば、憤りを禁じ得ない。このとんでもないマイナスの自殺行為はいつまで続くのだろうか。 朝鮮日報より

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