2017年12月30日土曜日

世論迎合、国家より個人重視となった韓国

日本支配を脱した戦後の韓国で、いわば自前の近代化と経済成長を実現した長期政権の朴正煕(パク・チョンヒ)時代(1961~79)が幕を下ろした後、日本のコリア・ウオッチャーの間で今後の韓国についていろんな予測があった。その一つに「李朝時代への回帰」という冗談交じりの皮肉が語られたことがある。
 
戦後(韓国では「解放後」という)、60年代までの韓国は北朝鮮より貧しかった。そこで朴正煕は北朝鮮の軍事的、思想的脅威に対抗するため、強権政治で自由や民主主義を制限、国家、国民をひたすら「経済建設」に動員しそれを実現した。その結果、国民には強い国家意識が植えつけられた。

朴正煕には「成せば成る」とか「維新体制」といったスローガンでも分かるように、その国造りには日本の近代化の経験が大いに参考となった。したがって青年時代に日本軍人の経歴があり日本語も完璧だった彼には、親北・左翼勢力など政治的反対派からは終始、民族的裏切りを意味する「親日派」というレッテルが貼られた。

その朴正煕時代が終わった後は「韓国が復活する」というわけだ。当然、反日ムードは表面化し、民主化という政治的自由の謳歌(おうか)で政争が盛んになり、朴正煕的なモノへの反動から国家意識は後退し個人意識が強まる。北朝鮮に対しても反共・反北よりも同族意識による融和的姿勢になる。皮肉にいえば「韓国のより韓国化」である。

内部的にまとまりを欠いた政争激化の展望から「李朝への回帰」という皮肉も出たのだが、実際、韓国は80年代の過渡期を経て90年代の民主化以降、その「国のかたち」が大きく変質してしまった。

たとえば文民第1号を自称した金泳三(キム・ヨンサム)政権(93~98)は、それまでの日本との約束だった竹島問題の棚上げという現状維持策を覆し、島の“実力支配”を強化した。日本では評判がよかった金大中(デジュン)政権(98~2003)だって、世論(マスコミ)に迎合し日本の歴史教科書の記述修正を外交文書で要求する外交的無理をやっている。

保守政権だった李明博(イ・ミョンバク)政権(08~13)も世論に迎合し、政権末期に自らの愛国業績作りのため歴代の大統領が対日外交配慮で遠慮してきた「竹島上陸」をあえて強行している。

いわゆる民主化以降の韓国の「国のかたち」の変質について筆者は、左翼・革新政権だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)時代(03~08)以来、しばしば「NGO国家化」と書いてきた。

世論迎合で国家より個人重視、法治無視となり、結果的に市民団体や労組、メディアなどNGO(非政府組織)によって国の方向が左右されるという雰囲気が広がったからだ。

盧武鉉政権を引き継いでいる文在寅(ムン・ジェイン)政権下ではその深化が予想されたが、直近の日本との慰安婦問題合意の無視はその証明であり典型である。日本大使館・総領事館前の違法な慰安婦像の放置もそうで、国内問題なら「勝手にどうぞ」だが外交にまでNGO化が及んでは、国際社会での韓国の信用度は落ちる。

自分たちが街頭デモという“NGOパワー”で政権を握ったからといって、外交までNGO感覚でやられては付き合いきれない。この「国のかたち」の正常化には韓国の国民やマスコミが国際的感覚を発揮するしかないのだが、冬季五輪開催を機にぜひそれを考えてほしい。産経ニュースより

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